さらばラシーン その3

人間の記憶は曖昧だから、実際に体験した出来事の中から事実を事実として正確に記憶しているのは、ほんの数%にすぎないだろう。そこに感情のフィルターが入り込んで、さらに絞り込まれるから、数年経っても思い出す事ができる記憶というものは(よくもわるくも)かなり厳選された貴重な記憶と言えるだろう。

ラシーンに対して自分の中に残っているものは「とんでもなく軽やかで、わくわくした記憶」しかない。実際には、トラブルや困難(のようなもの)もたくさんあった訳だけど、ラシーンというフィルターが、ラシーンと共に体験した様々な体験の中から「たのしい!」というものだけを取り出してしまっている。つまり、ラシーンという存在が自分の中での「幸福な記憶のスイッチ」になっていたのだ。毎日、車に乗る度にそのスイッチが入る。旅先の記憶やあれやこれが、ふっと無意識のうちに蘇ってくる。それは心地良い体験だ。つまり、自分が感じている「喪失感」の原因は、そのあたりにあるのではないかと思う。

そして、このようにわざわざ理屈で感情を押さえつけなければいけないほど、このスイッチは自分の中で強力なものだったのだろうな、と自己分析しているわけです。まあ、ね。冷静に思い返してみれば、そんなに楽しい思い出ばかりでは・・・いや、楽しい思い出しかないな(笑)

自分が、これから所有し乗る事ができる車は、どのくらいの台数になるのかはわからない。ただ、多くても10台以下だろうし、とんでもなく大金持ちになって数台を同時に所有することがあったとしても、せいぜいその台数は限られているだろう。そのような中で世界中に存在するたくさんの車の中から「あの車に乗ってよかった」と思える車に出会えたことは、とんでもなく幸せでうれしいことだった。ラシーンを愛車に選んだ6年前の自分に「なかなか良い選択だったぞ」と言ってあげたいと思います。


ほんとうに時々ではあるけれど、まだ街中で現役のラシーンを目にすることもある。その度に、自分のラシーンのことを思い出すだろうし、今のような気分になるかもしれない。とにもかくにも、そろそろこの辺りで一区切りにしよう。ありがとうラシーン。君は最高の相棒だったよ。
ラシーン
2014.02撮影

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