【読書】生命のリアルさは「堀内誠一の絵本」に教えてもらった。
こわかった、絵本。
子どもの頃に読んでいた絵本の中に「こわくて、ちょっと苦手な」ものがあった。多くの絵本が、うれしくなったり、さびしくなったり、ふしぎになったり、と「ここちよく」してくれるものだったのに、その絵本は「人間の体内のこと、血がめぐっている様子」が描かれていて、こども(幼稚園のころ)の私には「こわい」と感じたのだった。そして、こわいけれど、なぜか時々見たくなる。
それが「堀内誠一」さんの絵本だった。
生命のリアルさ、を教えてもらった絵本
先日、堀内さんの「ねびえ」を読み返す機会があった。「さすがに子供ではないのだから、もうこわくはないだろう」と思いつつ読んでみると、なかなかのインパクトだった。すこし「こわい」ような気もした。いや、もうすこし正確に書くと、こわいというよりは「生命のリアルさ」を感じたのだった。
自分の身体の中で、このように血が流れウイルスと戦い、生命を維持している。そんな様子がリアルに感じられる作品だった。そして、このような「生命のリアルさ」を、こどものころの私は「把握できない広く深い世界 = こわい」と感じたのではないかと思う。
大人になってから、堀内誠一氏は絵本作家としてだけではなく、グラフィックデザイナーとしても活躍されていたことを知った。そして、堀内氏がデザインしたロゴが掲載されていた雑誌を知らずに愛読していた。こどもの頃だけではなく、大人になってからも堀内氏の作品を眺め続けていたのだった。
子供のころに出会った作品は、自覚している以上に「ものごとの見方」に影響を与える。私は「生命のリアルさ」を考えるきっかけを、堀内先生の絵本に教えてもらったのだと思う。「ねびえ」「ちのはなし」「めのはなし」そして「こすずめのぼうけん」などなど、こどもはもちろん、おとなのみなさんにも、ぜひおすすめしてみたい。リアルで、たのしいですよ。
【佐藤ゼミ】生命のリアルさは「絵本」に教えてもらった。