トリノ・エジプト展
宮城県美術館で開催されている、「トリノ・エジプト展」へ行ってきた。混雑を避けるために、平日の午後を選んで出掛けた(移動の途中に立ち寄った)と、いうのに、チケット売り場では長蛇の列。展示物も、じっくりと見ていると、後ろから『ドン』と、人の流れで押されてしまうような状況だった。 それでもなんとか、立ち位置をキープして、作品をじっくりと眺めてみる。圧倒される。ただ単純に「想像していたよりも、大きい」ということもある。それもあるけれど、それ以上に、当時のアーティスト達が、魂を込めて作ったのだ、という思いや願いが伝わってくるような気がして、その人達に見下ろされているような気がして、なかなか足が前に進まなかった。 目の前に存在している作品が、数千年という時代を越えて残り続けてきたものなのだ、と考えると、それだけで時間軸の感覚がおかしくなりそうだ。こんなに間近で、息がかかりそうな位置で「貴重な作品」を見てもいいのか? というような気分になりますね。一応遠慮しつつも、ギリギリまで近寄って見てしまいましたけど。 今回、自分が特に注目していたのは「ヒエログリフ」だった。以前、ヒエログリフに興味があって、いくつか資料を読んだことがあったのだけど、写真ではなく本物の「ヒエログリフ」が見られた喜びは、ひとしおだった。 活字印刷ではなく、ひとつひとつが手彫りなので、同じ文字でも少しずつ、形が微妙に異なっている。それがなんというか「カワイイ!」というか(笑)本当に、一生懸命に刻んだんだな、という感じがしてとても面白かった。これだけの大きさの石に、すべて刻み込むのには、どれだけの時間がかかったのだろう? 分担制で、範囲を決めて作成したのか? いや、やはり職人として、すべてを一人で・・・などと、余計なことを考えてしまった。 改めて「石」の味わいというか、時間をかけて削り作成された作品の凄さを、実感することができた。自分でも何か作ってみたい。この猫のレプリカを作ってみたい、ハヤブサもいい、などと、今まで一度も作ったことはないのに、真剣に考えてしまいました。