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【はじめての北海道旅 1日目(3)】函館山で、夜景をみよう。【100万ドルの夜景】

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市電に乗って「函館山」へ  塩ラーメンを楽しんだあとは、店を出てさきほど歩いてきた道を駅までもどる。これは個人的な感覚なのだが、行きの時よりも帰りの方が「体感時間」が短いように感じられる。おそらく「行き」の時は、見知らぬ場所を歩くことで気を張り、受け取る情報量が多くなっているのだと思う。「帰り」は、ここはさきほど通った道だね、とぼんやり気味で移動できるので時間が短く感じられるのではないか。  これを私は 「小学校の1時間は無限と思えるほど長いが、大人の1時間は一瞬理論」 と仮説を立てている。初めて触れる情報が多い方が、体感速度がゆるやかに流れるという仮説だ。もしも学術的に証明されている部分があるならば、ぜひ教えていただきたい。  五稜郭公園前の駅近くの「 丸井今井函館店 」に、コナンスタンプが設置されているので、寄ることにする。買い物をせず、スタンプを押して帰るだけなので、店側としては歓迎されない客だと思うのだが、邪魔にならないよう、そそくさと目的を達成させていただいた。  帰りのエレベーターの中で、高校生と思わしき青年が「何階ですか?」と聞いてくれた。その口調がとても爽やかだったので、函館の高校生は「爽やかな人が多いのだろう」と私の中で印象が強まった。  スタンプを押し市電に乗り込む。ここから「十字街」まで移動する。函館市電には「函館どつく前」という駅があるのだが、私はこれを 「どつく = 殴る」という意味だと勘違い していた。そもそも、そのような暴力的な名前をつける訳がないのだが、何かしらの歴史的背景があり、そのような名前にしたのではないか? と妄想していた。  しかし実際は、 表記は「どつく」なのだが読み方は「どっく」 なのであった。そう、造船所の「ドック」である。もしも私のように「どつく」だと思っていた方は「どっく」であると、ぜひ脳内で修正しておいていただきたい。「あのー、函館どつく前へ行くには?」と地元の方に質問しても、理解して対応していただけると思うが、なるべくなら事前に修正しておきたい。 函館山で、マジックアワーを待つ。  十字街で市電から降り、そこからは徒歩で移動する。歩きやすい道をゆったりと15分ほどかけて移動する。特に迷うこともなく、ロープウェイの搭乗口には17時30分ころ到着した。夜景を見るには少々早めの時間だが、昼から夜へと変化していく色彩を

【はじめての北海道旅 1日目(2)】函館市電に乗って「五稜郭」へ

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函館で「市電」に乗ろう  函館で楽しみにしていたのが 「市電に乗ること」 である。私は仙台市出身なのだが、1976年までは仙台市内でも市電が走っていた。もしかすると親に連れられて市電に乗ったことがあったのかもしれないが、まだ幼い私の記憶の中に「それ」は存在していない。なので今回の旅では、函館市電に乗ろうと決めていた。  函館駅前の停留所で電車を待つ。数分間隔で運行しているので、乗り遅れても焦る必要はない。希望する進行方向の停留所に並んで待っていると、向こう側から電車が走ってくるのが見える。ああ来た来た、と待ち合わせの場所に相手がやってきた時のような気分になる。  中央のドアから乗り、空いていた椅子に腰掛ける。ゴトンゴトンという振動が身体に響く。電車のすぐ横を車が走り抜けていく。車窓から町並みを眺めながら移動できるのが、路面電車の醍醐味である。そして、こうやって多くの函館市民や私たちのような観光客を運んできたのだろう、と思う。  そういえば、とふと思い出す。私が子供だったころ、母親が誰かと「市電にするかバスにするか」と話していたような記憶がある。どちらが便利だろう、と確認していたような気がする。いやこれは本当の記憶ではなく、映画やテレビで見た場面かもしれない。何かの情報が混ざりあって適当な記憶を生成したのかもしれない。今度、母親に聞いてみようかと考える。同時に、いや聞かなくてもいいか、とも思う。  世の中には確認しない方が豊かな気持ちになれることもある。函館で市電に揺られながら、そう考える。  目的地の駅で降りる。 路面電車なので、道路の真ん中で下車することになる。 周囲の安全を確認し、横断歩道を渡って向こう側へ渡る。初めての場所なので「あっちか? こっちか?」と戸惑ってしまうのだが、観光客っぽい人たちの流れにあわせていくと目的地の方へ進んでいける。基本的に函館市内は、歩いて移動できる範囲に観光スポットが集まっているので、多少迷ってもなんとかなる距離感がいい。 町歩きが楽しい場所 だと思う。 あの「五稜郭」へ  市電を降りて 「五稜郭」 へ向かう。若いころ「新撰組」を好きな知人に「函館へ行ってきた。五稜郭へ行って……云々」と感想を聞かされたことがあった。当時の私は、まさか自分が函館へ行くことになるとは思ってもいなかったので、なるほどふんふん、と適当に聞き流してしまって

【はじめての北海道旅 1日目(1)】北海道新幹線で「北海道」へ

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北海道新幹線で「北海道」へ  今回、北海道へは「北海道新幹線」で移動する。 はじめての北海道新幹線 である。実は、私は「北海道新幹線」という新幹線があるのだと思っていたのだが「新青森〜東京」間を、東北新幹線、「新函館北斗~新青森間」間を北海道新幹線と呼ぶのである。東北新幹線で移動中、新青森を過ぎると「はい、ここからは『北海道新幹線』です」と、自動的に切り替わるわけである。見た目は変わらなくても、名称が変わることで役割が変化する。  新青森駅を過ぎたところで 「まもなく青函トンネルに入ります」 と車内アナウンスが聞こえてきた。ふと、外国を旅していて「国境」を越える時のような気分になる。よし、ここからは北海道だ、と静かにテンションが上がっていく。  資料によると、青函トンネルは地質調査の段階から40年以上の時間をかけて開業に至ったのだそうだ。素人目にも難工事だったことが想像される。そこを北海道新幹線は、20分あまりで通過していく。数十年の時間を数十分で通り抜けていくことを考えると、どこか時間の感覚が歪んでいくような気分になる。 「北海道へようこそ」  窓の外が真っ暗になり、真っ暗だった窓が再び外の景色に変わる。 「北海道へようこそ」 と車内アナウンスが流れる。この言葉を聞いた瞬間、 ああ北海道へきたのだ 、子供の頃に某釣りマンガで読んだ時から、ずっと来てみたかった北海道へようやく足を踏み入れたのだ、と自分で想像していたよりも大きな感動があった。今回一緒に旅をしている妻の方を見ると、私の方を振り返って「北海道へ来たね!」というような表情をした。  「進行方向右手に『函館山』が見えてきます」 と車内アナウンスが流れる。乗客が一斉に右手の方へ視界を向ける。「どれが函館山?」と妻に聞くと、たぶんあれだよ、と教えてくれる。想像していたよりも低く感じる。調べてみると標高334mだったので、いわゆる里山といったところだろう。  今日の夜に、あの山の頂上へ行って夜景を眺める予定になっている。いまのところ天気は良さそうだ、よろしくお願いします、と遠くに見える函館山と空に願いをこめる。そんなことを考えながら、窓の外に広がる景色を眺めていると、ほどなくして 「新函館北斗駅」 に到着した。  新函館北斗からは 「はこだてライナー」 へ乗り換えて函館駅へ向かう。4月中旬の北海道の空気はまだ肌寒く

【はじめての北海道旅 4泊5日・準備編】旅の醍醐味は、準備の段階から始まっている。

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 北海道へ旅をすることになった。4月の中旬、4泊5日の日程である。そしてこれが、私にとって 人生初の「北海道旅行」 となる。なにとはなしに気分が高まってくる。私は個人的に 「旅の醍醐味は、準備の段階から始まっている」 と考えている。旅は実際に現地にいる時間よりも、準備をしている時間の方が長い。時には数ヶ月前から休みの調整をして、日程を検討し、予約を済ませておかなければいけない。  若い頃は、準備をしたり調べることが苦ではなかったので、事前に資料を読み込んだり地図を眺めたりしながら、あれやこれやと準備を進めることが多かった。しかし年齢を重ねるごとに面倒になり「 スマホとクレジットカードがあれば、なんとかなる。 いきあたりばったりで出発して現地に到着してから考える。それが面白い」と嘯くようになっていた。  もちろん、それはそれで楽しかったのだが、準備なしで出かけると見落とすことも多いし、帰宅してから 「あっ、しまった。ここにこんな場所が!」と感じる時の喪失感 は、意外と大きいものである。  そこで最近は「旅の醍醐味は、準備の段階から始まっている」と言い聞かせながら、 準備の時間を丁寧に過ごすように心がけている。 「遠足は家に着くまでが遠足です」と小学校の先生が言っていたが「旅は準備から、帰宅するまでが旅なのです」ということである。この、なんだかんだと調整したりチケットを予約したり支払いをしたりする時間もふくめて旅なのである。  そのようなわけで、今回北海道へ旅をすることが決まった時も「よし、はじめての北海道旅だ。気合をいれて準備しよう」と考え、実際に北海道に関する書籍や関連資料などを入手していた。のだが、そう、みなさんの予想通り「直前までノープラン」という状況で出発することになった。年齢を重ねると、想像以上にあれやこれやが積み重なる。まして数日休みを確保するとなると、言わずがもな、である。  したがって今回の北海道旅は、綿密な下調べに基づくものではなく、行きの新幹線などで、なんとなく調べた情報や残り時間に合わせて移動した行程となる。そのような内容なのだ、とお見知り置きのうえお付き合いいただければ幸い。 ガイドブック的な役割は望めない が、移動中の暇つぶしくらいにはなるかもしれない。( つづく ) ✈︎: はじめての北海道 記事一覧 ☺: このブログの「目次」 ☝:筆者 

【東北温泉旅 2泊3日(4)】旅は、家に着くまでが「旅」である。

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このような「旅日記」を書く度に、ああそうだ、あれも書いてない、これも書いてない、と様々なことが頭に浮かぶ。 文章にする、ということは現実を切り取る、という行為の繰り返し だから必然的に「書かれていない」ことの方が多くなってしまう。書かれていない部分に、読者のみなさんが知りたいことがあったかもしれない。 しかし旅に終わりがあるように、旅日記にも区切りがある。そして今回の「東北温泉旅」はこの記事で終わりとなる。最終日について少し補足を書いて締め括ろうと思う。 最終日、旅館をチェックアウトした私たちは「おみやげの店 なるみ」に寄ることにした。 (2)の日記 に書いた「鳴子温泉に来た時に、栗だんごを買って帰る店」が、この「なるみ」さんなのである。すでに2日目に栗団子を食べているのだが、帰宅してから家でも食べたいと思ったので買って帰ることにしたのだ。  つまり私は「栗だんご」がそれほど好きなのである。今回は栗だんごと一緒に「大栗なるまん」と「しそ巻き」も買った。こちらも、とても美味しいので興味がある方はぜひ試していただきたい。 店内を見て回っていると「旅館大沼さんの浴衣の柄」が染められた「てぬぐい」が売られていた。浴衣の柄がそのままデザインされているのが面白かったので、今回の旅の記念に購入することにした。 実は私は「てぬぐい」が好きで、いつか自分でデザインしたものを作ってみたいと思っている。プリントではなく伝統的な技法で、しっとりと染めてみたい。Youtubeの登録者数が今の3倍になったならば、制作してみようかと密かに考えている。密かに、といってもここに書いてしまったら密かではなくなってしまうのだが、とにかくそのような目標があるので、まだ登録していない方はぜひ登録していただきたい。→ Youtubeチャンネル「佐藤ゼミ」はこちら 。 買い物を済ませて店を出る。帰路に利用する「鳴子御殿湯駅」は店から数分の距離だ。昨日のように電車は遅れるのだろうか。こちらの天候は落ち着いているけれど、山形の方はどうかわからない。峠の向こうは 荒れ模様 かもしれない。 駅舎に入ると壁に「猫のこけし」がモチーフになった作品が飾られているのが眼を引いた。気になって調べてみたところ、版画家・大野隆司さんの作品だった。今までは車で鳴子に来ていたので、駅に作品が飾られているのを知らなかった。電車で来てよかっ

【東北温泉旅 2泊3日(3)】東鳴子温泉「旅館大沼」へ宿泊

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鳴子温泉駅からバスで移動 バスは定刻通りにやってきた。正確に書くと「鳴子温泉駅」が始発なので、私たちが駅前に到着した時にはすでにバスが停留所で待機していた。暖房の効いた車内には、私たち夫婦の他には誰も乗っていない。 まだ発車までは時間があったので、それまでに誰か乗ってくるだろう、と考えていたのだが、最後まで乗車してくる人の姿はなく、私たち2人だけを乗せたバスは定刻通りに出発した。 バスは渋滞することも雪による遅延もなく、スムーズに目的地へと到着した。料金を支払い外へ出ると、寒さが身体にささってきた。急いでマフラーを首に巻きなおし腕時計を確認する。予定のチェックインまでには、まだ時間があるが周囲に寒さを凌げそうな場所も、カフェなども見当たらない。仕方がないのでこのまま旅館へ向かいチェックインの時間までロビーで待たせてもらえないか聞いてみることにした。 今回の宿泊地は「 東鳴子温泉 旅館大沼 」である。20年前に購入した「日本の秘湯(日本秘湯を守る会)」の書籍に掲載されている宿だったので、一度行ってみたいと思っていたこと。そして、ちょうど私たちの予算に合った部屋が開いていたことが、こちらを選んだ理由である。 ちなみに「日本の秘湯」に掲載されている宿は、それぞれに趣があって私の個人的な趣味に合うところが多いので、長く参考にさせてもらっている。書籍を購入した際に「ここに掲載されている温泉に、いくつ行けるだろう」と楽しみにしていたのだが、実際に訪問できたのはわずかばかりである。 人生は想像以上に短く、時間は駆け足で走り抜けていく。この書籍を購入した20年前の私に「いつか行こう、と考えていると、いつまでも行けずに終わってしまうぞ」と諭してやりたい。しかし当時の私にそんなことを言っても「ああ、そうですよね」と軽く流してしまうと思う。それもまた人生なのだろう。 今宵の宿泊地「旅館 大沼」へ そんなことを考えつつ、バス停から旅館へ向かう。まっすぐな道を歩いて行くと「旅館 大沼」という看板と「日本秘湯を守る会」の提灯が見えてきた。  玄関の引き戸を開け、受付にいらした女性の方に「本日予約をしたものですが、早く到着してしまって…」と声をかけると、大丈夫です、と快く対応していただけた。旅をしていて、ほっとする瞬間のひとつが、宿のチェックインがスムーズだった時である。よし、これでもう今日は大

【東北温泉旅 2泊3日(2)】鳴子温泉駅(宮城県)で途中下車。

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瀬見温泉から、東鳴子温泉へ 温泉旅2日目は、宮城県の「東鳴子温泉」である。私は仙台市出身なので、鳴子温泉には馴染みがある。今までにも「 湯めぐりチケット 」を購入し、温泉を梯子して楽しんだりしてきた。しかし、日帰り温泉ばかりで宿泊した体験がなかったので、今回は泊まってみようということになったのだった。 瀬見温泉をあとにし、陸羽東線で「鳴子温泉駅」を目指す。宿の方に送迎していただき、時間通りに駅に到着したまではよかった。ところが、なかなか電車がやってこない。「だいぶ遅れているみたいですよ、風と雪の影響でしょうね」と駅で一緒になった方と話をする。宿の方に「風が強いと電車が止まることがある」と聞かされていたので、運休はしないよなあ、と下に伸びているツララを眺めながら考える。 雪と風の影響? 電車がこない。 一緒に電車を待っていたご夫婦が「もし電車がこなかったら、もう一泊する?」と話している。私たちの場合は、すでに今日の宿を予約しているから、なんとかして移動しなければいけない。しかし電車が止まるような天候で、バスやタクシーでの移動は可能なのだろうか? なにしろ今日は「10年に1度クラスの寒波」なのだ。仮にタクシー移動となれば割高になるし、途中で渋滞するようなことがあれば大変だ。 そんなことを考えつつ、暖房のない駅舎で足踏みをしながら待っていると、踏切の音が聞こえてきた。瀬見温泉駅は無人駅なので、電車の到着を知らせてくれる駅員さんもアナウンスもない。急いでホームへ出ると、遠くから雪をかき分けて走ってくる電車の姿が見えた。ほっ、として暖房の効いた車内へ乗り込む。定刻よりも30分ほど遅れたようだが、30分程度で済んだのなら問題ない。運休せずに走行してくれたことがありがたい。 今回乗車した陸羽東線は、運転手が車掌も兼ねている。無人駅で下車する時は、運転席横の料金箱に乗車券と運賃をいれ、必要に応じて運転手が確認するというスタイルになっている。その様子を眺めていると、想像していたよりも運転手に話しかけている乗客の割合が多いことに気がついた。多くは乗車料金に関する質問のようだが、年配のお客さんが多いせいかスムーズに終わらないことも度々あった。中には乗り換え先の状況を質問している人もいた。 丁寧に対応している様子を見ると、この対応も日常業務のひとつなのだろう。中には数分にわたって話している

【東北温泉旅 2泊3日(1)】真冬の瀬見温泉(山形県)で一泊。【ゆめみの宿 観松館】

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瀬見温泉は、真っ白な雪の中に 12月中旬、妻と旅行に行くことにした。いくつか候補地があったのだが、最終的に「今回は遠出をせず、近場の温泉地でゆっくり過ごそう」ということになった。普段の私達ならば「できるだけ遠くへ、時間ギリギリまで観光」という計画を立てるのだが、今回は妻の体調を回復するための湯治が目的なので「近場の温泉地」ということになったのだった。日程は2泊3日。初日は 山形県の瀬見温泉 である。 そして結果的に、この選択は正解だった。私たちが出発した当日は「10年に1度クラスの寒波」がやってきていて、強い雪と風で移動には不向きなタイミングだったのだ。旅先で出会った瀬見温泉の方からは「昨日はまでは雪もなく、過ごしやすかった」と挨拶がわりに言われたので、よほど急激に変化したのだろう。実際の 陸羽東線「瀬見温泉駅」 の様子がこちらである。 真っ白な雪に覆われた無人駅。中央に線路が引かれているのだが、それすらも雪に覆われて見えない状況になっている。「線路が雪に包まれていても大丈夫なのだろうか?」と心配していたのだが、このあと普通に雪をかきわけて電車がやってきた。 駅舎の中に、瀬見温泉の紹介パネルが展示されていた。それによると、瀬見温泉には「義経と弁慶」に関する伝説が数多く残っているとのこと。歴史に興味がある方には魅力的な場所であると思う。 雪でも、とりあえず観光はしたい 瀬見温泉に到着してからずっと、雪は降り続けている。雪道に慣れていない私たちには、普通に歩くにも慎重になるようなコンディションである。しかし、それでも近場の観光は押さえておきたい。 まずは今回の宿泊地「 ゆめみの宿 観松館 」へチェックインしてから、フロントの方に「このあたりの観光スポットは?」と質問すると、お勧めの場所を教えてくれた。それを参考に、傘をさし、スノーブーツを履いて出かけることにする。 一箇所目は「 産湯 」。湯前神社の前に、手水舎(?)が設置されてある。ここからは、水ではなく「温泉」が流れ出しており、飲泉することが可能だった。 手にうけて、少し舐めてみることにする。温かいだけでなく、独特の香りと風味がある。わずかばかり舐めただけなのだが、地球から湧き出る力を身体に取り込み元気になったような気分になる。単純である。 二箇所目は「 薬研湯 」。弁慶がなぎなたで岩を砕いたところ、温泉が湧き出たと

旅は「準備の時」から始まっている。そして「終わってから」も、おもしろい。

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旅は、旅の時間よりも、旅以外の時間がずっと長い  旅は、実際に現地にいる時間よりも準備をしている時間の方がずっと長い。  海外旅行などは、航空券の手配からパスポートの準備、あれやこれやを確認しつつ、仕事を休む手回しも必要だ。ざっと三ヶ月ほど前から準備を始めるのだが、現地で過ごす時間は一週間程度で終わってしまう。 あまりにも準備に費やす時間の方が長い 。  現在では、ネットで検索すれば現地の詳細な情報が出てくるし、Youtubeを見れば動画で確認することもできる。もはや現地に行く前に大量の情報に触れているので、当日は「ああ、そうそう、ここはこんな感じだよね」と事前に予習した内容の再確認になることもある。  限られた予算と休みをフル活用して海外にいくのだから失敗したくはない、と 熱心に情報を調べた結果「新鮮さを喪失する」 という、なんだか本末転倒なことになってしまう。 そして旅は、続いていく。  そこで何度か 「事前に旅の下調べをしない」 という方法を試すことにした。つまり「宿泊地」だけ決めて出発し、あとは現地で適当に調べながら旅を進めていく、という方法だ。  これはこれでなかなか良かったのだが、帰宅してから「あ、ここに〇〇があった。行きたかった!」ということに気がついた時の喪失感は意外に大きい。遠出をしている時などは、なおさらだ。歩い程度の下調べは必要だ。しかしそれが、どの程度なのか難しい。  そのような試行錯誤(?)を繰り返した結果、最近は 「準備をしている時も、旅なのだ」 と考えるようになった。 旅の準備をしているのではなく、この作業も旅の一部 なのだ。  そして、旅が終わってから「あの時は大変だったよね。でも面白かった!」と、同行者と話をする。一人旅の時は「こんなことがあってね」と、聞いてもらえる人に話をする。 その時間も旅の続きに違いない。そう 「旅は、準備の時から始まっている。そして、ずっと続いていく」 のだ。  人間は忘れる生き物だから、ほとんどの体験を喪失していく。一年、いや数ヶ月もすれば「なんとなく」しか記憶が残らない。せっかくの旅が、それではもったいない。  だから私は、こんな風に文章にしたり「あの時は面白かったね」と、同行者と話すようにしている。 少しでも記憶が鮮明なうちに。お互いの感情が豊かなうちに。  そんな時間を繰り返していけば、人生の旅が終

【バリ島へ行った話 まとめ】遠くて、近くて、遠い場所。(はじめてのバリ島旅行記)

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旅をする、ということは極めて個人的な体験 である。同じ時間に、同じ場所を旅したとしても、そこに見えるもの感じるもの記憶に残るものは様々である。同じようで、同じではない。ある人にとって「人生を変えるような体験」が得られた場所でも、ある人には「確かに面白いけれど、そうでもない」場所であることあるだろう。同行する人、周囲に居合わせた人、天候、諸々の事象によって、それはつくられていく。 今回の【バリ島へ行った話】も、私の個人的な体験を書き連ねていった。私にとっては「記憶に残った体験」を書いてきたわけだが、あまりにも個人的な体験が中心のため、読んで下さった方に役立てていただける情報はほとんどないだろう。それでも、どこか何かを共感していただける部分があったのなら、筆者としてはほんとうにうれしい。 まだ書こうと思えば続けられそうなのだが、当初の目標だった「10回更新」は達成できたので、予定通りここで終わりにしようと思う。そういえば、バリの伝統舞踊(レゴンダンス)を鑑賞した話や、その時のガムランが素晴らしかったこと、ウブドの夜や、バリアンを訪問したことなどなど、書いていないことがたくさんある。やはりもう少し続けてみようか、と一瞬思ったのだが、やはり初志貫徹で今回で終了することにする。 まとめてみると、 私にとってバリは「遠くて、近くて、遠い場所」だったように思う。 初めて行ったのに、どこか懐かしいような既視感があった。まるで「日本国内を旅している時のようだった」とは、さすがに言い過ぎだと思うのだが、そこまで遠くの国へ来ているような気がしなかった。また来年の夏になったら遊びに来るよ、と祖父の家を訪問する時のような距離感。行こうと思えば行けるけれど、普段はちょっと遠く感じる場所。そんな印象のある国だった。 またいつかバリへ行ってみようと思う。それは数年後か、数十年後か、それはわからない。それでも、少なくとももう一回、二回は、残された人生の中で訪問することになるような気がしている。その時バリは、今回と同じ表情で迎えてくれるのか。それとも大きく変容しているのか。それもまた楽しみにしてみたいと考えている。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。 【関連】 【バリ島へ行った話(1)】出発前夜 【バリ島へ行った話(2)】パスポート&ビザ申請 【バリ島へ行った話(3)】航空券とweb

【バリ島へ行った話(10)】トラブル発生。スマホが使えない!?【ポケットWi-Fi紛失事件】

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旅にトラブルはつきものである。今回のバリ旅行でも、いくつかトラブルがあった。ヴィラの回で「 ソケットトラブル 」について書いたが、今回はもうひとつ「ポケットWi-Fi紛失事件」について書いてみようと思う。  海外旅行でスマホは必須アイテムである。店探しから、マップから、ホテルの予約、そして飛行機のチケットまで、ほぼすべてをスマホに頼っているのが現状である。そんなスマホが使えなくなったとしたら…。 ポケットWi-Fi事件 バリ旅2日目のことである。私たち2人はウブドを散策することにした。一旦、ガイドさんと別れ、2人だけでウブドを散策したあと、ガイドさんと合流することになった。ウブドを散策するのは初めてだったが、スマホがあれば集合場所までたどり着けると思ったし、とくに難しいことは起きないだろうと思っていた。 そう、スマホがあればね。 実際に、ウブド散策はスムーズに始まった。行ってみたいと考えていた店に行き、探していたものも見つかった。いい買い物ができたね、近くにこの店があったら定期的に寄りたくなるよなあ、また来たいね、とそんな言葉を交わしながら、店を出てマップを確認しようとスマホを取り出した時に気がついた。 スマホの電波が来ていない! そう、ポケットWi-Fiの端末をガイドさんの車の中に置いてきてしまったのだ。 海外の知らない場所でスマホが使えなくなる瞬間は、想像以上に精神的ダメージが大きい。突然身ぐるみを剥がされて、 無一文で放り出された様な気分 。ガイドに連絡もできないし、マップで約束の場所を検索することもできない。もちろんヴィラに電話もできない。どうしたらいいんだ? さて、どこへ相談すればいいのだろう? とりあえず待ち合わせの場所の近くに行ってみよう、と妻と2人で歩いて行ったのだが、その場所がわからない。フリーWi-Fiがあるかもしれないと周辺を探してみたりしたものの、やはりこれもよくわからない。ガイドさんは、待ち合わせの場所で待っているはずである。仮にこのまま時間が経過してしまったとして、あれ?何かトラブルがあったのだろうか? と探しに来てくれる確率はほとんどないだろう。下手すると、夜までそこで待っていてくれるかもしれない。そんな雰囲気がある。 さあ、どうする? これから、どこへ行けばいいのだろう? しばらく考えた未来、先ほど買い物した店に戻って 店のWi

【バリ島へ行った話(9)】バリといえば、スパ!?(はじめてのスパ&エステ体験)

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バリといえば「スパ&マッサージ」 個人的に 「バリ =スパ&エステ&マッサージ」というイメージがあった。 なぜそのようなイメージを抱いたのかは忘れてしまったのだが、手頃な料金で気軽にスパ&マッサージを受けられるという印象があった。しかし 私は今までに、スパやマッサージを受けたことがない 。登山で膝を痛めた時に、接骨院で施術された程度である。ましてや エステなどという言葉は、私の辞書には存在していなかった。 さらに「男がエステ? いやいや男の顔なんて、水で洗っておけば十分だ!」と、昭和生まれの男らしい偏見(?)もあった。なので、 妻がエステに行っている時間、他のことをして過ごそうか と考えていたくらいだった。 しかしガイドブックなどを見ていると、どうやら男性も普通に受けているらしい。妻に「男でもスパとかエステなどを申し込んでもいいのだろうか?」と聞いてみると「え? いいと思うよ」と、当然あなたも受けるでしょう? といったような雰囲気だったので、ああそうなのか、じゃあせっかくだから体験してみようか、ということになった。旅の恥は掻き捨て、というやつである。使い方が適切ではないと思うが、まあそういう流れである。 まずは「バリニーズ・マッサージ」を体験 今回は2店舗で施術を受けることができた。最初の店舗はガイドさんに 「バリニーズマッサージを体験してみたい」 と相談したところ、予約をして連れていってもらった店である。妻と2人で個室へ連れていかれ、40分ほどマッサージをしてもらった。日本語は通じず、片言の英語で会話をする店だった。 正直なところ「あまり記憶にのこらない」内容だった。「バリニーズマッサージは、痛いかもしれないので、痛いときは言ってください」と事前に説明されていたのだが、特に痛いこともなく 「やんわり、ほぐされている」という感じで終了してしまった。 「うーん、これは効くなあ!」といった瞬間を期待していたのだが、なんとなくぼんやりとした感じで終了してしまった。料金は4.000円くらいだったと思う。 こうして「はじめてのマッサージ体験」は 「まあこんな感じかな」という印象で終わってしまった。 「もっと強く!」などとリクエストすればよかったのかもしれないが、私の語学力不足とコミュ力不足で、なとなく終わってしまったのだった。つまり、悪い印象はないが、特筆するようなこともなく

【バリ島へ行った話(8)】滝に打たれて、浄化されたい。(ムルカット体験)

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バリで、滝に打たれたい。 妻が「滝に打たれたい」という。 バリでは寺院などで水を浴びて浄化する「沐浴」という習慣があるのだが、滝に打たれて浄化する 「ムルカット」を観光客でも体験する ことができるらしい。 実際のところ、内容をよくわかっていなかった私は「ああ、いいよ」と返事をした。今までの人生で滝に打たれたことはなかったので良い経験になりそうだし、初めての滝行がバリというのも、趣深い体験になると思ったからだ。 なによりも、女性(妻)に「〇〇を体験してみたい」と言われたのなら(たとえ、内容がよく理解できていなかったとしても)「ああ、いいよ」と答えるのが、男性(夫)としての適切な振る舞いであろう。その方が、きっと世界はうまく回る、はずで、ある。 そのようにして「ああ、いいよ」と参加した、バリ島での「ムルカット体験」だが、実際には伝統に則った貴重な体験をすることができ、充実した時間を過ごすことができたので、これから感想を記してみたいと思う。 伝統的な「ムルカット」体験 今回の「ムルカット体験」は「ダリ・ハティ・バリ」という、バリのツアー業者さんにガイドお願いした。先導してくださるワヤンさんは、聖職者の資格をお持ちということで、 伝統的な作法に則った体験ができる ということだった。私は「滝へ行って、手順を教えてもらい、滝に打たれる」という簡単なイメージで参加していたのだが、滝に向かう途中から伝統的な手順を踏まえて体験することができるということだった。にわかに気が引き締まってくる。 宿泊しているヴィラから車で移動すること、1時間30分あまり。バリのまっすぐな陽射しと新緑に包まれた渓谷の間に、今回ムルカットを体験する 「スバトゥの滝」 がある。まずは参道への入口で二体の神様にお供えをしてから、滝へとつづく階段を降りていく。私たちの他に、滝を目指す人たちは数名ほど。他の観光地とは異なり静かで落ち着いた、そしてバリらしい熱気がほのかに感じられる場所である。 遠くて、どこか懐かしい場所 階段を降りていると、 日本の里山をトレッキングしているような気分 になった。週末に、近場の山をぐるりと散歩している時のような気分というのだろうか。確かにここは、日本から飛行機にのって5.000km以上も離れた場所だというのに、どこか日本にいる時のような感覚になるのが不思議だ。しかしもちろん、ここはバリ

【バリ島へ行った話(7)】グヌンカウィ・スバトゥ寺院へ(はじめてのバリ観光日記)

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バリ島には世界遺産を始め、美しい寺院がたくさんある。「色々な場所を見てみたい」と思っていた私たちは2日間かけて 「タマン・アユン寺院」「タナ・ロット寺院」「ティルタ・ウンブル寺院」 など、様々な寺院を見て回った。それぞれの寺院にそれぞれの歴史があり、特色があり「行ってよかった」と感じる場所ばかりだった。 その中でも個人的に(あくまでも個人的に)印象に残った寺院を選ぶとするならば 「グヌンカウィ・スバトゥ寺院」 になると思う。まず最初に特筆すべきは「観光客が少ない」という点である。 他の寺院は多くの人で賑わっており、いかにも「有名な観光スポット」といった雰囲気であった。ところが 「グヌンカウィ・スバトゥ寺院」は驚くほど観光客がいなかった。 私たちの他に数名程度だったと思う。むしろ沐浴する地元の子供達の姿の方が多いくらいで、静かで落ち着いた気配を楽しむことができたのだった。これだけでも十分に訪問する価値がある場所だと思う。 ・バリ島の寺院を訪問する時のマナー バリ島の寺院を訪れる際には、守るべきマナーがある。そのひとつに 「露出を控えた服装をする」 ということ。男女ともに短パンのように足が出ている服装をしている場合は、サロン(サルン)と呼ばれる布を腰に巻いて肌を隠す必要がある。 私は短パンを履くつもりだったので、日本からサロン用に布を持参していた。ガイドさんに「これでも大丈夫ですか?」と確認してもらうと「日本から持ってきたのですか? えらいですね」と褒めて(?)いただけた。とくに色や柄にきまりはなく、好きなものを選べば大丈夫です、とのことだった。 巻き方がわからないので、ガイドさんに布を渡して巻いてもらうことにする。「男性の場合は、こう先の部分を前に垂らして・・・」と、 あっというまにサロンを巻いた男の完成 である。ちょっと巻きスカートを履いているような気分で新鮮だった。その時の写真が、こちらだ。 この時はメッシュのスニーカーを履いていたのだが、ちょっとバランスが悪く見える。現地のガイドさんはサンダルだったので、自分もサンダルに替えた方がよかったかもしれない。マナーを守りつつ、自分らしいコーディネートを楽しんでみるのも楽しいと思う。 ・気に入ったサロンを手に入れて、寺院へいこう ちなみに妻は、 寺院に向かう前にバティック専門店に寄って、サロン用の布を購入 していた。そこ