太宰治の生家「斜陽館」へ行く 太宰治をめぐる青森への旅(1)
「斜陽館」へは、行くことができなかった。 今年の5月の連休は、4日間ほどかけて青森方面に旅してきた。色々な場所へ行って色々なものを見てきたのだけれども、僕にとって今回の旅のハイライトは「 斜陽館 」を訪問できたことだった。 今までにも青森へは何回か旅をしてきたけれど、 なぜか斜陽館へは行くことができなかった 。時間的に厳しくなって予定を変更したり、吹雪と大雪で道路が通行できなくなってしまったりなど、など。とにかく様々な理由で訪問することができなかったのである。 ここまで縁がないということは、もしかすると、このまま永遠に訪問できないのではないか? なにかしら見えない力が働いて拒絶されているのではないか。とまあ、そのようなことを冗談まじりに考えつつも、意外と本気で「今度こそ! いやもしかすると今回もまた何かトラブルが起きて…」などと考えつつ、仙台から出発したのであった。 そして「斜陽館」へ向かう 斜陽館へは旅の二日目に向かう予定だった。弘前から岩木山神社へ向かい参拝後、白神の森を歩いてから、最後に金木町へ向かう計画だった。少々タイトなスケジュールではあったけれどもトラブルや渋滞などがなければ、スムーズに到着する予定だったのだが… … 。 と、さも何かトラブルがあったかのような書き方をしてしまったのですが、実際はほぼ予定通りに金木町に到着することができた。順調に進む時というのは、まあこんなものである。駄目な時は、どうあがいても駄目なのだが、うまくいく時はさらさらと流れていくのである。 写真で何度も見た、あの「斜陽館」と対面。 カーナビと看板の案内を確認しながら、斜陽館に車で近づいていく。(直進。次の交差点を右です。まもなく目的地付近です) 進行方向の右手に、写真で見た「あの建物」があった。おう、やったぜ。とりあえず、ここにこうやって到着できたというだけでも、今回の旅は成功だったと思えるほど嬉しかった。 仙台市から斜陽館まで、車で約370km。さほど遠くはないが、近くもない。とにもかくにもとうとう来たぜ。おそらくこの時の僕の顔には、かなりの達成感が漂っていたに違いない。 駐車場の前に立っていた係員が近づいてくる。「駐車場が満車だから、そこの銀行の前に止めてくれ。大丈夫だから」と