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金沢で、おでん(高速バスで仙台→金沢への旅 No.11)

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おでん若葉で、金沢おでんの夕食 金沢は全国でも有数の「おでんを食べる地域」らしい。ソウルフードと、いうやつだろうか? すこし違うかもしれないが、とにかく「金沢へ行ったなら、おでん」は食べておきたい。と、いうわけで、 ミナペルホネン の近所にある「おでん若葉」へとやってきた。 開店から1時間も経過していない、まだ早い時間だというのに店内のカウンターは、8割方埋まっていた。案内された席に座り、店内を見渡すと地元のお客さんが多いような印象を受けた。とりあえず、目についたものをカウンター越しに注文する。 あ、うまい。金沢に来てから感じていたのだが、こちらの地域の味付けは自分の好みに良く合うような気がする。濃すぎず、薄すぎず、これなら毎日食べても飽きないな、という味付だった。「これ、うまいっすね!」ではなく「あ、うまいねえ」と、しみじみ食事をするような感じ。ちょうどいい塩梅である。 おでん どて焼き 茶めし  どて焼き、も初めて食べた。「もうひと串!」と追加したくなったが、あとで腹が苦しくなるのはわかっていたので我慢した。ひととおり食べてみたいネタを注文したあと、隣のお客が締めに「茶めし」を頼んでいたので、自分たちもそれに倣って頼むことにした。うん、間違いない。ちょうどいい感じの腹具合になった。 こちらの店では、注文すると木の値札を客の前に置いていくシステムになっている。お会計をお願いすると、大将がやってきて値札を勘定し料金を教えてくれる。年季の入った値札と大将の仕草を見ていると、どのくらいの時間、ここでこうやって接客をされてきたのだろう、と思う。なんとなく神妙な面持ちで計算されるのを待ち、告げられた料金を手渡した。 「どちらから、いらしたのですか?」(3回目) 大将に「どちらからいらしたのですか?」と、話しかけられる。ああ、また聞かれたなあ、やはり地元の人とはどこか違っているのだな、と思いつつ、仙台からです、と答える。ああ、仙台は良いところらしいですね、連休は牛タンが売れたみたいですね、とにっこりされる。旅に出て、遠くの街にきて、食事をして、こうして声をかけてもらえると、旅をしてよかったな、としみじみする。また、この店に来られるだろうか。ここで、おでんとどて焼きと茶めしを食べられるだろうか。そん

ミネペルホネン金沢店へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.10)

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金沢21世紀美術館へ・・・そして断念 ホテルに荷物を置いたことで、かなり身軽になった。これならば、まだまだどこまでも歩いて行けそうだ、という気分になる。そして、次に目指すは「21世紀美術館」。一応、クリエイターを名乗っている以上、美術館は押さえておきたいスポットである。 市場もひがし茶屋街 も大混雑だったが、美術館ならそこまで混まないだろう。そう、気軽に考えて向かったのだが……。 甘かった。そう、完全にアマちゃんだった。チケット売り場の前には長蛇の列。ざっと、見積もっても100人を越えるのではないか、という人の列。しかも、展示室の入り口にも順番を待って並んでいる人の姿が見える。さすがに、これは無理だ。並んでいるだけで、残りの時間が終わってしまうかもしれない。明日(旅の最終日)ならもう少し空いているかもしれないから、明日に賭けよう。せっかくなので、庭に設置されていた作品の前で写真を撮ったあと移動することにした。 ミナペルホネン 金沢店へ 21世紀美術館を後にし、バスに乗る。次に向かうは「 ミナペルホネン  金沢店」である。連れがミナペルホネンのファンなので、ここに行きたいと話していたのだった。ちなみに自分は「ミナペルホネン」のことをローマ字読みをして「ミナ パーホネン」と間違って覚えていた。もし私と同じように間違った読み方をしている男性がいたならば、女性の前で知ったかぶりをして恥をかかないように気をつけていただきたい。 店舗へはバス停で降りてから、徒歩で移動する。閑静な住宅街の中を、スマホのマップを見ながら歩いていく。「ほんとうに、こちらで大丈夫なのか?」と思いながらも、マップの矢印が指し示す方向に進んでいくと、あった。一見すると立派なお屋敷だが、門のところに看板が出ている。間違いないここだ。 おじゃまします、と靴を脱いで上がらせてもらう。ほのかに薄暗い気配の室内に、窓から射し込んでくる淡い外の光が、美しくディスプレイされた品をぼんやりと浮かび上がらせている。不思議と居心地がいい。連れは目をキラキラさせながら、感触を確かめるように、そっと品物に手を触れている。乙女心全開になっているようだ。そして、この世界観に囲まれていたならば、そのような気分になることも理解できる。さきほどから、あちらこちらをぐるぐると回っ

オヨヨ書林と、ひらみぱん(高速バスで仙台→金沢への旅 No.9)

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旅先で「古本を買う」ということ 旅先での楽しみのひとつが、古本屋をめぐること、である。ずっと探していた本に、ようやく出会えたよろこび。そして「この本は、旅先で寄った古書店で偶然見つけたんだ」と、旅のエピソード付きで楽しむこともできる。 以前、古書について、 「古書には人の手を渡っている物語があり、それをつないでいこうとする想い(のようなもの)が加わっていく。それが「紙」である限り、時間と共に劣化が進み原型を保つことは困難になる。しかし、そこには新しい物語が加わり豊かさを増していく。( 古書を買う、ということ より)」と、書いたことがある。 多くの人にとっては「ボロボロの古い本」でも、自分にとっては「旅先で見つけた思い出の本」になる。時々手にとって、装丁を眺めながら入手した時のことを思い浮かべつつ「あの店は、まだあそこにあるかな?」などと考えたりもする。それは自分にとって、地味だけど豊かな気配に浸れる楽しい時間のひとつだ。 今回の金沢旅でも、ガイドブックに紹介されていた「オヨヨ書林」へ寄ってみることにしていた。掲載されていた店の写真がいい雰囲気だったので、行ってみたいと思っていたのだ。限られた旅先の時間を、趣味の古本屋めぐりに費やすのは気がひけるのだが、幸いなことに連れが、すぐ近くにある「ひらみぱん」に行ってみたいというので、ちょうどよかったのである。 バスへ乗って「せせらぎ通り」へ ひがし茶屋街からバス通りへ戻り、香林坊で下車。「 せせらぎ通り 」を通って目的地まで歩く。せせらぎ通りの名前は道に沿って流れる 鞍月用水に由来するのだそうだ。さらさらと流れる水音を聞きながら、はじめての町を散策するのは楽しい。金沢は雨の日が多い、と聞いていたのだけど、幸いにして二日連続の晴天に恵まれたこともあり、こうやって気持ちよく歩くことができる。ありがたい。 そんなことを考えながら歩くこと数分。交差点のところに人が立っているのが見えた。あのあたりに何かあるのだろう、と検討をつけて近づいていくと「ひらみぱん」があった。店内で食べるために順番待ちをしている人が数人いたので、自分たちはパンを買ってどこかで食べよう、ということになった。店内は、こじんまりとしたスペースだったので、パン選びは連れに任せることにして、自分は「オヨヨ書林

宇多須神社から、宝泉寺へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.8)

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宇多須神社に参拝する 自分は人が多いところはあまり得意ではない。イベントなどでも、気がつくといつの間にか会場の端のほうに移動してしまっている方である。今回もなるべく人が少ない方にと歩いているうちに気がつくと、 ひがし茶屋街 をはずれ、 宇多須神社 の境内にたどり着いていた。 ちょうどタイミングが良かったのだろうか。境内には自分達の他に一組の参拝者しかいなかった。ほんの百メートルほど離れただけの路地は、肩がぶつかりそうなほど混雑していたのに、ここには静寂さが漂っている。神社の入口に設置されていた案内によると、宇多須神社は金沢城の鬼門の方角に設置されているのだそうだ。この神社が鬼門を封じているのかと考えると、頼もしくそして清々しい空間に感じられてくる。 参拝を済ませ、ふと軒下の物陰に気がついて覗き込むと忍者の姿があった。一瞬、誰かが掃除をしてるのかと思い驚いてしまった。あやうく「あ、すみません」と声を出してしまわなくてよかった。ぼーっとしながら歩いていると、結構驚くので皆さんも気をつけてください。 子来坂をあがって、宝泉寺の眺望スポットへ 参拝を終え、次に向かうのは宝泉寺。そこに金沢市を一望できる眺望スポットがあるということで、行ってみることにした。神社の鳥居を出て左折。そして角をすぐに左折。見上げた先には勾配のきつい坂が見える。ここで汗をかいて体力を削られるとキツイなあ、という考えが一瞬頭をよぎったものの、この先に見事な景色が広がっているような予感にしたがって、せっせと歩いて行くことにした。 子来坂を歩くこと数分。なかなかの勾配ではあったものの、歩きやすい道だったので汗をかくこともなく順調に宝泉寺に到着することができた。そして、息が切れた分を差し引いても十分におつりがくるほどの、素晴らしい風景を見ることができた。 目の前に広がる金沢市の風景。ふと立ち寄った場所でこのような絶景に出会うことができるのが、旅の醍醐味のひとつである。当日は、自分たちの他に二組の観光客がいるだけだったので、鳥のさえずりを耳にしながら落ち着いた空気の中で存分に楽しむことができた。昨日に引き続き、天気もすばらしい。旅に出てよかった、9時間の高速バスを耐え切ってよかった、としみじみする。 芥川も立ち寄った場所? ちなみに「芥川龍之介が金

近江町市場からひがし茶屋街へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.7)

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出発の前に「1日フリー乗車券」を購入 電車に乗って、金沢駅へ到着。駅前の案内所で「 北鉄バス1日フリー乗車券 」を購入する(大人500円)これで今日1日は、バスに乗り放題だ。ちなみに、このフリー乗車券はバスの車内では購入できないので、事前に販売している場所で購入しておく必要があるので注意が必要である。自分は車内で購入できると勘違いしていたので、あやうく買いそびれるところでした。 近江町市場で、朝ごはんを…。 乗車券を購入し、まず最初に向かったのは「 近江町市場 」。昨晩は、食事処はどこも長蛇の列で時間をとられてしまったので、今日は少し早めの時間に市場へ行って地元の魚介類を食べてみようと思っていたのだが・・・そう、甘かった。すでに市場はかなりの人で賑わっていた。 まあ、みんな同じようなことを考えますよね。しかし、午前中でこの混雑ということは、ピークの時間帯にはどうなるのだろう? などと人の波に揺られながら、とりあえず立ち食い形式のところで、エビやウニなどを入手する。 実は(と、わざわざ強調するほどのことでもないのだが)自分は、ウニが苦手である。エビもさほど好きではない。高級な食材を食べないので「安上がりでいいね」などと、からかわれることもある。 酒も飲まないし、タバコも吸わないし、女性を追いかけたり(?)もしないので「お金が貯まっていいね!」と年配の方達に言われることもあるのだが、実際には酒とタバコの費用を、本を買ったりこうやって旅に出たりしているので、結局のところ出費の額はさほど変わらないと思う。わざわざそんなことを、ここに書かなくてもいいと思うのだが、なんとなく思い出したので記しておく。 大人になったら「うまさ」が、わかる? それにしても、子供のころは「大人になれば、ウニの美味さがわかる」と大人たちに言われていたので「大人になれば、突然『おいしい!』と思う瞬間がくるのだろうか。それとも、少しずつ好きになっていくのだろうか」と、その時を楽しみにしていたものだった。しかし、待てど暮らせど「おいしい!」と感じる瞬間はやってこなかった。 「本当にうまいウニを食えば、好きになる」などと言われて、折々に挑戦したこともあるのだが、やはり無理だった。ある日突然、味覚が変化するようにも思われないので、たぶん

宿泊地の夜(高速バスで仙台→金沢への旅 No.6)

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連休中につき、何をするにも長蛇の列 初日は予定よりもスムーズに進んだ。そう、ここまでは。ところが、夕食の場所を探し始めたあたりから、スケージュールが遅れ始めてしまった。 まず最初に「金沢は、回転寿しのレベルが高いらしい」ということを耳にしたため、回転寿しの店に行ったところ、最初の店は二時間待ちコース。もう一件は「本日の受付は終了」状態。仕方がないので、駅ビルに入っている飲食店をぐるぐると回り、さらに隣のビルに移動し、比較的並んでいる人が少なかった「天丼の店」で食事をすることにした。 ようやく席に座れた、という安堵感もスパイスになって、うまいうまい、と普段なら残してしまうような大盛りの天丼を、文字通り「ぺろり」と食べてしまった。うまかった。食べ終わってから店内を見渡してみると、隣と後ろの席が外国人のみなさんだったということに気がついた。やはり日本での食事といえば「てんぷら」が人気なのだろうか、などと思いながら、お茶を飲んで店を出た。 金沢から能美へ電車で移動 今日は、能美市根上に宿をとった。金沢駅からは、北陸本線で30分ほどの移動になる。昨晩が車中泊だったので、少しでも早くチェックインしたいと思っていたのだが、ホームで待っても電車がやってこない。電車を待つ人の列が長くなっていく。いったいどうしたのだろう、と思っていると、車両トラブルで一本分遅れるというアナウンスがあった。 食事をする場所を探している時間と、車両トラブルの時間で、予定よりもだいぶ時間が押してしまった。普段なら、まあ仕方ない、と凌ぐのだが疲労もピークとなり、だんだんぼんやりとしてくる。本当に、次の電車はやってくるのだろうか? などと疑心暗鬼になりつつ肌寒いホームに立って待っていると、ようやく電車がやってきた。ほぼ満員状態の車両に乗り込んで、ひと息つく。横の家族が「電車が遅れてバスに乗れないから、迎えにきてもらわないといけない」と話している声を耳にしながら、電車に揺られているうちに目的地についた。 ホテルに向かいチェックイン待ちをしていると、近くにいた人が「連休でどこも混雑していますね」と話しかけてきた。「さっきもスーパーに寄ったらもう閉店していて、無駄足でした」「タイミングが合わない時は、合わないですよね」などと雑談をしたあと、ではお互いにがんばりましょう、と会釈をして別

室生犀星記念館(高速バスで仙台→金沢への旅 No.5)

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室生犀星記念館へ 寺をあとにした段階で、時計の針は午後四時を少し回ったところだった。近場ならば、あとひとつは回れそうだ。そう考えて調べてみると、ここから徒歩数分のところに「室生犀星記念館」があることがわかった。室生犀星関連の施設を連続で回ることになるが、行ける時に行っておいた方がいいだろう、と考えて行ってみることにした。 歩き始めて、ものの数分もしないうちに 室生犀星記念館 に到着した。展示されていた資料の説明文を読みながら館内を回っていく。さきほど、 雨宝院 で教えていただいた内容に関連する展示物を見ることで、じっくりと復習することができた。金沢に来るまでは「室生犀星? 代表作が『性に目覚めるころ』で、多くの校歌を作詞した作家」程度の知識しか持ち合わせていなかったのだが、二つの施設を連続で見学したことによって犀星に関する情報が一気に増えた。このような旅もいいものだな、と思う。 館内では、室生犀星が自作を朗読している音声を聞くことができる。個人的に、作品から想像していた声とは印象がだいぶ違うように感じた。先入観を与えないように、どのような印象を受けたかは書かないでおくが、興味がある方はぜひ館内で聞いてみていただきたい。 音声を聞いたり、展示されていた書籍を手にとって眺めたりしているうちに、閉館の時間となった。外に出ると、まだ空は明るい色をしていた。ナビで金沢駅までの距離を調べてみると、2.5kmと表示された。徒歩で約30分。通常ならバスを利用する距離なのだが、周囲はまだ明るいし、せっかくなので散歩気分で駅まで歩いてみることにした。 「知らない場所」を、歩く旅 自分は「歩くこと」が、わりと苦にならない。むしろ、歩いて30分程度の距離ならば、バスや電車を利用するよりも歩きたい方である。それも、特に何も考えずにぼんやりと歩いている時間が好きだ。「目的地は、だいたいあの方向だろう」と、おおまかな見当をつけて、なんとなく歩く。こちらの方が近そうだ、とか、あちらよりも歩きやすそうだ、などと適当にルートを変更しながら歩く。いつまで、このような旅ができるかわからないけれど、できる間はこうやって歩いてみたいと思っている。 そんな風にして犀川を越え、今日のできごとや、目に止まった風景や建物、今日の夕食は何にしようかな