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金沢城から、ひがし茶屋街へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.15)

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金沢城へ 兼六園 の道路を挟んで向かい側に、金沢城がある。まさに「お向かい」という位置なので、観光するには便利である。当初は、兼六園のあとに立ち寄ってみようかと考えていた。ところが、石川門のところで横を歩いていた上品なご婦人が「ここは、無料のところだけでいいわよね」と話しているのが聞こえてきた。その言葉を耳にした途端、自分も無料のところだけでいいかな、と思ってしまった。 結局、無料の区間を軽く散策してから、次の目的地「ひがし茶屋街」へ移動することにした。雨が降らないうちに、もう一度ひがし茶屋街を歩いてみたいと思っていたので、そちらを優先することにした。 円長寺さんで、御輪堂を回す 昨日、 ひがし茶屋街を歩いた時 は、場所によってはまっすぐ歩けないほどの混雑だった。今日は、もう少し空いているような予感がしたので、もう一度行ってみることにしたのだった。結論から書くと、昨日の混雑が嘘のように、歩いている人の姿は半分以下になっていた。いや三分の一かもしれない。これならゆったりと散策できそうだ。 バスを降りて歩いていると、ふと魅了される風情のお寺が目にとまった。円長寺さんだった。昨日はあまりの混雑に気がつかなかったのだ。拝見させていただくことにする。円長寺さんの敷地内には「御輪堂」が建てられている。こちらに設置されている書架(仏教の経典が納められているのだそう)は回転式になっていて、書架を回すとお経を読んだのと同じ効果があるのだそう。 「ゆっくり回してね 写真もOK アップロードもOK」と張り紙があったので、謹んでキュルキュルと回させていただいた。一人では重くずっしりと感じたので、途中から連れと二人で力をこめてゆっくりと回させていただいた。そして「アップロードもOK」のお言葉にしたがって、こちらにアップさせていただいた。ありがとうございました。 本日、ひがし茶屋街へ来なければ、円長寺さんを訪問させていただくことなく、御輪堂を回すことなく、仙台へ帰るところだった。これだけでも、再訪した価値がありました。ありがとうございました。 ひがし茶屋街 ふたたび 円長寺さんを出て、ひがし茶屋街へ向かう。やはり人の姿は、昨日とは桁違いに少なくなっている。昨日は写真を撮ろうとすると、後ろからくる人にぶつかりそうになって恐縮してしまったが

特別名勝 兼六園へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.14)

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文化財指定庭園 特別名勝 兼六園へ 兼六園 は、金沢について調べた時「おすすめの場所」として、ほとんどの観光案内に大きく取り上げられている観光スポットである。しかし今回自分は「兼六園は天気が良ければ行きたいけれど、天気が悪ければどうしようかな」と、考えていた。春の冷たい雨に降られながら庭園を回るのは、ちょっと遠慮したいと感じていたのだった。絵に描いたような軟弱さである。 食事を終えた時点で、小雨が降り始めていた。天気予報では午後から「強めの雨」だったので、少し怪しい様相である。今くらいの雨模様ならば大丈夫そうだけど、これより強くなったならばどうだろう。そんなことを考えながら、しばしバスに揺られ兼六園に到着した。 結論から書いてしまおう。予想以上に、魅了されている自分がいた。自分は日本庭園には詳しくないのだが、それでも「ああ、この方向から見ると様々な要素が見事に配置されている」と素人ながらに感じる風景が、至る所に存在した。雨が降りそうなくらいで、断念しないでよかった。 天気予報通り、兼六園に到着した頃から雨が落ち始めた。春の冷たい雨、というよりは、静けさを感じる雨だった。私たちは、途中で購入してきた100円の傘をさして歩いた。水面にできる波紋が綺麗だった。 日本三名園「偕楽園」の思い出 偕楽園 、 後楽園 、そしてここ 兼六園 を総称して「日本三名園」と呼ぶらしい。自分は小学五年生の時に、偕楽園へ行ったことがある。しかし全くと言っていいほど、その当時の記憶がない。お土産やさんで、ガマの油が売られていて、友人がそれを買っていた記憶だけが、ぼんやりと残っている。わりと小さな容器に入っていて「これ、使ったらすぐになくなりそうだね」「貴重だから、もったいないな」などと話したような気がする。せっかく、偕楽園へ行ったとしても残った記憶が「ガマの油」というのは、我ながら苦笑いするしかないが、小学生ならば仕方がないとも思う。 今回、兼六園にやってきたので、後楽園へ行けば日本三名園すべてを訪問したことになる。後楽園のある岡山へは、まだ一度も行ったことがないので「いつか行ってみたいリスト」に登録しておこうと思う。後楽園へ行くことができたなら、あらためて偕楽園を再訪してガマの油以外の思い出を作ってみたいと思う。 日本最古の「

にし茶屋街から近江町市場へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.13)

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金沢の旅 最終日 旅をする度に思うのだが、旅は実際に現地で過ごす時間よりも、準備をしている時間の方が長い。計画から、宿や移動手段の手配、仕事の調整などなど、だいたい一ヶ月ほどかけてコツコツと準備を進めていくのだが、現地では「あっ」というまに時間が過ぎてしまう。 もちろん準備の時間や、こうやって旅から帰って文章にまとめている時間も、それぞれの楽しさがある。思い出はずっと残るから、旅の時間は一生分の価値があるとも言える。それでも、現地での「時間が過ぎる早さ」には、もう少しなんとかならないのかな、と思ったりする。いや、こんなことを考えたところで、なんとかなるものではないんですけどね。 そんな答えの出ないことを考えているうちに、今回の金沢旅も最終日となった。前日までは、天気にもめぐまれたし、連日10キロ以上徒歩で移動したせいか、いつもは寝付きの悪い自分が夜はぐっすりと眠ることができた。体調もいい。最終日は、早めにチェックアウトして、最後の一日を充実した時間にしていこう。そう思っていたのだが・・・。 にし茶屋街で、おみやげを と、さも何かあったように書いてみたのだが、実際はとくにトラブルもなくスムーズなスタートになった。ホテルで朝食を済ませ、まず最初に向かったのは、初日も訪問した「 にし茶屋街 」である。まだ早い時間帯だったので、歩いている人の姿も少なく、これならゆっくりと買い物ができるように思えた。 ところが、店内に入ると、すでに中は自分たちと同じ観光客で賑わっていた。とりいそぎ自分たちも「 甘納豆かわむら 」さんと「 落雁 諸江屋 」さんを回って、おみやげを購入した。 実は(と、わざわざ強調するほどのことでもないのだが)今まで自分は、甘納豆と落雁があまり得意ではなかった。嫌いではないけれど、自分から進んで食べるお菓子ではなかった。ところが今回、かわむらさんと諸江屋で試食をしたところ、どちらも美味しく感じられたので、調子に乗ってお土産ではなく自分の分まで買ってしまった。 それにしても、落雁の造形(デザイン)は、ほんとうに美しいですね。時間を経て磨き続けてこられた、シンプルだけど重厚で繊細な趣を感じます。機会があれば、くわしく学んでみたい。そう感じました。 近江町市場 ふたたび にし茶屋街を出て、一旦バス

石川四高記念文化交流館(高速バスで仙台→金沢への旅 No.12)

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広坂緑地を散策 ちょうど今くらいの時期が、歩いて散策するには最適の気候である。「石川県は雨の多い地域」と聞いていたのだけど、今回の旅では二日間とも天候に恵まれ気持ちよく過ごすことができた。明日の午後からは「わりと強目の雨」の予報になっている。見上げた空は、気持ちよく晴れ渡っていて、明日から天気が崩れるような気配がしない。このまま予報が外れてくれないだろうか、などと考えながら歩く。 日暮れの光に照らされた芝生が広がる空間を、通路の横を流れる水音を耳にしながら、太陽が沈んで行く西の方を目指して歩いていく。数分ほどで、石川四高記念文化交流館の建物の前に到着した。 石川四高記念文化交流館 ナイトギャラリー 昼に、石川四高記念文化交流館の前を通った時「ナイトギャラリー」が開催されていることを看板を見て知っていた。期間中は21時まで利用することができるのだそう。これはありがたい、と今日の締めくくりに寄らせてもらうことにした。 この建物は、 1891年に旧第四高等中学校本館として建てられたとのこと。 ライトアップされた、 堂々とそして気品のある煉瓦造りの建物を見上げていると、どこか精神が引き締ってくるような感じがする。 この校門を、当時の学生たちは誇りと向上心を持ち胸を張ってって通っていったのだろうか。そんなことを考えながら入口へ進んでいく。 薄暗い建物の中を足音を響かせながら歩いていると、ふと小学校のころの記憶が蘇ってきた。放課後に委員会で遅くなって、生徒が帰ってしまった廊下を歩いた時の記憶。みんなは、怖い、とか、早く帰りたい、と言っていたけれど、当時の僕は怖いよりも嬉しいという気持ちの方が強かった。それはたぶん「生徒が帰ってしまった後に、自分たちだけが学校に残っている」という特別感のような、文化祭の準備で放課後まで残って作業をした時のような高揚した気分を感じていたのだと思う。 あの頃の友人たちは、今頃どこで何をしているだろう。自分は同窓会に参加したこともないし、連絡等も取る方ではないので、当時の友人たちがどうしているのかは全くわからない。みんな、自分と同じだけの時間を過ごし、同じ年齢になっているのだ、と考えるとなんだか不可思議な感じがする。旅情と重なって、いつもよりも感傷的な気分を覚えながら展示物を見て回った。

金沢で、おでん(高速バスで仙台→金沢への旅 No.11)

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おでん若葉で、金沢おでんの夕食 金沢は全国でも有数の「おでんを食べる地域」らしい。ソウルフードと、いうやつだろうか? すこし違うかもしれないが、とにかく「金沢へ行ったなら、おでん」は食べておきたい。と、いうわけで、 ミナペルホネン の近所にある「おでん若葉」へとやってきた。 開店から1時間も経過していない、まだ早い時間だというのに店内のカウンターは、8割方埋まっていた。案内された席に座り、店内を見渡すと地元のお客さんが多いような印象を受けた。とりあえず、目についたものをカウンター越しに注文する。 あ、うまい。金沢に来てから感じていたのだが、こちらの地域の味付けは自分の好みに良く合うような気がする。濃すぎず、薄すぎず、これなら毎日食べても飽きないな、という味付だった。「これ、うまいっすね!」ではなく「あ、うまいねえ」と、しみじみ食事をするような感じ。ちょうどいい塩梅である。 おでん どて焼き 茶めし  どて焼き、も初めて食べた。「もうひと串!」と追加したくなったが、あとで腹が苦しくなるのはわかっていたので我慢した。ひととおり食べてみたいネタを注文したあと、隣のお客が締めに「茶めし」を頼んでいたので、自分たちもそれに倣って頼むことにした。うん、間違いない。ちょうどいい感じの腹具合になった。 こちらの店では、注文すると木の値札を客の前に置いていくシステムになっている。お会計をお願いすると、大将がやってきて値札を勘定し料金を教えてくれる。年季の入った値札と大将の仕草を見ていると、どのくらいの時間、ここでこうやって接客をされてきたのだろう、と思う。なんとなく神妙な面持ちで計算されるのを待ち、告げられた料金を手渡した。 「どちらから、いらしたのですか?」(3回目) 大将に「どちらからいらしたのですか?」と、話しかけられる。ああ、また聞かれたなあ、やはり地元の人とはどこか違っているのだな、と思いつつ、仙台からです、と答える。ああ、仙台は良いところらしいですね、連休は牛タンが売れたみたいですね、とにっこりされる。旅に出て、遠くの街にきて、食事をして、こうして声をかけてもらえると、旅をしてよかったな、としみじみする。また、この店に来られるだろうか。ここで、おでんとどて焼きと茶めしを食べられるだろうか。そん

ミネペルホネン金沢店へ(高速バスで仙台→金沢への旅 No.10)

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金沢21世紀美術館へ・・・そして断念 ホテルに荷物を置いたことで、かなり身軽になった。これならば、まだまだどこまでも歩いて行けそうだ、という気分になる。そして、次に目指すは「21世紀美術館」。一応、クリエイターを名乗っている以上、美術館は押さえておきたいスポットである。 市場もひがし茶屋街 も大混雑だったが、美術館ならそこまで混まないだろう。そう、気軽に考えて向かったのだが……。 甘かった。そう、完全にアマちゃんだった。チケット売り場の前には長蛇の列。ざっと、見積もっても100人を越えるのではないか、という人の列。しかも、展示室の入り口にも順番を待って並んでいる人の姿が見える。さすがに、これは無理だ。並んでいるだけで、残りの時間が終わってしまうかもしれない。明日(旅の最終日)ならもう少し空いているかもしれないから、明日に賭けよう。せっかくなので、庭に設置されていた作品の前で写真を撮ったあと移動することにした。 ミナペルホネン 金沢店へ 21世紀美術館を後にし、バスに乗る。次に向かうは「 ミナペルホネン  金沢店」である。連れがミナペルホネンのファンなので、ここに行きたいと話していたのだった。ちなみに自分は「ミナペルホネン」のことをローマ字読みをして「ミナ パーホネン」と間違って覚えていた。もし私と同じように間違った読み方をしている男性がいたならば、女性の前で知ったかぶりをして恥をかかないように気をつけていただきたい。 店舗へはバス停で降りてから、徒歩で移動する。閑静な住宅街の中を、スマホのマップを見ながら歩いていく。「ほんとうに、こちらで大丈夫なのか?」と思いながらも、マップの矢印が指し示す方向に進んでいくと、あった。一見すると立派なお屋敷だが、門のところに看板が出ている。間違いないここだ。 おじゃまします、と靴を脱いで上がらせてもらう。ほのかに薄暗い気配の室内に、窓から射し込んでくる淡い外の光が、美しくディスプレイされた品をぼんやりと浮かび上がらせている。不思議と居心地がいい。連れは目をキラキラさせながら、感触を確かめるように、そっと品物に手を触れている。乙女心全開になっているようだ。そして、この世界観に囲まれていたならば、そのような気分になることも理解できる。さきほどから、あちらこちらをぐるぐると回っ

オヨヨ書林と、ひらみぱん(高速バスで仙台→金沢への旅 No.9)

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旅先で「古本を買う」ということ 旅先での楽しみのひとつが、古本屋をめぐること、である。ずっと探していた本に、ようやく出会えたよろこび。そして「この本は、旅先で寄った古書店で偶然見つけたんだ」と、旅のエピソード付きで楽しむこともできる。 以前、古書について、 「古書には人の手を渡っている物語があり、それをつないでいこうとする想い(のようなもの)が加わっていく。それが「紙」である限り、時間と共に劣化が進み原型を保つことは困難になる。しかし、そこには新しい物語が加わり豊かさを増していく。( 古書を買う、ということ より)」と、書いたことがある。 多くの人にとっては「ボロボロの古い本」でも、自分にとっては「旅先で見つけた思い出の本」になる。時々手にとって、装丁を眺めながら入手した時のことを思い浮かべつつ「あの店は、まだあそこにあるかな?」などと考えたりもする。それは自分にとって、地味だけど豊かな気配に浸れる楽しい時間のひとつだ。 今回の金沢旅でも、ガイドブックに紹介されていた「オヨヨ書林」へ寄ってみることにしていた。掲載されていた店の写真がいい雰囲気だったので、行ってみたいと思っていたのだ。限られた旅先の時間を、趣味の古本屋めぐりに費やすのは気がひけるのだが、幸いなことに連れが、すぐ近くにある「ひらみぱん」に行ってみたいというので、ちょうどよかったのである。 バスへ乗って「せせらぎ通り」へ ひがし茶屋街からバス通りへ戻り、香林坊で下車。「 せせらぎ通り 」を通って目的地まで歩く。せせらぎ通りの名前は道に沿って流れる 鞍月用水に由来するのだそうだ。さらさらと流れる水音を聞きながら、はじめての町を散策するのは楽しい。金沢は雨の日が多い、と聞いていたのだけど、幸いにして二日連続の晴天に恵まれたこともあり、こうやって気持ちよく歩くことができる。ありがたい。 そんなことを考えながら歩くこと数分。交差点のところに人が立っているのが見えた。あのあたりに何かあるのだろう、と検討をつけて近づいていくと「ひらみぱん」があった。店内で食べるために順番待ちをしている人が数人いたので、自分たちはパンを買ってどこかで食べよう、ということになった。店内は、こじんまりとしたスペースだったので、パン選びは連れに任せることにして、自分は「オヨヨ書林