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夏目漱石「行人」あらすじ解説

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夏目漱石「行人」のあらすじを解説します。 今回は「普段の授業を再現してみよう」と考え、じっくりと解説を始めてみたところ想像以上に長くなり、 3時間を越える録音時間 となってしまいました。さすがに3時間は長すぎるだろうと、ざっくりと編集をして「1時間50分」にまとめたのですが、それでも長いですよね・・・。 画面を見ずに、聞き流しでも理解できるかと思いますので、年末の掃除をするときのBGMなどでご活用願います。そして全編を完走された方がいらっしゃいましたら、感想などいただけると幸いです。 しかし語れば語るほど「もっと、この部分をくわしく」という内容が出てきて、おそらく5〜6時間程度ならぶっ通しで授業ができるような気がします。機会があれば、教室で受講生のみなさんと議論をしながら一緒に読み込めたら楽しいだろうな、などと空想しています。 そして、今回あらためて「行人」を読み返してみて「漱石のすごさ」を再確認しました。このクオリティの作品を新聞連載で執筆するなんて、いったいどのような脳をしていたのでしょうか。漱石の脳は東京大学の医学部に保管されているということなので、一度拝見してみたいような気がしたいような、したくないような。 【関連】 夏目漱石に関する記事一覧 ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter 佐藤ゼミでは、 文学作品を通して「考えるヒント」 を提供していきます。夏目漱石・芥川龍之介・太宰治・宮沢賢治など、日本を代表する文豪の作品から海外文学まで、私(佐藤)が読んできた作品を取り上げて解説します。ぜひご視聴ください。そして何か気になる作品がありましたら、チャンネル登録(無料)&高評価で応援お願いします。 ☈ 佐藤のYoutubeチャンネル「オンライン文学講座 佐藤ゼミ」

【佐藤ゼミ】オンライン文学講座(PV)

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一年前くらいに制作した 【佐藤ゼミのPV】 がMacに残っていました。ほんの一年前のことなのに、随分前のことのように思えます。そして、今年もあとのこり一ヶ月。使い古された言葉ですが「時間がすぎるのは早い」ですね・・・。 そんなわけで、せっかくなので公開してみたいと思います。 ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter ☈ 佐藤のYoutubeチャンネル「佐藤ゼミ」

夏目漱石【それから】を読む「精神の困憊と、身体の衰弱とは不幸にして伴なっている。」 

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今回は「それから(夏目漱石)」から、主人公の代助と平岡が会話をしている場面を紹介します。代助は仕事をせずに、実家から仕送りを受けて生活をしている「高等遊民」です。そんな代助に平岡は「なぜ働かないのか?」と質問します。代助は近代化と経済を発展させることに邁進している当時の社会を批評しつつ、このように説明していきます。 こう西洋の圧迫を受けている国民は、頭に余裕がないから、碌な仕事は出来ない。悉く切り詰めた教育で、そうして目の廻る程こき使われるから、揃って神経衰弱になっちまう。話をして見給え大抵は馬鹿だから。自分の事と、自分の今日の、只今の事より外に、何も考えてやしない。考えられない程疲労しているんだから仕方がない。精神の困憊と、身体の衰弱とは不幸にして伴なっている。のみならず、道徳の敗退も一所に来ている。 (それから 夏目漱石より) 当時の日本は西欧にならい急速な近代化をおしすすめていました。当然ながら、そこには「ゆがみ」が生じるわけですが「考えられない程疲労」している国民は、思考を止めて目の前のことを考えるだけで精一杯です。このような状況は、精神と身体を不幸にし、道徳も敗退していくだろう。だから、自分は「働かない」のだ、と代助は主張していきます。 世の中が「ゆがみ」や「矛盾」を抱えながら動いていくと、それはやがて「道徳」の崩壊を引き起こすだろう。代助の言葉を通して語られる、漱石の文明批評は現代社会が抱えている状況を予測していたかのような、深い考察が感じられます。 代助は自分の意見を口にしたあと、その場に同席していた平岡の妻(三千代)にこう問いかけていきます。 「三千代さん。どうです、私の考は。随分呑気で宜いでしょう。賛成しませんか」 「何だか厭世の様な呑気の様な妙なのね。私よく分らないわ。けれども、少し胡麻化していらっしゃる様よ」 (それから 夏目漱石より) 三千代は、代助の中にどこか「胡麻化して」いるものを感じています。代助は何を胡麻化しているのか、それは何を引き起こしていくのか。この続きは「それから」を読んでみてください。 【佐藤ゼミ】夏目漱石【それから】を読む 【関連】 夏目漱石「三四郎」を読む 夏目漱石に関する記事一覧 ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter ☈ 佐藤のYoutubeチャンネル「佐藤ゼミ」

外国文学と「翻訳」の密接なる関係【宝島編】

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外国文学作品を読む時、翻訳が変わると、どのくらい印象が変わるものなのでしょう? 今回は「宝島(スティーブンソン)」をテキストに、3つの翻訳作品を比較して、その違いや奥深さを楽しんでみたいと思います。 【佐藤ゼミ】外国文学作品と「翻訳」との関係(宝島編) ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬: 佐藤のtwitter 【佐藤ゼミ】では「もっと文学作品を楽しみたい」あなたへ、考えるヒントを提供していきます。本格的な文学解説から、文豪の名言や言葉などを、わかりやすく掘り下げていきます。読書を通して教養を深めたい社会人から、学生まで、文学作品を楽しみたい人はチャンネル登録を。 ☈ Youtubeチャンネル「佐藤ゼミ」

【芥川龍之介】「鼻」の主人公について(設定から文学作品を読み解く)

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今回は【佐藤ゼミ】に寄せられた<芥川龍之介『鼻』の主人公(禅智内供)についての質問>に回答しました。登場人物の設定を通して、作者はどのようなことを試みているのか? そのような視点から作品を考察していきます。 【Youtube版 佐藤ゼミ】   ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬: 佐藤のtwitter 【佐藤ゼミ】では「もっと文学作品を楽しみたい」あなたへ、考えるヒントを提供していきます。本格的な文学解説から、文豪の名言や言葉などを、わかりやすく掘り下げていきます。読書を通して教養を深めたい社会人から、学生まで、文学作品を楽しみたい人はチャンネル登録を。 ☈ Youtubeチャンネル「佐藤ゼミ」