鹿に「シカせんべい」を。初めての奈良旅(4)
奈良のシカに鹿せんべいを 三日目の朝がきた。旅は、実際に旅をしている時間よりも計画や準備をしている時間の方が長い。今回の旅も、すでに折り返しを過ぎてしまった。奥の細道に「日々旅にして旅を栖とす」という一節があるけれど、将来は旅をしながら生活してみたいとも思う。そして、意外とそれは可能なのではないか、とも思っている。今後の目標のひとつとしたい。 さて、奈良旅三日目の朝がきた。初日の夜は体調を崩し、今回はここで終了かとも感じたのだが、その後は何事もなく元気に過ごすことができている。荒天の予想だった天気予報も、小雨程度で済んでくれた。色々な意味で、ここまでは快調である。有難し。昨晩の宿は「近鉄奈良駅」から徒歩数分という好位置にあったので、ここから 奈良公園 までは、ほんの目と鼻の先。チェックアウトをして出発する。 宿を出て、朝の人気もまばらな道を歩く。まだ開店していない店も多い。ゆるやかな登りになっている道を歩いていると、足元に鹿の糞が転がっているのを見つけた。おお、いよいよ「奈良の鹿」に対面できる。にわかに気分が上がり、歩く速度が少しだけ早くなる。 野生動物としての、奈良の鹿 今回、奈良に来るまでは「鹿は、公園で管理され飼育されている」と思っていた。夜になったら寝る場所があり、朝になったら外に出されるような仕組みなのかと思っていた。ところが実際は「奈良公園に生息するシカは国の天然記念物に指定されている野生動物です。決して飼育されている動物ではありません。(参考: 奈良県公式ホームページ )ということだった。そう、放し飼い以前に野生の動物だったのだ。 さらに「奈良公園には広大なシバ地があり、シカはシバに強く依存している。その他ススキやイネ科植物などを食べて生活している。鹿せんべいはシカにとってはおやつです。(参考: 奈良の鹿愛護会ホームページ )」とのこと。ずっと「鹿せんべい」が主食だと思い込んでいたのだが「おやつ」だったのだ。観光客が少ない時は、せんべいの量が少なくなって腹が減るだろうな、と思い込んでいたのは勘違いだったのだ。シカはシバを食べる。せんべいはおやつ。今回学んだ情報のひとつだった。 朝の興福寺へ到着 そんなことを考えつつ、歩いていると題目を唱える声が聞こえてきた。階段を上がると、静かに移動していく僧侶の姿が見えた。 興福寺 に到着した。少