はじめてのレザークラフト(土屋鞄製造所 レザークラフトキット編)

土屋鞄製造所 レザークラフトキット

なぜだかわからないのだが「革製品」には憧れのようなものを感じていた。学生の頃は、ライダースジャケットに、必要以上に大きいバックルのついた幅広の革ベルト、それにdr.martensのブーツを履き、ギュッギュッと音を鳴らしながら歩いていた。周囲のバンド仲間も同じような格好をしていたので特に疑問も感じなかったが、よくよく考えれば異様な集団だったと思う。周囲に革の匂いを漂わせていたと思う。

そして当時から「いつか自分でも革の小物を作ってみたい」というような気持ちがあった。それを仕事にする、というわけではなく、自分で使うものを自分で作って使ってみたいと考えていたのだった。

社会人になり、ライダースジャケットを脱いでスーツを着るようになった。それなりの時間が過ぎた。時折「何か作ってみたい」と思うことはあったものの、実行に移すことはなかった。いや一度、携帯のストラップを作ったことはあったけれど、その程度で終わってしまっていた。

先日連れに、今ここに書いたようなことを話した。すると、誕生日に土屋鞄製造所で販売されている「レザークラフトキット ツールBOX」をプレゼントしてくれた。おお、ありがとう! という気持ちと、全くの初心者なのに失敗せずに作れるのか? という気持ちを抱えつつ、作成してみることにした。

レザークラフトキット ツールBOX 土屋鞄

届いた化粧箱を開くと、このような感じで使用する道具が収まっている。「よしこれから作業をするぜ」という気分が高まってくる。


ガイドブックと動画解説を見て、とりあえず全体像を把握したあと、おもむろに作業を始めることにする。まずは型紙を切り、革に貼り付けていく作業から。そういえば、マスキングテープを使ったのは随分ひさしぶりだな、などと考えつつ最初の作業は終了した。

型紙を革に貼り「菱目打ち」で穴を開けていく。



型紙を貼り終わったならば、印に合わせて「菱目打ち」という道具とハンマーを使って、糸を通すための穴を空けていく。コンカンと、一列に穴を空けていくと職人になったような感じがする。革を加工しているぜ、というわくわくした気分になってくる。最初は力の入れ具合がわからなくて、必要以上に強く叩いてしまったり、弱過ぎて貫通しなかったりしたのだが、後半以降になってくるとリズムよく叩けるようになってくるのが楽しかった。この作業は、わりと大きな音がするし叩いた時の振動もあるので、集合住宅に住んでいる方などは深夜などに作業はしない方がよろしいかと思います。

ちなみに、今回の製作過程の中で一番手間と時間がかかったのが、この作業だった。しかし、何事も下準備が重要である。文章を書くことも、広告を作ることも同様。下準備で完成度の半分以上が決まってしまうので、手間がかかるところほど丁寧に進めなければいけない。と、自分に言い聞かせながら乗り切った。

空けた穴を、縫い合わせていく


さて、ひととおり穴を空け終わったら「縫い」へと進む。実は(と、わざわざ強調するほどのことでもないですが)この段階で、すでに作業は二日目に突入している。なかなか自由な時間が取れないのが社会人の辛いところ。調子が出てきたところで時間切れ&中断になってしまう。しかし「家に帰ったら、続きを作ろう」と、子供のころにプラモデルを作った時のような感覚になれるのは、わるくない気分だ。あのころ一緒に遊んだ友人たちは元気だろうか、などと思い出したりしながら作業を続けていく。


初めての作業なので間違わないよう、時折ガイドブックを見て確認しながら縫い進めていく。当初は「この縫う作業が、1番の難関なのではないか?」と思っていたのだけど、想像していたよりも、すいすいと作業を進めていくことができた。パーツが少しずつ形になっていく醍醐味を感じることができる、楽しい時間だ。


側面の角の部分で頭の中がこんがらがってしまったので、休憩もかねてガイドブックと動画で確認をした。縫い方を頭の中でイメージしてから、数回試行錯誤を行ったあと無事にクリアすることができた。何事も「迷ったら最初にもどれ」である。もしも同じところでつまづいている人がいるならば、上・下・上・下、と交互に繰り返すことをイメージしつつ乗り切っていただきたい。

角の部分を抜けると、再び気持ちよく縫い進めていくことができる。すっ、すっ、とリズムよく糸を交差させていくうちに、気がつくと最後の一針に到達。結び目を作って固く締め込めば完成である。「よし完成だ!」という気分よりも「ああ、完成してしまった(もう少し作っていたかった)」という気分の方が大きかったのが、自分でも意外だった。しかし完成は完成である。少し形を整えて、テーブルの上に置いて眺めてみた。

完成!


近くで見ると色々と粗が見えるけれど、遠目でみるとそこそこ整って見える。はじめてのレザークラフトとしては、なかなか気持ちよく仕上がったような気がする。


蓋をあけると、このような感じになる。顔を近づけると、真新しい革の匂いがする。自分は、この匂いがわりと好きな方である。もしかすると、小学生の時に買ってもらった新品のランドセルの匂いを思い出すからなのかもしれない。あの頃の静かな時間を、懐かしく思い出すきっかけになっているのかもしれない。自分が革に対して感じている憧れ(のようなもの)は、子供のころの記憶が源泉になっているのかもしれない

そんなわけで、はじめてのレザークラフトは途中で挫折することなく、無事に完成させることができた。今回の「レザークラフトキット ツールBOX」は、すでに加工されているパーツを組み立てていくスタイルだったけれど、手軽に「職人気分」を楽しむことができた。楽しかった。もし機会があれば、次は自分で型紙を作るところから始めてみたいと、思っている。

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