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「安吾 風の館」へ行く。

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先日新潟へ出かけた際に「 安吾 風の館 」へ立ち寄ってきた。折しも桜が満開の時期だった。前回の 読書ブログ で「桜の森の満開の下」を選んだばかりだったので、まさに誂えたかのようなベストタイミングだった。木の下から、 青い空に淡い桜の花の組み合わせを眺めていると、自然と笑顔になってしまう。 「新潟の冬は曇天が多いから、なんとなく気分が上がらないことがある」と、新潟在住の方から聞いたことがあった。厳しい冬を抜けて迎えた春の桜と青空は、もしかすると私たちが感じている「それ」よりも、ずっと青く桜色に感じられるのかもしれない。待ちわびた分だけ、深くあたたかく心に響いてくるのかもしれない。 春に満開の桜を見ることができるのは、このうえない喜びの時間である。それが旅先ならば、さらにうれしい。そして今回は「桜の森の満開の下」を読み返した直後という絶妙のタイミング。色々なことが重なった「記憶に残る桜」となりました。 関連: 読書の記憶 五十四冊目 「桜の森の満開の下 坂口安吾」

佐渡への旅(最終回)

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大野亀 を後にして、 二ツ亀海水浴場 へ向かう。海開きを前にした海水浴場は、自分が訪れた時間が夕刻だったということもあって、どことなく物悲しいような雰囲気を漂わせていた。あと数日もすれば、夏をまちわびた子供達の歓声で賑わうのだろうけど、今はまだ静かなままだ。 二ツ亀海水浴場は引き潮の時だけ、奥の島への道が表れ渡れるようになるのだけど(写真の中央部分の道が、島までつながっていく)自分が到着した時は、潮が満ちていて島へは渡れなかった。なので、海と陸の境目ギリギリまで行って海水に手を浸してきた。ちなみにここは「 日本の海水浴場100選 」に選ばれているとのこと。目の前に堂々と横たわる山。引き潮の時にだけ表れる道。そして、見る角度で色を変えていく透き通る美しい海水。たしかに、選ばれるにふさわしい海水浴場だと思った。朝一番でここにやってきて、夕方まで風景が変化して行く様子を眺めていたい。ゆったりと時間をかけて、海を楽しみたい。そんな風に感じる場所でした。 海水浴場から駐車場へ戻る途中にキャンプ場があった。そこにはバイクが一台と一人用のテントが一張設置されていた。夜に向かって、少しずつ強くなってきた風がテントの屋根をしきりに叩いている。出発の時に宿のおかみさんが「今日は大雨警報が出ていますよ」と言っていたから、もしかすると今晩はテント泊にはちょっとせつない夜になるかもしれない。それでも・・・そう、テントの旅には無性に惹かれる「何か」があるんですよね。地面の上に直接寝転んで眠る感覚とか、感触とか、あれとかそれとか。今年の夏は、ひさしぶりにテント泊をしてみたい。そんなことを考えながら車に戻り、今夜の宿へと向かいました。 宿の料理もおいしく、清潔な部屋でのんびりと過ごしているうちに一夜が明けた。どうして旅の夜は足早に過ぎていくのだろう。日常の「くだらない」時間を貯金して、旅の日に活用できたのならと毎回思う。実際には、そんなことはできるわけはないのだけど、わりと本気で思う。 愛想の良い宿のおかみさんに見送られながら、帰りは 内海府海岸 周りで両津港を目指す。「宿から両津港へは、だいたい1時間くらい」と聞いていたので、あせらずのんびりと走ることにする。 目の前に表れてくる海岸はどれも美しかったから、何度も車を止めて眺めていたくなる欲求を抑えるのが大変だった。...

大野亀から二ツ亀海水浴場へ 佐渡への旅(4)

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さらに北上を続けること約1時間。 今回の目的地のひとつである「大野亀」に到着した。大野亀は、初めて佐渡のパンフレットを見た時に「ここへは絶対に行こう」と即座に決めた場所。なので雨が降ろうが風が吹こうが、とにかく現地へ行ってみようと考えていた。 ちょうど、大野亀へ向かう坂道を車で登っている時、待ち構えたようにゲリラ豪雨に襲われてしまった。ワイパーを最速にしても前が見えない。視界が悪いので時折やってくる対向車にもひやひや。それでもなんとか大野亀前の駐車場へまでは辿りついたのだけど、あいにくの曇天。雨で視界不良。駐車場には自分の車以外は車が止まっていない状況だった。本来ならば、ここであきらめて移動するのだろうけれど、なにせフェリーに乗ってレンタカーを借りて、ようやくここまでやってきたのだ。そうそうあきらめてはいけない。少し様子を見ることにして、車の中で仮眠をとりながら待機してみることにした。 昨晩の睡眠不足と早起きのせいで、15分くらいだったろうか。それとも30分は過ぎていただろうか、ついうとうととしてしまった。ふと目を開けてみると空が白くなっている。いや、それだけではない。大野亀の上の方に日が射しているじゃないか。急いでカメラを持って車の外へ出る。あんなに激しく降っていた雨が止まっている。すごいぞ。頑張ってねばったかいがあったじゃないか。…いや実際は、車の中で寝ていただけですけどね。 これがその時の写真。写真の左上の方が大野亀の山頂付近になる。ついさきほどまで、ゲリラ豪雨に打ちのめされたいただけに、この風景には静かな感動があった。雨が止むのを待ちかねていたトンボ達が、一斉に初夏の空を舞い始める。鳥の声も聞こえる。足元からは微かな波の音も。日本にも、まだまだこのような風景があるのだ。 周囲が明るくなったことで大野亀山頂へ続く登山道も良く見えてきた。登山好きとしては、登りたい欲求が沸き上がってきたけれど、また雨に打たれると大変だし、時間にも限りがあるのでしみじみと眺めて満足することにした。これから佐渡に行かれる方は、時間に余裕をもって、ぜひ自分のかわりに大野亀山頂へ登っていただきたい。あとは頼む。 大野亀を背にして東側の方を見る。 右手奥にふたつ並んで見えるのが、これから向かう二ツ亀だ。振り返ると大野亀の勇姿。奥に目を移すと二ツ亀...

外海府海岸を車でドライブ 佐渡へいく(3)

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尖閣湾を後にして、外海府海岸をレンタカーで北上していく。 海岸沿いの平坦な道をのんびりと・・・と思っていたのだが、実際はさにあらず。地図の「地形」のタグをクリックするとおわかりいただけると思うのだが、佐渡には1.172mの金北山を始めとして、わりと標高のある山々がそびえたっているのである。なので、海岸沿いの道を走るとそこそこきつめの勾配の道を登ったり下ったりを繰り返すことになる。道路自体はちゃんと整備されていて走りやすかったけれど、Rがキツめで若干対向車が見えにくいところもあるし、時折大型バスやトラックともすれ違うので、慣れていない方は時間にゆとりをもって計画を立てた方がいいかもしれません。 大きな地図で見る もちろん、海岸沿いの道が登ったり下ったりの連続だからといって、佐渡の印象がマイナスになるか、というとそういうわけではありません。むしろ「海もあるし山もあるし川もあるし!」と「ここにお爺ちゃんが住んでいたら、夏休みの旅に飛んでくるぜ」と思うような魅力的な場所だと思います。午前中に裏の山に登ったら、午後からは海に入って汗を流す、なんてこともできるのである。数日前に「山と海ならば、どちらに住んでみたいか?」というような話をしたばかりだったのだけど、まさに佐渡ならばこの両方を満たしてくれるというわけです。 参考に、こちらの写真を見ていただきたい。これは海岸沿いの急勾配の道をぐーっと登って、カーブから下の方をのぞきこんで見た時に撮影した写真なのだけど、山と海と田んぼと砂浜が美しく調和していることを確認いただけると思います。 海のすぐそばに田があるというのが、いいですね。こんなに海の近くに田があったならば、米が塩辛くならないのだろうか、などと思ってしまいます(ならないですよね・笑) 当日は梅雨前線の影響で、ワイパーをフル回転させても前が見えないくらいの大雨が降っていたかと思えば、数十分後には太陽の光が射し込んできたりと、不安定な空模様が続いていたのだけど、雨が止み次の瞬間目の前に広がった風景は、信仰心が薄い自分のような人間にも「神様からのプレゼントかな」と思うような素晴らしいものだった。雨上がりで色を濃くした緑と、少し霧がかかった山並み、そして光を反射させた水面が組み合ってできた風景は、眠気覚ましのコーヒーを飲みながら車で高速を何時間も...

尖閣湾を遊覧船で観光 佐渡へいく(2)

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佐渡の北方面を走行 初日「両津港→二見港→外海府海岸」 佐渡は周囲265kmの島。東京23区の約1.5倍の大きさなのだそうだ。そう「島」といっても、かなりの大きさなので、一周するにはそれなりの時間が必要となる。今回の日程(佐渡には一泊のみ)では、すべてのポイントを観光しながら一周するにはやや厳しい距離と時間なので、今回は観光案内などを参考にして佐渡の北方面を半周「両津港→二見港→外海府海岸→(ここで一泊)→内海府海岸→両津港」という海岸沿いを走るルートにした。 大きな地図で見る 両津港から二見港へ 両津港でレンタカーを借りて出発したのが、12時30分ころ。そこから二見港方面を目指し国道350号を走行していく。道路の左右にはホームセンターなどのチェーン店が並んでいるので、まるで地元の郊外を走っているような感覚になる。当たり前だが普通の道路である。まあ、島だからといって道路に何か特別な仕掛けがあるわけではないので当然といえば当然なのだが、期待値が高まっているため「何か」を求めてしまう。 道路沿いのコンビニでガリガリ君を買ったとしても「おっ、佐渡のガリガリ君はちょっと違うぜ」なんてことが起こらないかな、と無駄に期待してしまうわけだ。もちろんガリガリ君はガリガリ君だし、レッドブルはレッドブルである。 せめて 「佐渡」ナンバーが導入されれば「佐渡を走っている気分」が高まるんじゃないかな、などと思いながら約40分ほど走行。もうすぐ外海府海岸方面に到着する、というあたりでガイドブックで紹介されていた「味彩」という店で昼食&休憩をした。 佐渡米を食べて、トキ 保護募金を 佐渡では「佐渡米(佐渡産コシヒカリ)」を食べることができる。店内に貼られていたポスターには「米の売り上げの一部を佐渡市トキ保護募金に寄付しています」とある。つまり、自分たちが「佐渡米」を食べると、ささやかながらトキ保護募金に参加しているということになるわけだ。 そう考えると、さらに美味しさが増すような気がする。もちろん実際にうまい。通販でも購入できるらしいので、気になる方は試してみてください。 尖閣湾で 海中透視船へ 食事を済ませたら再出発。尖閣湾を目指す。ここでは海中透視船に乗って、尖閣湾と水中を同時に楽しむことができる。ついさきほどフェリーに2時間以上乗ったばかりだというのに、遊覧船...

佐渡へいく(1)フェリーで移動

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フェリーに乗って佐渡へいこう 一泊二日の旅 数年前から「一度行ってみたい」と思っていた佐渡へ7月の3連休を活用して行ってきた。 佐渡へ行く(渡る)には、海路を移動しなければならないわけで、一般的には 佐渡汽船 の「フェリー」か「ジェットフォイル」 を利用することとなる。フェリーの場合は片道2時間30分。ジェットフォイルの場合は1時間。時間が限られている観光客としては、移動の時間は短い方がありがたいわけだけど、フェリーは片道2.440円(2等)・ジェットフォイルは片道6.340円と運賃にしかるべき差が生じている(2013年現在)。 最初は「行きはジェットフォイルで時間を節約して、帰りはのんびりフェリーで」とも考えたのだけど、フェリーに乗るのは初めてだし船内を色々と見て回ったりするのも楽しいかな、とも思い(なにより安いし)往復フェリーにすることにした。 3連休ということもあり、客室はかなりにぎわいを見せていた。足を伸ばして座る(2等客室は、じゅうたんの上に直接座る)ことはできるものの、横になるには若干窮屈な感じだったので、荷物を置いたあとは早々に外に出てデッキ周辺などをうろうろと移動して過ごすことにした。 おいかけてくる、ウミネコと共に 乗船客は、老夫婦から3~4歳くらいの小さな子供を連れた家族連れまで老若男女、幅広い客層だった。ここにいる全員が(目的は異なっても)佐渡を目指して、移動をしているのだ、それぞれに理由を抱えドラマを持ってフェリーに乗っているのだ、と思うとなんとなく不可思議な気分になる。ちなみに自分は観光だ。ただひたすら遊びに行くのだ。 そんなことを考えながら、フェリーの横を並走しながら飛んで行くウミネコに餌(かっぱえびせん。売店で販売している)をあげている人、大きなカメラを抱えて盛んに写真を撮影している人、椅子に座って微動だにせずに小説を読んでいる人、出航早々毛布にくるまって眠っている人達と一緒に日本海を進んでいく。 最初は「たぶん時間を持て余すだろう。狭い船室でひたすら忍耐することになるのかもな」などと勝手に想像していたのだけど、実際は日本海の美しい空と海を眺めながら、のんびりと船旅を楽しむことができた。「初めてのフェリー」という新鮮さも加わって、外に設置されているベンチに座ったり、屋上へ上が...