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【人生哲学】「欠点」が個性となり、「才能」に変わる瞬間。

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「本ばかり読んでないで、外で遊びなさい」 「お前は、子供らしくないことを言うね。生意気って言われない?」 子供の頃は、そんなことを言われていたような気がします。 「文学の勉強しても、就職には役立たない」 「小説なんて、個人が好きに読めばいい。大学で勉強するようなものではない」 学生の頃は、そんなことを言われていたような気がします。 「小説家にでもなる気なのか?」 「文学なんか勉強すると、屁理屈ばっかり上手くなって困る」 社会人になってからも、そんなこと言われていたような気がします。 欠点が、私の「個性」になっていた。 ところが気がつくと私は、 制作費をいただいて文章を書くようになっていました。 人格者でも才気あふれる人間でもない私が、時には飛行機で移動をしながら、文章や文学のことを社会人や学生の皆さんの前で講義するようになっていたのです。 もしも今あなたの周りに「ひとこと、注意したくなる人」がいるならば、 自分の価値観だけで切り取るのではなく、信頼感を胸に適度な距離を置いて接してみてください。 何気なく口にした「ひとこと」が、その人の可能性を大きく変えていくことがあります。それが子供や社会経験の少ない相手に対してならば、なおさらです。 あなたにとって「欠点」と感じることが、その人の「個性」であり「才能」となって、やがて世の中で活躍していくかもしれない。 批判を口にする前に、そんな風に考えてみよう。子供はもちろん、大人と接する時にも。誰かを指導するような立場になった時には、とくに。教育の仕事に携わって約20年。多くの生徒を指導してきた経験を通して、今、私(佐藤)は、そんな風に考えています。 関連 「人生哲学」に関する記事 ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter ☈ 佐藤のYoutubeチャンネル「佐藤ゼミ」

【文学散歩】太宰治「まなびの家」へ行った時の話

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「太宰治まなびの家(旧藤田家住宅)」へ行った時の話 前回のコサエルラジオでは、太宰治の 斜陽館 と 疎開の家 へ旅をした時の話をしましたが、もう一つお勧めのスポットがあるので今回追加で紹介してみたいと思います。 青森県弘前市に、太宰治が旧制弘前高等学校に通っていた時に下宿していた家が「 太宰治まなびの家(旧藤田家住宅) 」として保存されています。そこでは、太宰治の勉強部屋が当時のままに保存管理されているので、その当時の雰囲気に触れることができるのですね。 太宰のファンの皆さんならご存知だと思うんですけれども、この時期の太宰治は、 作家の芥川龍之介に傾倒 していました。当時のノートには、太宰本人が書いた芥川龍之介らしい似顔絵や「芥川龍之介 芥川龍之介 芥川龍之介」と、何度も芥川の名前が落書きされているページも見つかっていて、学生時代の太宰にとって芥川龍之介は憧れの存在だったことがわかります。 芥川龍之介には、顎の下に手を当てている有名な「芥川ポーズ」があるのですが、太宰もその格好を真似て写真を撮っています。その写真を撮ったのが、この家だというエピソードもあるので、カメラの前でポーズを決める太宰の様子を想像しながら見学するのも楽しいのではないかと思います。  あこがれた「芥川龍之介」の影響は遠く深く 芥川龍之介は、太宰治が高校1年生の時に自殺をしてしまうのですが、学生時代の若い太宰にとって 「憧れの人が自殺する」という出来事は、相当な衝撃 を与えたという事は想像するに難くありません。ちょうどそのあたりから、太宰は色街に通うなど放蕩生活を送るようになったのも、芥川龍之介の影響があるのかもしれません。 これは個人的な感想なのですけれども、後に太宰治も女性と心中自殺をすることになりますが「自殺」という選択肢が、彼の中に存在するようになったきっかけは、芥川龍之介の影響が少なくないのではないか、と思います。高校生の多感で情熱が溢れていた太宰の学生時代を想像しながら、斜陽館から足を伸ばして訪問してみることをおすすめします。 それにしても、歴史に名を残す文豪ともなると、ノートの落書きなんかも公開され研究対象として様々な人にじっくりと見られてしまうわけです。個人情報保護どころの騒ぎではないですよね。太宰もあの世で赤面しつつ・・・いや、知らないふりをしてやり過ごしているのかもしれま

【人生哲学】やりたいことを、見つけるには?

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痛い目に遭って、ようやく理解できる子供だった。 セミナーの質問の時に 「佐藤さんは、どうやって『自分がやりたいこと』を見つけたのですか?」 という質問を受けることがあります。どうやら私が、自分がやりたいことに向かって、迷いなくまっすぐ進んできた人間のように見えるようです。 残念ながら私は、 人一倍試行錯誤繰り返してきた人間 です。ただ、皆さんと少しだけ違う点があるとするならば、私は頭の中で考えるタイプではなく、 考えたことを行動して実践してみないと気が済まない人間だった 、ということだと思います。 大人に「これは危ないから、触ってはいけない」と言われると「どれほど危ないか、触ってみよう」と手を伸ばして、痛い目にあう子供がいますよね?  私はそんな子供でした 。いつも本を読んでいて大人しくて臆病そうな雰囲気のくせに、好奇心は人一倍ある。実行してみて 「たしかにこれは痛い!」と、体験してみないと納得できない 子供だったのです。 私が20代〜30代前半だったころ 20代30代前半ぐらいまでは、この傾向が続いていた と思います。気になることが見つかった場合は、試してみたくて仕方がなくなる。寝食は後回し。もしくは食べながら、居眠りをしながらでも続けたい。 起業した初期の頃は、ワンルームのマンションを借りて事務所にしていたのですけれども、ひとりで作業を始めて「なんだか周囲が静かになったな」と時計を見てみると午前1時を回っていたこともよくありました。 すでに周囲の人たちは寝ている時間 ですから、それは静かになるわけです。 子供は、何か興味があることがあると、 ご飯も食べずに好きなことを繰り返していますよね?  母親に「ご飯食べなさい!」と怒られても、黙々と目の前のことに取り組んでいる。ちょうどあんな感じです。たぶんそうやって、興味があることを調べて、試行錯誤をしている時間が好きだったのだと思います。 最近では「どうすれば少しでも長く休んでいられるだろう」と、考えるようになってきましたから、人間はだいぶ変わるものです。もしかすると、 私のような凡人の場合は「一生のうちに、努力できる量」が決まっている のかもしれません。天才は「一生、努力を止めない人」なのかもしれません。 試行錯誤の中で、わかってくることがある。 さて、そのようにして試行

【読解力】小説を読めば、読解力が身につきますか?

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小説を読めば、読解力が身につきますか? 生徒さんから、よくいただく質問の1つが 「小説を読めば、読解力が身につきますか?」 というものですね。そのような質問を受けた時に、私がどのように答えたかといいますと「たしかに小説を読めば、読解力が身につくとは思います。しかし、 純粋に読解力を身に付けたいのであれば、別の勉強方法を試した方がいい と思いますよ」と答えていたのですね。小説を読んで読解力を身につけるのは、いわゆる「コスパが悪い」というやつだと思うからです。 どうして、このような答えをするかとというと、おそらく質問してくる皆さんが考える「読解力」とは、 文章の中からポイントをつかむ、整理する、分析する、というような能力 のことを「読解力」と定義していると思うのです。しかし、このようなスキルは、小説を読んでもなかなか身に付きにくいんじゃないか、というのが私の考えなのですね。 夏目漱石の「坊っちゃん」を読んでみる たとえば「夏目漱石の坊っちゃん」という作品がありますよね。この小説は 「東京生まれの主人公が、松山に行く。そこで喧嘩をして東京に帰ってくる話」 という説明しても決して間違っていないし、ポイントも抑えている。 ところが、小説を読むという行為は、このようなあらすじを抜き出して説明できる能力だけではないと思うのですね。物語を楽しみながら、赤シャツとか、野だいこみたいな人って、いまでもいるよなあ、とか、 登場人物の視点を通して「体験」 していく。そして、漱石はどうしてこの作品を書いたのだろう、などと 思考を広げたり 、自分は「坊っちゃん」を、このような読み方をした、と 周囲の人と言葉を交わしていく 。 そのような時間が「小説を読む」ということ であり、みなさんが求めている「読解力」とは少し異なるのではないか、と私は考えているからです。 どうすれば「読解力」が身につくのか? そのようなわけで、もしもみなさんが、ここで説明したような「読解力」を身に付けたいのであれば、別の方法を模索してみた方がよいかもしれない。そして 「どうすれば、読解力が身につくだろう?」 と考えてみることが、考える力を養い読解力を身につけることができる一歩だと思うわけです。 この内容を「ラジオ」で聞く ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter

【ラジオ はじめました】コサエルラジオ・ONAIR!

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stand.fm で、9月からラジオを始めました。 「文学作品を通して、考えるヒントを提供する」 というテーマで、夏目漱石、芥川龍之介、宮沢賢治などの作品を読みながら、トークを展開していくという内容です。 通勤通学、移動中のおともに、 リラックスして聞き流してもらえる内容 を目指しています。ぜひ視聴してみてください(無料です) (追記) Apple  Podcastで、配信を開始しました。AppleのPodcastをご利用の方は「コサエル」と検索していただくと【コサエルラジオ】が表示されます。ApplePodcastもStand.fmも配信内容は同じです。使いやすい方でご利用ください。 (視聴回数 No.1 ) 【男の料理部】バナナジュースをつくろう。のもう。 本日の段階で「10回」放送したのですが、一番反響のあった回が「文学解説」の回ではなく、思いつきで語った 「最近ハマっているもの = バナナジュース」 だったというのが、なんとも複雑な気分でしたが・・・。 まあ、それはともかく、しばらくは定期的に放送を続けつつ、様子を見ながら色々と変更を加えていこうと考えています。 リクエストや質問なども受付中 です。いただいた中からピックアップして、放送内でお答えしていきますので、ぜひ参加してみてください。 ( 視聴回数 No.2 ) 【文学入門】銀河鉄道の夜(宮沢賢治)解説 ☺ コサエルラジオ(文学部)今まで放送した内容一覧 はこちら

【文学解説】友情(武者小路実篤)あらすじ解説

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 親友と同じ女性を好きになってしまった。「恋」か「友情」か? その選択の先には何が待っているのか? 今回は武者小路実篤「友情」のあらすじを解説します。恋をしている人も、これからする人も、過去の恋愛に思いをはせる人も、読書を楽しむきっかけにしていただければ幸い。 友情(武者小路実篤)あらすじ解説 ✏関連 「読書」に関する記事 ☝筆者: 佐藤隆弘のプロフィール ⧬筆者: 佐藤のtwitter ☈ 佐藤のYoutubeチャンネル「佐藤ゼミ」 ✂関連: 文章力講座に関する記事一覧

【名言】火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。【文豪・夏目漱石の手紙】

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夏目漱石の手紙より 「あせっては不可ません。頭を悪くしては不可ません。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げることを知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。」 これは、 夏目漱石が門下生である「芥川龍之介 久米正雄」に宛てた手紙の一文です。 この当時、漱石は時代を代表する作家。のちに文豪になる芥川は大学を卒業したばかりの新人作家。血気盛んに文壇に足を踏みいれようとしている芥川にとって、師匠である漱石先生の 「あせっては不可ません」という言葉は、深く心に染み渡ったであろう ことは、想像に難くありません。 私(佐藤)が起業した時の話 実際に私(佐藤)も、若い時はせっかちで、考えたことをすぐに行動に移したくて、でも結果につながらなくて、ほんとうに焦りました。周りの同世代の人たちが、家庭を持ち安定した居場所を手にし始めている中、何ももっていない自分の姿を見ると 「これでいいのか?」「もっと別の道があるのではないか?」 と、夜も眠れず、昼間に居眠りをしながら考えたものです。 そんな時に、この漱石先生の言葉を思い出して 「うんうん死ぬまで押すのだ」 と、自分を奮い立たせていたことを思い出します。私は、才能がありませんから、芥川のような世界を驚かせるような仕事はできませんが、それでも「うんうん」やってこれたのは、この言葉を知っていたからだと思うのです。 未来をつくる 起業家・社会人・学生のみなさんへ これから新しい挑戦をする若手の起業家、社会人、学生のみなさんにも、この漱石の言葉を覚えておいていただきたいと思います。19年前の私がそうだったように、 いつかどこかで心を奮い立たせる力 になると思うからです。 人生は何かを成し遂げるには短すぎます。しかし、それでも私たちは「何か」を作り続けなければいけません。 「一瞬の記憶」ではなく、少しでも遠くまで届くものを作っていきたい。 そう願い、志す人には、きっと必要な言葉だと思うからです。 漱石はこの手紙を書いた数ヶ月後に亡くなってしまいます。 49歳あまりにも早すぎる最期でした。しかし、100年以上も経過した今、この現代でも読み継がれる「言葉」となって生き続けています。あらためて漱石先生のすごさを実感したのでした。 関連 「人生哲学」に関する記事 「夏目漱石」に関す