なぜ、人は山に登るのか? 登山家・栗城史多氏 エベレスト挑戦!
現在、単独・無酸素でエベレストに挑戦している日本の登山家がいる。栗城史多さんという、若きアルピニストだ。
高山に登る時には、チームを組み、役割分担をして、頂上を目指すのが一般的だ。まとまった人数で、高度を上げていき、その中のアタック隊が、代表として頂上に挑戦するわけだ。エベレストのような世界最高峰の山なら、なおさら人数も規模も大きくなる。少しのズレが死に直結する場所だから、当然のことだ。ところが、彼は単独、つまり「ひとり」で登頂するという。
人間の生存できる高度には、限界がある。つまり、ある一定以上の高度は、酸素ボンベなしでは行動できないということになる。いわゆる「デス・ゾーン」だ。この高度では、もはや「そこにじっとしているだけ」で、体力が削り取られていくという。エベレストは8844m。限界高度を遥かに越えている。そこへ彼は、無酸素で登ろうとしている。
つまり、一番シンプルで、一番危険な方法で、彼はエベレストに登ろうとしているわけだ。
自分は、国内の2000mクラスの山にしか登ったことがないけれど、それでも、単独で登っていると、ふとした瞬間に圧倒的な恐怖を感じたりすることが、ある。崖で足を滑らせて、数mほどすべり落ちたりすると「今、ここで自分が倒れても、誰にも見つけてもらえないんじゃないか?」と、汗が一気に冷たいものに変わったりする。
これが、8000mクラスの山ならば、どのような感じになるのだろう? 少なくとも、高さが4倍だから、4倍の恐怖、のように簡単にはいかないだろう。きっと、桁違いのプレッシャーの中で登山をするのだろう。残念ながら、一般人の私たちには、その世界を想像するしかない。
とにもかくにも、まもなく、栗城さんはエベレストに単独・無酸素で挑戦するという。山好きの端くれとして、当日は、日本から応援したいと思う。