秋の日は、つるべ落とし。
河川敷の横の道を、車で通ったところ、帰宅途中の高校生が、自転車を止めて携帯電話で夕焼けを撮影していた。思わずつられて、同じ方向を見ると、高い秋の空に、綺麗な夕焼けが広がっていた。
まだまだ日中は、暑くて半袖でも大丈夫だけど、夕方の5時を過ぎると、あっという間に日が落ちて涼しくなってしまう。秋の日は、つるべ落としとは、よく言ったもので、本当にあっというまに「すとん」と、日が暮れていく。その格差に、必要以上に物悲しい気分になる。
秋の日に夕焼けを見ていると、小学校の頃を思い出す。母親に留守番を頼まれた日のこと。友人に釣りに誘われた自分は、弟に「一人でも(留守番は)大丈夫だよな?」と聞いて、自転車で釣りに出掛けてしまった。よくは覚えていないのだが、小学生の足で20分くらいの距離の池に出掛けたと思う。
夢中になって釣りをしているうちに、、あっと言う間に陽が落ち、あたりが真っ暗になってしまった。自転車のライトを付け、友人達と「そっちは、あぶないぞ!」「みんなで、ライトを同じ方向に向けろ!」などと、ふざけながら、おっかなびっくり家に向かった。こんなに遅くなってしまって(その時は、時計を持っていなかったので、真夜中の様に感じていたのだと思う)親に怒られるだろうな、もう釣りには行けないだろうな・・・などと、思いつつ玄関のドアを開けると、そこには自分の帰りを待ちわびていた母親の姿があった。
ひとしきり怒られて、注意をされて、思わず「でも、弟が一人でも大丈夫だ、と言ったから出掛けたんだ」と、こぼしてしまった。すると、その言葉を聞いた弟がポツリ「でも、本当は、一人では嫌だった・・・」。ますます、怒られる結果となった。
あの時から大分時間が過ぎてしまったけれど、こういう記憶はいつまでも鮮明に残るものなんだな、と帰宅途中の高校生達の横を過ぎながら、考えました。