カエルが、旅立った日。
かれこれ数週間前。
庭に設置していたビニールプール(甥っ子用)に、オタマジャクシが大量に発生していたことが、あった。
いったい、どこから?
庭には池もないし、近場にもないし、鳥の足にでも卵がついていて、それが、うまいこと落下したのでは? とか、通りすがりの人がおもしろがって、投げ入れたのでは? などと考えたりしたのだが、どれもこれも現実味がない。
そんなことを考えながら、ゆらゆらと動いている、オタマジャクシを眺めているうちに、いや、まてよ、もしかすると、これはオタマジャクシに見えるけど、他の生き物なのではないか? 根本的に、別の「何か」なのではないか、という疑問がわいてきた。
そこで、ビニールプールの水を捨てる際に、以前、メダカを飼っていた水槽に「それ」を、入れておくことにした。数週間後、オタマジャクシに足が生えてきたのを確認。やはり、これは、そうだったのか。新種の生き物ではなかったんだな、まあ、それは当然だよな、と思いつつ、水を換えてやったり、時折、氷をいれて冷やしたり、していた。もはや、親心である。
本日、朝。何気なく水槽を見たところ、カエルが水槽の端に立っているのを発見(写真)いつの間に、こんなに大きく・・・しかも、ちゃんとミドリ色になっている。と、驚いていたところ、彼(彼女?)は、飼い主に勇姿を見せたあと、水槽から旅立って行ってしまった。娘を嫁にやる、父親の気持ちが、なんとなく、ものすごく遠回しに、理解できたような気がした。
そんな訳で、あの黒いのは、オタマジャクシであったことを、数週間かけて確認した夏だった。それにしても、彼らはどこからやってきたのだろう。そして、どこへ行くのだろう。なんとなくしんみりとしながら、残暑の朝を過ごしました。