ノルウェイの森を、観に行く。
映画「ノルウェイの森」を観た。
この作品の原作である「ノルウェイの森」を読んだのは、今から約20年ほど前のこと。
当時、付き合っていた彼女から、誕生日プレゼントにと、単行本をもらったことが、きっかけだった。
せっかくプレゼントにもらったものだし、少しずつ、ゆっくり読もうと思っていたのに、読み始めたら止まらなくて、途中で止めることができなくて、結局、その日のうちに、徹夜で上下巻を一気に読み終えてしまった。部屋の外で鳥が鳴いている声が聞こえて、もう、今さら寝ても仕方がないな、と思い、そのまま、ぼんやりとした頭で一日を過ごした記憶がある。
それから、20年後。
まさか、この作品が映画化されるとは、思ってもいなかった。うれしい、という気持ちと同時に、見たくない、という気持ちが強かったことも事実。結局のところ、自分の頭の中にある「思い込みの映像」と、映画の中の映像が、全く完全に一致する訳がないし、そのようなことは、100%ありえないから、がっかりする気持ちの方が強いのではないか、という不安の方が大きかったわけだ。
それでも、トラン・アン・ユン監督が、どのような作品に仕上げてくれるのかを確かめたい、という誘惑には勝てず(監督の「青いパパイヤの香り」は、とても好きな作品のひとつだ)公開されてから、約10日ほど過ぎたあたりに、いそいそと映画館へと向かうことにした。
結論からいうならば、これは自分にとって「すばらしい映画」となった。
自分の頭の中にあったイメージとリンクする映像を、スクリーンの中に見つけることができた。トラン・アン・ユン監督の美意識が溢れる映像。リズム。トーン。使い古された言葉だけど「あっという間の2時間」だった。もっともっと、この世界を観ていたいと思った。
おそらく、のちほど完全版の「ノルウェイの森」がDVDでリリースされることだろう。と、いうより、ぜひリリースしてほしい。絶対にしてほしい。早く、観てみたい。3時間バージョン。いや、できれば4時間バージョン。5時間でもいい。長ければ長いほど、いい。そんなことを考えながら、12月の静かな夜を、ぼんやりと過ごしました。