車の修理をした時のこと「信頼できる工場に頼もう」
車のトラブルは、ある日突然やってくる
先月、車で帰宅途中に信号待ちをしていると、突然エンジンの調子が悪くなった。明らかに不自然な挙動をしたので、近くのコンビニの駐車場に車を止めさせてもらって様子を見ていたところ、エンジンがかからない状態になってしまった。こうなってしまっては仕方がない。下手に動かして、他の部分にダメージがあるのも困るので、レッカーを呼んで車を移動してもらうことにした。
いつもならば、ディーラーにお願いするのだが、あいにく夜の7時を回ったところだったので電話がつながらなかった。仕方がないので、以前車検をお願いしたことのある工場に電話をしてみると、まだ営業していて「入庫OK」となったので、今回はそこにお願いすることにした。
「廃車も考えた方がいいよ」
そしてここから迷走が始まることになる。その工場に車を預けて10日が過ぎた時だった。ようやく連絡があり「修理をしたけれど、ダメだった」と報告があった。さらに「今の段階では原因がわからない。ここから調べてみることもできるけれど、費用もかかるし、廃車も考えた方が良いかもしれない」「一度、ディーラーに確認してみるのもいいだろう」とタメ口で断定的に説明された。さらに「エンジンがかからないので、移動させる時に、みんなで押さなければいけないので大変なんだよね」などと言われてしまうと「もう修理はあきらめて、廃車にした方がいいのだろうか」とも考えた。
確かに10年以上経過した古い車である。他の人から見れば「廃車にしてもおかしくないような、おんぼろ車」である。それでも、家族や仲間や友人を乗せて、旅やキャンプに出かけ、さらに日常の足として数年間共に過ごしてきた相棒である。たとえ「廃車」になるとしても、もう少し何か手を尽くしてからにしたい。そう考えた私は、数日悩んだあげく、思い切ってディーラーに相談してみることにした。
3日で作業完了。元気になって帰ってくる。
いつもお世話になっている、ディーラーの担当者の仕事は早かった。「二週間も車がなくて不便でしたね」と言ってもらえた時は、ほんとうに「ほっ」とした。そして「では、すぐに手配します」と、電話で相談した日のうちに、その工場から車を引き上げてきてくれたのだった。「さきほどお車を、こちらに持ってきました!」と電話で報告を受けた時は、ああよかった、これでもう大丈夫だと思った。もはや修理できなくて廃車になったとしても、ここからは安心して任せられると思った。
そして、翌日には問題点を把握し修理が進み、翌々日には車を引き取ることができたのだった。廃車を覚悟していたのに、あまりにも「あっさり」と修理が完了してしまったので、なんだか不思議な気分になった。
戻ってきた車のハンドルを握り、連れを乗せて買い物へでかけた。アクセルを踏むと元気に答えてくれる。ぐいぐいと走ってくれる。「廃車」と言われた車にこうやってまた乗れる。それだけでも、なんだか無性にうれしかった。この車に、あとどのくらい乗れるのかはわからないけれど、こうやって再会できただけで十分だと思った。
ディーラーから車がもどってきた後、最初の工場に作業中に取り外されたまま戻されていないパーツが残っていたので、仕方なく連絡することにした。ディーラーで修理できたことを伝えると、「こちらの作業は適切だった」「ウチでも修理することはできた」などと言い訳を始めた。もはや「二週間かけても修理できなかった(原因さえわからなかった)」という事実を忘れてしまっているように思えた。いや実際に、記憶を書き換えていたのだろう。そうでなければ、あのような態度はとれないはずだ。
ちょっとした「ねぎらい」だけでも、大きく違う
今回私がこの文章書いてるのは「最初の工場を批判したいから」ではない。なので工場を特定できるような情報は記載しないように気をつけたつもりである。もしかすると、あの工場の人は「自分たちの不手際を認めることで、トラブルに巻き込まれた経験」があったのかもしれない。作業を担当したスタッフを守るために「こちらは悪くない」と繰り返したのかもしれない。これは私の想像なので、本当のところはわからないし追求する必要もない。このあたりの状況は(あくまでも私の推測だけど)同情できる部分もある。
ただ、同じ結果に終わったとしても、ちょっとしたねぎらいの言葉があれば印象はだいぶ違ったと思う。「こちらは間違っていない」という前提で一方的に話をされると「でも、修理できませんでしたよね?」と、こちらも言い返したくなる(言わなかったけど)。もう少し「普通に対応」してもらえたのなら、よかったと思う。
もしも私と同じように「廃車にした方がいい」と言われたとしても、修理してくれる工場があるかもしれない。古い車を大切に乗りたい人は「しかるべき技術」を持っている工場を探すことが重要である。あきらめないで探してみてほしい。廃車にするのは、それからでも遅くはないと思うのです。