「わかりやすい!」文章の書き方【5つのポイント】
「文章を書くのが苦手」と感じている人へ
「文章が苦手。がんばって書き直しても、全然よくならない…」
「私は文章の才能がないので…。もっと国語の勉強をがんばっておけばよかった」
今、あなたはそのように考えているかもしれません。なぜそのようなことがわかるかというと、実際に同じような質問を受講生のみなさんに聞かれるからです。
しかし、まだあきらめるのは早い。たとえばあなたが「志賀直哉のような、簡潔で的確な描写の文章が書きたい!」というのであれば「才能」というものが必要になると思います。努力だけでは越えられない壁があるでしょう。
でも「わかりやすい文章ですね! 参考になりました」などと仕事やプライベートで言われるような「わかりやすい文章」を書きたいのならば「しかるべき技術」を身につけることで書けるようになる、と私は考えています。努力と地道な実戦でスキルアップが可能だと、多くの受講生を見てきて、そう実感しています。
私自身が「文章の力」で、ここまで進んできた
私は25年以上、教育の世界に携わってきました。単純に考えて数千枚以上の文章を添削し、数千時間(数万時間?)ほど、現場で直接アドバイスを行ってきました。この数値は、おそらく世の中に存在する「文章指導の先生」の中でも多い方だと思います。
それらの実戦経験で見つけてきた内容を「伝わる文章講座」というサイトに公開したのが、今から約16年ほど前のこと。取材を受けて書籍に掲載していただいたり、図書館の広報誌に掲載していただくなど、みなさんのおかげで想像していたよりも多くの方に活用していただくことができました。
そして私自身も、教育の世界から「コピーライター」という肩書きで、文字通り北海道から沖縄まで、様々な企業のキャッチフレーズの制作から文章のアドバイスまで、活動の場を広げていくことができたのです。そう「文章の力」を活用することで。
「起業家・経営者」そして、スキルアップを目指す人へ
先日「今年で起業してから19年目になる」といった記事を書きました。書き終えてから、ふと「自分の基本の部分を見直す時期」なのかもしれない、と考えました。自分の基本といえば、それは間違いなく「文章の書き方」です。
そこで起業した当時を振り返りながら「文章の書き方」について考えてみたいと考えました。とくに基本の部分にもどって「文章を書くことが苦手な人」が、最初に取り組んでおきたい基礎の部分から順番に解説することにしました。
私自身の体験をベースにした内容のため、机上の空論ではない実践的な内容になっていると思います。「起業家・経営者」を目指している人から、スキルアップを目指している人まで、まずは最後までじっくりと読み、実践し、読み返してみてください。たくさんのヒントを見つけてもらえると思います。
わかりやすい文章は「技術」です
色々なところで、書いたり話したりしてきましたが「わかりやすさは「技術」」だと私は考えています。ある一定のレベルまでならば「地道な演習」で身につけることができます。そして、そこからどのように磨いていくかが、その人の腕の見せ所です。
これから私が解説する内容は「基本的」な内容です。ただし、何かの教科書を写したような「理論」ではなく、すべて私自身が実際に体験してきたことだけを、お話ししていきます。
ぜひ基本をひとつひとつ確認し、噛み締めていくような気持ちで、読み進めていただけると幸いです。それではさっそく始めていきます。よろしくお願いします。
わかりやすい!」文章の書き方【5つのポイント】
ポイント1 )勝負は「書く前」に決まる。
たくさんの文章を添削してきて思うのですが、多くの人が何の準備もせず「今、頭の中にある情報だけで文章を書こう」としています。そして、いつもと同じような文章で終わってしまい「やはり自分には才能がないのだ」と落ち込んでいるのです。
たとえば料理に自信がある人ならば「冷蔵庫の中の残り物」だけでも、それなりに美味しい料理が作れるかもしれません。しかし、料理が苦手な人ならば、そうはいきません。レシピを見て、材料を確認して、スーパーへ仕入れへ行く。時間と手間をかけて「準備」をする必要があります。
好きな人を、振り向かせる文章とは?
たとえば、あなたが「気になっている相手」を誘おうと考えているとします。何も下準備をせずに声をかける人はいないでしょう。あなたは、相手について徹底的にリサーチをするはずです。
SNS、友人知人、様々な方法を使って「恋人の有無から、趣味思考、考え方、そして自分に可能性があるかどうか」を調査するでしょう。そして「可能性あり」と判断できたならば、誕生日や何かしらのきっかけを調べて、おそるおそる、かつ、徹底的に下調べをして声をかけるでしょう。そして、相手から返ってきた「ちょっとした言葉」を何度も読み返しながら、また情報収拾と対策を再開すると思うのです(しますよね?)
文章を書く時も、おなじです。
つまりところ「わかりやすい文章」を書く時も同じです。読み手について、徹底的に調べる。趣味志向、最近気になっていること、最新の情報、さらにライバルの動向も。そして、さりげなくテストをして反応を確認してから、またリサーチの再開。
仕事もプライベートも、土台は同じなんですよ。どうしても「伝えたいこと」があるならば、好きな相手を振り向かせられるくらいの「時間と労力」を注ぎ込んで、徹底的に準備をしていく必要があるのです。一度も話をしたことがない人に声をかけても避けられてしまうでしょう。でも、少しずつ準備をして情報を共有できれば(あくまでも、あなたが相手に嫌われていない、という条件つきですが! ←重要)うまくいくかもしれません。つまり、そういうことです。
まずは「調べる」そして「集める」
実際のところ、私たちが「広告」を作成する時、最初の打ち合わせの段階から「いきなり作り始める」ことは、ほとんどありません。実際に手を動かす前に「情報を調べ、集め、仮のコンセプトを考え、また調べ、集め、仮のコンセプトを考え」と「ああでもない、こうでもない」と、準備をしていく時間の方が長いのです。
実際に、私の講義では「準備段階」の状況を解説することがあります。それを聴講した受講生の方からは「ここまで準備をするのですね。自分が準備不足だということを実感しました」という感想が届きます。「何かをつくる」というと、一瞬のひらめきで完成するような印象があると思います。しかし実際のところは地道で膨大な準備の積み重ねなのです。
準備を進めていく2つのポイント
ここまでの内容で「準備の大切さ」を理解いただけたと思います。この部分をしっかりと理解していただくことが「文章が苦手な人」が最初のステップを踏み出す上での、重要なポイントになります。ぜひ、しっかりと心身に染み込ませてください。勝負は書く前に決まる。つまり準備が大切なのです。
それでは、実際に準備を進めていく時に注意しておきたいポイントを2つ解説します。
1)何を書くのか?(目標)
2)そのために何が必要なのか?(材料)
これから準備を進めていく時は、この2点をチェックしてください。
今回「自分は何を書くのか? = 目標」の設定と、そのために「具体的に何が必要なのか =材料」をセットにして進めていくのです。
この2つのポイントからズレてしまうと「なんとなく、おもしろそうだから」「この言葉を使うと良いと聞いたから」のように、ただ詰め込んだだけの曖昧な文章になってしまいます。表面的な部分だけをなぞるだけで終わってしまいます。
次のポイントで解説する内容と合わせて「何を書くのか?」「何が必要か?」を自問自答しながら準備を進めていきましょう。この意識を持つだけでも、見えてくる集まってくる情報の質と量が変化してくることを、実感できると思います。
勝負は「書く前」に決まっている!
繰り返しになりますが「勝負は書く前に決まって」います。準備の段階で完成度の60%は決まっていきます。「確かに準備は大切ですよね。そういえば、うまくいった時は今よりも何倍も準備に時間をかけて・・・」と、そんな風に「過去の努力をした時の経験」を思い出すことができたならば、大丈夫。
あなたの中には「わかりやすい文章」を書く「タネ」が、しっかりと蒔かれています。
ポイント2)「今回伝えたいこと =軸」を決める。
文章書くのが苦手の人の特徴の1つが「言いたいことを詰め込みすぎて、混沌としてしまっている」と言うことです。
情報集めていくと、書きたいこと、書かなければならないことが増えていきます。「あれも書かなければ、これもはずせない。この言葉も使ってみたい」と混沌としてしまい、長いだけの読みにくい文章になってしまっているのです。
わかりやすい文章は、情報が整理されています。今回伝えたいこと(主張)を軸に、相手の理解と共感を深めていくために、シンプルに組み立てられています。そして、一見するとたくさんの情報が詰め込まれた長文に見えたとしても、実際は「絞り込まれた情報」を、整理しながら展開しているものです。(関連 ひとつの文章にテーマはひとつ)
「何を軸にすればいいのか、自分でもわからない」
「情報を絞りこんで、軸をひとつ作る必要はあることはわかった。でも、自分で『何を軸にすればいいかわからない」
「自分なりに軸を選んで書いてみたけれど『的外れな文章』だと注意されてしまった」
文章を書くことが苦手な人は、そのような体験があると思います。そして実際のところ「読んでもらえない文章」を書いてしまう人は、軸を考えていく時の視点がズレてしまっている場合が少なくありません。
自分が言いたいこと、ではなく、相手が聞きたいこと、を考えていく
たとえば、あなたは「キャンプ」が好きだとします。そして、気になる人をキャンプに誘いたいと考えているとします。あなたは「大切なことは情熱を伝えること!」と、キャンプの魅力について熱く一生懸命に語っていきます。大自然で過ごす気持ちよさ、心地よさ、そして何を体験できるか、など自分の体験をもとに熱心に話していきます。
もしも相手がキャンプに興味があるならば、とんとん拍子に話が進むかもしれません。しかし、相手がキャンプに興味がなかったり、そもそもあなたに興味がなかったならば「虫が苦手なので」などと、やんわりと断られるでしょう。そして「あなた =キャンプが好きな人 =私には関係ない人」とレッテルを貼られてしまい、二度と話を聞いてもらえないかもしれません。
そうです。「自分がいいたいこと」ではなく「相手が聞きたいこと」を軸にする必要があるのです。ここを間違ってしまうと、最初の段階で大きく不利になってしまうからです。
読みたくないものは、読みたくない
文章書く時も同じです。いくらあなたが「これを書きたい」と思ったとしても、相手が読みたいと思ってもらえなければ、手にとってもらえません。心を込めて一生懸命に書いたとしても、普段のあなたがそうであるように「読みたくないものは読みたくない」のです。
逆にいえば「読みたい内容」であれば、多少「わかりにくい文章」でもなんとかして読み進めようとしますよね? わからない語句は調べたり、質問をしながらでも「必要ならば」読もうとするはずです。
スマホがあれば、たくさんの情報に触れることができます。普段のあなたも検索すれば「興味があること」に関する情報が流れてくるのに、わざわざ「興味がない」ものを見ませんよね? 読んでくれるのは、あなたの部下や取引先の営業担当の方だけかもしれません・・・。
相手が「読みたいこと」を探す 2つのポイント
それでは実際に、あなたが今までに調べた情報をもとに「相手が読みたいこと」を、以下の2つのポイントから絞り込んでみましょう。
1)その人が実現したいこと
2)克服したいと考えていること
まずはこの2つの軸をベースに、整理してみましょう。
1)相手が実現したいと考えていること。さらに「大きな夢」と「てごろな夢」に分類し、今の段階でいちばん「興味を感じてもらえそうなこと」を選びます。
2)実現したいこと、または困っていること、その原因と理由を分析していきます。その中で自分が提供できること、や、解決方法、自分の体験などを探していきます。
この2つのポイントから絞り込んでみると「相手が読みたいこと」が、浮かび上がってきます。ぼんやりと輪郭が浮かんできたならば、そこからが腕のみせどころ。はっきりと見えてくるまで徹底的に掘り下げ、必要に合わせて情報を追加していきます。
「このくらいは書いてもいいだろう」という気持ちとの戦い
ポイントとしては「相手が知りたいこと」以外の情報は、今回は思い切って削除してしまうと言うことです。せっかく調べたのだからこれを書きたいと言う気持ちはよくわかります。実際にほんとによくわかります。
しかし、何度も繰り返しますけれども「読みたくない情報は読みたくない」のです。せっかく調べたのだから「このくらいは書いてもいいだろう」と考えてしまう気持ちはよくわかります。ほんとうによくわかります。私自身も、この気持ちとのせめぎあいながら、集めた情報を削っているのです。
ある意味「わかりやすい文章」とは「ぎりぎりまで削ぎ落とした、アスリートのような身体」ともいえるかもしれません。私たちは、鍛え上げられたアスリートの身体に「その背後に存在する膨大な演習量の凄み」を感じます。「必要なものだけを、極限にまで突き詰めた凄み」を受け取ります。どんなに時間をかけて育てても、不要と感じた場合は捨ててしまう潔さ。その精神に共通点があるのかもしれません。
集めた情報や知識は、いつかどこかで使える時がきます。その時のために保管しておいて「今回伝えたいこと&相手が読みたいこと」を確認しながら作業を積み重ねていきましよう。
ポイント3)設計図を書く
たくさんの情報が集まった、そして今回伝えたい「軸」も明確になった。次は構成を考えていきましょう。
家を建てるには、設計図が必要です。作りながら考える人はいません。文章書く時も同じで、設計図が必要になります。構成を書きながら考えるのではなく、考えてから書き始めていく必要があるのですね。
文章の構成と言うと、学校の授業で習った「起承転結」が頭に浮かぶと思います。もちろんこの「起承転結」で文章書くこともできます。しかし私は個人的に「起承転結」の段落構成は上級者向けだと感じています。関連(売れる文章に学校教育の知識はいらない)
ある程度スキルがある人ならば「起承転結」で多くの人を惹きつける文章を展開していくことができると思います。しかし私自身も含め、そこまで文章の才能に恵まれていないのであれば、今回紹介するPREP法(プレップ法)を試してみてください。
PREP法とは?
PREP法は、4つの段落で構成されています。もともと「論理的に話すため」に用いられた手法なのですが、文章構成に活用することでシンプルでありながら、わかりやすい全体像を設計することができます。
具体的な構成を解説しましょう。
1段落 P=Point(結論) 今回の「ポイント」を提示する
2段落 R=Reason(理由) ポイントを選んだ理由(特徴など)を解説
3段落 E=Example(具体例) 2段落目で説明した内容の具体例を提示
4段落 P=Point(結論) 1段落目の「ポイント」を確認し終了
この順番に設計図をつくり、今まで集めた情報を組み込んでいくのです。ここまでの作業で「十分に情報が集まっている」ならば、この順番にならべていくだけで、それなりに説得力のある構成になっていることに気がつくことでしょう。
実際に組み込んでみると「情報が足りなかった!」と感じることも多いと思います。おそらく自分では十分だと感じていた情報量でも、もっと掘り下げて追求する必要があることに、気がつくことでしょう。それに気がつくことも大切です。気がついたら、戻って最初から調べ直せば良いだけの話。焦る必要ありません
3年かけて、10年つかえる技術を身につける
段落構成は、様々な種類があります。私自身もオリジナルの段落構成をクライアントにアドバイスしてきました。業種や形態、そして目的によって適切な構成は異なりますので、様々な方法をテストしていくことも重要です。
しかし、まずは今回紹介したPREP法を使い、40、50と数をこなしていくことをおすすめします。PREP法は定番ともいえる構成ですが、4段落というシンプルな点が「文章を書くのが苦手」な人には最適解であると思います。
プリントしたものを目立つところに貼り、文章を書く時は何度も確認しながら演習を繰り返していきましょう。30〜40は準備運動。50〜60くらいで「きちんと理解&実践」できるようになり、100を越えたあたりから意識しなくても「わかりやすい文章構成」を設計できるようになります。
ポイント5で解説しますが、実践と検証を繰り返していく作業は、想像以上に時間と労力が必要になります。マスターできるまでに1年かかるかもしれません。3年必要な人もいるでしょう。100を越えても「まだまだ、ぼんやり」している人もいるでしょう。それまでに書いてきた文章量と実践経験により、必要な年月は異なりますから当然のことです。
しかし「ほんとうに身につける」ことができたのならば、10年は使える技術になります。まずは、パズルのピースをはめていく時のように、試行錯誤を繰り返しながら設計図を書き、構成してみてください。
ポイント4)「見栄え」も大切 = 推敲していこう
文章の全体像が見えてきて「いい感じ」になってきたと思います。それでは「仕上げ」に進んでいきましょう。
実は「文章を書くことに慣れていない」人ほど「仕上げ」の部分をおろそかにしてしまいがちです。「このくらい書けていれば大丈夫だろう」「とりあえず公開したい」と推敲を行わないまま、公開してしまう人も少なくありません。
しかし、なにごとも仕上げが重要です。推敲は地道で、大きな変化が感じられない場合が多いので、ついつい手を抜いてしまいがちです。言葉の揺れや、句読点の位置など、そのようなものを一つ一つ修正したところで、文章全体のクオリティーは上がらないように感じるかもしれません(注・実際は、ものすごく上がります!)。
しかし、その文章が多くの人の目に触れ、また数年以上読まれる可能性があるならば、この部分を、おろそかにするわけにもいきません。むしろ「わかりやすく & 長期間読んでもらえる」文章を書きたいのならば、推敲の時間を多めに確保すべきでしょう。
気がつかないレベル、だとしても
私はクリエイター(デザイナー)と一緒に仕事をすることが多いのですが、評価と実績を残しているクリエイターほど「最後の微調整」を細やかに、時間をかけて行っていきます。1mm単位の調整を「どちらが適正か」を考えながらカチカチとマウスをクリックしながら、検証を続けていきます。
正直なところ「これと、これの違いがわかりますか?」と見せられても、多くの人は「その差に気がつかない」レベルの微調整です。クライアントも「そこまでのクオリティは求めていない」場合も少なくありません。つまり、ほとんどの人に理解してもらえない(可能性)の作業が続いていくのです。
しかし、そのような緻密な作業を行ったあとのデザインは「何かが違う」のも事実です。そして、その「ちょっとした違い」を気に入って選んでくれる人がいるから「評価」を受けていくのです。
神は細部にこそ宿る
神は細部にこそ宿る、という言葉があります。まずはステップ1〜3までの作業に集中して、しっかりと「土台」を組み立てていきましょう。そして「よし、いい感じに書けたぞ」と喜びつつも「ここから勝負だな!」と、細部に目を凝らして推敲していきましょう。
おそらく、今のあなたが想像しているよりも「わかりやすく おもしろい文章」には、背後に膨大な作業量が存在します。ライバルと本気で勝負したいのなら、ここで油断せずじっくりと作業を続けていきましょう。
3つのポイントから推敲していく
推敲を進めていく場合は、誤字脱字等のチェックの他に、次に紹介する3つのポイントを確認してみてください。
1)書いた文章をプリントして音読
2)表現技法(文法)の確認
3)思い込み・曖昧さの確認
1)書いた文章を プリントアウトして音読
推敲を行う時は「書いた文章をプリントアウト」して音読してみましょう。ペンを手にとって、気になる部分をチェックしながら読んでいくと効果的です。(関連 音読しにくい文章は伝わりにくい)
2)表現技法(文法)の確認
今回はスペースの関係で紹介しませんが「主語と述語のつながり、ひらがなと漢字の比率、要点を図形化、改行のタイミング」など、基本的な文章表現技法を確認していくことも大切です。
もしも「きちんと、文章表現技法を勉強したい」と考えているならば「高校生向けの小論文の受験対策テキスト」を一冊購入して、取り組んでみることも有効です。受験用のテキストは、一冊二千円前後で購入できますが、基本的な内容を十分に身につけることができます。費用対効果(コスパって、やつですね)がありますよ。
3)思い込み・曖昧さの確認
「曖昧な記憶」を頼りにして書いてる部分を、調べておきましょう。私たちは「思い込み」や「勘違い」に気がつきません。「確かこんな感じだった」と、曖昧なままで書き進めてしまうことが多いものです。
私も、入稿してから「あれ、あの部分は・・・勘違いだったかも!」と気がついて、青ざめる時があります。ウェブ媒体でしたら修正することも可能ですが、紙媒体ですと、次回の修正まで持ち越しになってしまいます。
「一般的には」「常識で考えると」のような言葉は、思考を停止するキーワードです。推敲の段階では、本当にそれが一般的なのか、常識なのか、と立ち止まって確認する作業が必要になります。
どんなに確認したとしても「ミス」は生じます。数人で校正しても「どうして誰も気がつかなかったんだろう」と脱力するようなミスは、定期的に発生します。排除することはできませんが、減らすことはできます。防ぐ工夫も考えられます。一生懸命に取り組んで書き上げた文章です。ていねいに仕上げ送り出していきたいものです。(関連 思い込みが目隠しをする)
ポイント5)文章は成長していく
よし完成! あの人に読んでもらえますように!
おつかれさまでした。「早く読んでもらいたい!」と感じる文章を書けた自分を褒めてあげましょう。よくやった! とチヤホヤしましょう。しかし・・・そう、しかし、あなたが「もっと高い場所」を目指したいのなら、まだ始まったばかりです。
私は様々な場所で「文章は成長していく。だから育てなければいけない」と話してきました。書いて終わり、ではなく、検証し、改善し、実践することで「育てて」いく作業が大切なのです。
PDCAサイクルで、検証しよう。
改善していくには、PDCAサイクルが有効です。「PDCAサイクル」は4つの工程で構成されているのですが、この手順を繰り返すことで改善を継続していくわけです。
簡単に説明します。
1)Plan(計画) 計画を作成する。
2)Do(実行) 計画に沿って実行する。
3)Check(評価) 結果を評価し修正点を確認する。
4)Act(改善) 確認した内容をもとに改善(そして、1へもどる)
このサイクルを何度も繰り返し、レベルを上げていくわけです。シンプルな内容ですが、伸びていかない人は、この手順を実践していないことがほとんどです。
「書いた文章に反応がない」→「自分には才能がない、とあきらめる」
「書いた文章に反応がない」→「2、3回書き直して、あきらめる」
「書いた文章に反応がない」→「新しいテクニックを探す」
スタート地点から、少し進んだ段階で足を止めてしまうのです。2・3回の挑戦で伸びていく人は、ほんの数%です。しかし、そのような人たちも「過去にどこかで努力を積み重ねて」いるものです。
自分なりの努力ではなく、ライバルに勝つ努力
「評価と改善」を行わなければ「自分なりの努力」で終わってしまいます。そこに発見も改善もありません。うまくいかない時に「評価」を行う作業というものは、どうしても避けてしまいがちになりますが、ここは「自分と向き合い」改善点の発見と次の計画を立てられるだけの具体的な内容を整理し実行しなければいけません。
文章に限らず「成長していく人(企業)」は、意識的または無意識的に、このサイクルを実践しています。必要なことを抽出し、学び、取り入れ、実践していきます。努力のレベルを「自分なりの努力」ではなく「ライバルを追い越すための努力」に設定し、サイクルを回し続けていきましょう。回した回数だけ前に進む。つまり、そういうことです。
☝筆者:佐藤隆弘のプロフィール
⧬筆者(佐藤)のtwitter