【夏目漱石】座右の銘を教えてください。(文豪エピソード)



夏目漱石のところに「文芸雑誌」の編集部から「文学を志している青年に向けて『座右の銘』となるものを教えてください」とアンケートの依頼がきました。この依頼に対して、漱石先生はどのような返信をしたのでしょうか?


坐右の銘と申すほどのいい訓戒になるやうなものはまだ考へる事がありません。持ち合せは無論ありません。それ故一寸書けません。
「文学に志す青年の座右銘 より」


「座右の銘」というようなものは考えたこともないし、持ち合わせはもちろんない。なのでちょっと書けませんね。このように返信しているのですね。漱石先生、頑固といえばかなり頑固ですけれど、正直な人だなとも思います。夏目漱石らしいというか、個人的に親しみを感じる内容だったので今回紹介しました。

なぜ漱石は、このような返信をしたのか? 私なりに勝手に想像してみますと、おそらく漱石は、若いうちは座右の銘のように『何かしらの指針』を気にしたり目標とするのではなく、気になったこと、良いと思ったことを、どんどん書いていったほうがいいんだよ、と考えていたのではないかと思います。

芥川龍之介と久米正雄に宛てた手紙の中にも「周りは気にしないで、ずんずん進みなさい」という内容の文章がありますが、そのような態度としてこのような返信をしたのではないか? などと深読みをしてみたりもします。

そして、この返信が届いた編集部は、どのように考えたのでしょうか。「漱石先生からこんな返信が来ました」「これは、どうしようかね」「もういいよ、このまま掲載してしまおう」と、そんな感じだったのでしょうか? 編集部の慌てぶりといいますか舞台裏などを加想像すると、また面白いですね。

つづきは「Youtube」で↓

【佐藤ゼミ 漱石先生「座右の銘」を教えてください】





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