【名言】功業は百歳の後に価値が定まる。【夏目漱石の手紙より】



今回、紹介するのは夏目漱石が門下生の森田草平に宛てた手紙です。森田草平は自分の出生に関する悩みを抱えていました。それがコンプレックスになっていて、先に進むことができなかったため、その悩みを漱石に手紙で相談することにしたのです。

その手紙を読んだ漱石は、森田に返信の手紙を書きます。そこに『私の知人に君と同じような境遇の人がいる。そして彼らはみんな成功している。だから君もきっと乗り越えられる。そして成功した時に、その不幸を乗り越えることができるだろう。君の人生はこれからだ。堂々と進んで行きなさい』と返信します。そして、

功業は百歳の後に価値が定まる。

このような一文を続けていくのです。つまり『仕事の評価は、10年20年で決まるものではない。本当の評価というものは100年後に決まるものだ。だから、100年後の人に評価されるような気持ちで堂々と仕事していきなさい』と伝えていくのです。そして、

余はわが文を以て百代の後に伝えんと欲するの野心家なり。

と続けていきます。つまり『私(漱石)は自分が書いた文章が時代を越えて、ずっと先の人たちに伝わって欲しいと願っている。そのような野心を持っている』と、作品を書いていく時の強い志を森田に伝えていくのです。

漱石先生の願い通り、私たちは今でも漱石の作品を読んでいます。100年以上前に書かれた作品を、感動したり考えさせられたりエネルギーをもらったりしながら、何度も読み読み続けています。あらためて「文章」が持つ可能性のすごさ。そして、高く強い志を持って表現していくことの大切さを感じますね。


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