雨ニモマケズ【宮澤賢治】を読む 

雨ニモマケズ(宮澤賢治)

雨ニモマケズ【宮澤賢治】を読む


雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

宮澤賢治「雨ニモマケズ」より


こちらは「雨ニモマケズ」の冒頭部分です。みなさんも、どこかで目にされた記憶があるかと思います。とても有名な作品ですね。

この作品は、宮沢賢治が亡くなる2年前(1931年)に書かれたものです。弟の清六氏が遺品を整理している際に、手帳に書き込んであった「雨ニモマケズ」を発見。原稿用紙ではなく手帳に書き込まれていたことから、作品として制作したというよりも、自分のために書かれた作品という色合いが強いのではないか、と私は考えています。

この作品を書いていた頃の宮沢賢治は、石灰の販売の仕事で上京中に病状が悪化。病に倒れた中での執筆でした。「理想に向かって進んでいきたい」と考える気持ちと、世間の厳しさに向かい合い身動きができず倒れてしまった現実とのはざま。

サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
宮澤賢治「雨ニモマケズ」より

という、最後の一文からも「このような人間になりたかったけれども、なれなかったなあ」というような、賢治の切ない思いが響いてくるような気がします。

人間「宮澤賢治」の姿

私は小学生の頃に、この作品の冒頭部分を暗唱させられた記憶があります。その時の授業では「見習うべき理想の人間像 = 宮沢賢治」という感じの解説を受けたような記憶が、おぼろげに残っています。

しかし実際は、宮沢賢治本人が「このような人生を送ることができた」というわけではなく、理想と現実との葛藤の中から「このような人間になりたいものだ」という希望や祈りが込められたのがこの作品だと思うのです。

「ほんとうのさいわい」とは何だろう? そのように自分自身に問いかけ進んでいこうと試みる。精神はどこまでも高く伸びていくけれども、現実の世界はなかなか近づいてこない。その狭間を行ききし戻りつつ言葉をつむいでいく。

このようなことを考えながら「雨ニモマケズ」を読んでみると、学校の授業で教えてもらった解釈とは異なった、宮澤賢治像が浮かび上がってくるような気がするのでした。

【Youtube版】雨ニモマケズを読む


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