【はじめての北海道旅 1日目(1)】北海道新幹線で「北海道」へ
北海道新幹線で「北海道」へ
今回、北海道へは「北海道新幹線」で移動する。はじめての北海道新幹線である。実は、私は「北海道新幹線」という新幹線があるのだと思っていたのだが「新青森〜東京」間を、東北新幹線、「新函館北斗~新青森間」間を北海道新幹線と呼ぶのである。東北新幹線で移動中、新青森を過ぎると「はい、ここからは『北海道新幹線』です」と、自動的に切り替わるわけである。見た目は変わらなくても、名称が変わることで役割が変化する。
新青森駅を過ぎたところで「まもなく青函トンネルに入ります」と車内アナウンスが聞こえてきた。ふと、外国を旅していて「国境」を越える時のような気分になる。よし、ここからは北海道だ、と静かにテンションが上がっていく。
資料によると、青函トンネルは地質調査の段階から40年以上の時間をかけて開業に至ったのだそうだ。素人目にも難工事だったことが想像される。そこを北海道新幹線は、20分あまりで通過していく。数十年の時間を数十分で通り抜けていくことを考えると、どこか時間の感覚が歪んでいくような気分になる。
「北海道へようこそ」
窓の外が真っ暗になり、真っ暗だった窓が再び外の景色に変わる。「北海道へようこそ」と車内アナウンスが流れる。この言葉を聞いた瞬間、ああ北海道へきたのだ、子供の頃に某釣りマンガで読んだ時から、ずっと来てみたかった北海道へようやく足を踏み入れたのだ、と自分で想像していたよりも大きな感動があった。今回一緒に旅をしている妻の方を見ると、私の方を振り返って「北海道へ来たね!」というような表情をした。
「進行方向右手に『函館山』が見えてきます」と車内アナウンスが流れる。乗客が一斉に右手の方へ視界を向ける。「どれが函館山?」と妻に聞くと、たぶんあれだよ、と教えてくれる。想像していたよりも低く感じる。調べてみると標高334mだったので、いわゆる里山といったところだろう。
今日の夜に、あの山の頂上へ行って夜景を眺める予定になっている。いまのところ天気は良さそうだ、よろしくお願いします、と遠くに見える函館山と空に願いをこめる。そんなことを考えながら、窓の外に広がる景色を眺めていると、ほどなくして「新函館北斗駅」に到着した。
新函館北斗からは「はこだてライナー」へ乗り換えて函館駅へ向かう。4月中旬の北海道の空気はまだ肌寒く、持ってきた薄手のコートを羽織る。函館山は風が強くて夜は冷える、と聞目にしていたので、初日から風邪を引くのは情けないので防寒対策をしてのぞもうと思う。
観光案内所で「乗車券とひとつめのスタンプ」
20分ほど揺られ、ほどなく函館駅へ到着。まず最初に「観光案内所」を目指すことにする。そこで「函館市電1日乗車券」を購入したいからだ。表示を見ながら、駅構内に隣接している観光案内所を目指していくと、手にパンフレットのようなものを持って中へ入っていく人たちの姿が目についた。
何だろう? と彼らが並んでいる列の先を見ると「名探偵コナン」のスタンプラリーが設置されていた。ちょうど函館を舞台にしたコナンの映画が公開されたばかりで、それに関するスタンプラリーが設置されていたのだった。
スタンプラリーの台紙を見ると、ちょうど私たちが観光で行こうとしていた場所と重なっていることに気がついた。それならばスタンプラリーに参加しようじゃないか、と私たちも列に並び最初のスタンプを観光案内所で押した。旅の目的がひとつ増えたようで、なんとなく楽しい。
函館市電の1日乗車券(六百円だった)と、コナンのスタンプをひとつ入手した私たちは、今日宿泊予定のホテルにチェックインすることにした。先にチェックインを済ませ、荷物を預かってもらおうという算段だ。
ちなみに今回の北海道新幹線のチケットは、知人の勧めで「新幹線乗車券と宿泊券がセットになったプラン」を旅行代理店で購入した。1泊のみ、指定のホテルに宿泊することが条件なのだが、普通に購入するよりも値引き率が大きいので興味がある方は調べてみてください。そんなわけで、函館の1泊目は代理店で押さえてもらったホテルとなる。
荷物を預けたら、でかけよう
ホテルのカウンターには外国人の方がチェックインしていた。ここ数年、観光地へ向かうと外国人の方を目にする機会が増えたように感じる。場所によっては日本人よりも外国人の方が多い時もある。現在(2024年4月)は記録的な円安が続いているため、日本人にとって海外旅行は費用的に厳しい状況となる。
昨年私たちもバリ島へ旅をしたが、今年はその時よりも費用が嵩んでしまうらしい。せめて数年に一度くらいは、私たちのような一般人も海外へ旅できるくらいの為替になってほしいと思う。
カウンターで手続きをしている時「函館山の夜景を見に行く」と口にすると「夜の函館山は風が強くて寒いですよ」と強調される。やはり寒いのだろうな、と思いあらためて持ってきた防寒具をすべて手提げに詰め込んで出発することにする。(つづく)