投稿

ラベル()が付いた投稿を表示しています

【北海道旅 5日目(最終日)】さようなら、北海道。

イメージ
旅には、終わりがある。  旅には必ず終わりがある。終わりがあるから旅だとも言える。若い頃は最終日になると、さっさと家に帰ってあれとこれをしよう、などと考えたものだったが、最近はこのままずっと旅の時間が続けばいいのだが、と思う。芭蕉の「旅を栖とす」という言葉が身に染みる。  しかし旅には終わりが来る。そして今日は最終日だ。最終日は予定を考えていなかった。函館北斗駅まで向かい、レンタカーを返却する。その時間だけを確認しておいて、気になった場所に立ち寄りながら移動する予定である。 ニセコ蒸溜所で、ジンを買う   ホテルをチェックアウトして、まず最初に立ち寄ったのは、 ニセコ蒸留所 である。私は酒を飲まない。正確に言うと「飲めない」。飲むと具合が悪くなる。昔は「鍛えれば飲めるようになる」「酒を飲めないのは人生損をする」などと、酒飲みの人たちにからかわれたものだが、鍛えることもしなかったし飲めるようにもならなかった。  しかし、酒の味は好きである。ちょっと舐めるくらいだが、その風味を楽しむのは好きである。そして「工場見学」は、もっと好きだ。そんなわけで、ホテルの近くにあった ニセコ蒸留所 へ、寄り道してみることにしたのだった。   ニセコ蒸留所 の設立は2019年ということだから、設立まもない蒸溜所である。建物も看板も新しく、遠目から見るとレストランのようなモダンな雰囲気がある。駐車場に車を止め、入口へ向かう。ドアを開けると、独特の空気と香りに包まれる。それは、普段酒を飲まない私にも、どこかゆったりとした気分を感じさせてくれる。  まだ設立したばかりの蒸溜所なので、 現時点(2024年)でウイスキーは提供されていない。 現在、提供されているのは「ジン」だけなのだが、試飲させていただけるという事だったので(私は車を運転するので)妻が試させていただくことにした。横で様子を眺めていると、おいしい時の表情をしていた。聞いてみるとやはり、おいしい、と答える。気に入ったようなので、お土産に買って帰ることにする。家に帰ったら、炭酸で割って飲んでみようと思う。  将来、こちらの蒸溜所のウイスキーを店頭で見かける時がくるのだろう。その時は、今日のこの日を思い出しながら、ジンとウイスキーを買ってみようと思う。そんなことを考えると、未来に楽しみが増えていく。そんな、ささやかな楽しみを撒いておくこと

【北海道旅 4日目(4)】ニセコで温泉。

イメージ
ホテル甘露の森へ  有島記念館を後にし周辺を車で散策したあと、本日の宿である「 ホテル甘露の森 」へ向かう。今回なぜこのホテルを選んだかというと、北海道旅行を検討している時、偶然手にした書籍の中に「 一生に一度は出かけたい温泉宿 」と紹介されていたからである。  基本的に私たちが宿を決めるときは、場所と値段で決めてしまうことが多い。バリ島へ行った時は「 ヴィラに泊まりたい 」という目的があったので情報収集をしてから決めたのだが、それ以外は「なんとなく」で決めることも多い。宿にいる時間よりも外に出歩いている時間の方が長いので「清潔な場所であればいい」と考えてしまう。  そして何よりも、ガイドブックに紹介されている宿は高額なことが多いため予算に合わないことが少なくない(←これが最大の理由!?)。しかし予約サイトで「 ホテル甘露の森 」宿泊料を調べてみたところ、オフシーズンためか、予算内で収まる部屋があった。それならばここでいいよね、なにしろ「一生に一度は出かけたい温泉宿」なのだから、と予約することにしたのだった。 旅のトラブルは、時が過ぎればいい思い出  旅は、トラブルがつきものである。知らない場所へ行くのだから、予定外の出来事が起きるのは当然ともいえる。旅先のできごとは必然。むしろ時が過ぎれば、いい思い出になることも少なくない。心身にダメージが残るトラブルは全力で回避したいが、ある程度は 「そういうものだ」 と考えたほうがいいのだと思う。  今回はチェックインをして入室した部屋で、あるトラブルに遭遇した。フロントに電話して確認したところ、そのまま荷物を持って部屋でお待ちくださいと連絡があった。修理を担当する方が来て、しばし作業してもらったが改善せず「別の部屋へ移動」となった。  出来事に対する解釈と言うのは個人差がある。その時の個人的な感情の上下によっても、受け取り方は大きく変化する。普段であれば「仕方ないですね」で済ませた可能性があるのだが、今回は一連の対応に「?」という気分が残ってしまった。  自己分析してみると、今回は「一生に一度は出かけたい温泉宿」という解説を読んでいたため、 ホテルに対する期待値が勝手に上がってしまっていた のだろう。さらに、さらに「ニセコ = スキーリゾート」のイメージだが、あえてシーズンオフに「このホテルに宿泊するためにニセコにきたのだ」

【北海道旅 4日目(3)】十割そばからのベーグルで、有島記念館は休館日。

イメージ
昼食は、十割そば  昼食が食べられる場所をGoogle マップで調べたところ「 農家のそばや 羊蹄山 」が表示された。そういえば蕎麦が食べたいような気分だ。こちらに行くことにした。店へは道の駅からは車で10分というところ。「農家のそばや 羊蹄山」では「十割そば」を食べることができる。  以前、旅先で十割そばを食べた時、食感がざらざらしていてさほどおいしいという印象が残らなかった。それ以来なんとなく敬遠していたのだが、今回は、食べたいと思った。妻も十割そばがいいというので、2人で注文することにした。  直感というか、なんとなくの気分で選んだ事は、結果的にうまくいくことが多いような気がする。この店の十割そばとてもおいしかった。蕎麦の味がしっかりとして、喉越しもなめらか。つるつると美味しくいただけた。最初にこちらの十割そばを食べていれば、十割そばへの印象が別のものになっていただろう。おいしかったので「揚げそば」を買って帰ることにした。 学生時代の私は「蕎麦とパスタ」で、できていた。  思い返してみると、学生の頃は蕎麦とパスタばかり食べていたような気がする。特に蕎麦が好きで、蕎麦があれば充分だとうそぶいたりもした。なによりも、蕎麦は茹でてつゆを用意するだけで料理が終了というのも、めんどくさがりの学生にはぴったりであった。バイト代が入って懐が暖かい時は、スーパーでコロッケを買ってきて上に載せて食べた。   麺類中心の生活をしていたせいか、学生の頃は178センチで60キロ前後の体重だった。バイト先の店長から「ちゃんと食べてるか? 見てると心配になるよ」と、何度か食事をご馳走になった。その時は特に体調も悪くないし、自分では痩せているという感覚もなかったのだが、今思うと我ながら気になる体重である。コンビニの夜勤で働いてそのまま大学に行って、帰ってきたら蕎麦を食って寝る。あの生活は、さすがに痩せると思う。  ちなみに、今でもそばは好物だ。一人で昼食を作る時は、蕎麦で済ませることも多い。それでもこの年齢になってくると、デスクワークによる運動不足と加齢による基礎代謝の低下で体重が確実に増えていく。「食っても太らないんすよ」と言っていた、あの頃の自分に「そのうち嫌でも太るから」と言ってやりたい。 家にあるとうれしくて、コーヒーと一緒に食べたくなるもの  次に向かったのが「 SEED BAG

【北海道旅 4日目(2)】70年の時を越えた水が、尽きることなく流れていく。【名水の郷きょうごく】

イメージ
調光レンズは、ドライブには不向き?  そういえば、今回車を運転していて気がついたことがある。私はJinsのメガネに「調光レンズ」を入れて使用している。以前別の記事( JINS で「調光レンズ」を購入する )にも書いたけれど、このレンズはとても優秀で、かなり重宝している。ところが車を運転してる時は、 レンズの色が黒くならない ことが多いのである。  レンズは紫外線に反応するらしいから、車内では紫外線の量が少ないため反応しにくいのだろう。一応、度入りのサングラスも持っているので、運転する時はそれに変更すればいいだけの話なのだが、やはりめんどくさい。荷物を極力減らしたいので、旅に出る時などは1本だけ持ってでかけたい。  旅を終えてから、Jinsの前を通った時に「 可視光調光レンズ 」というレンズがあることを知った。説明によると「紫外線だけでなく目に見える光でもカラー濃度が変化するレンズ」なのだそう。つまり、車内でも光があれば色が変化してくれるらしい。 まさにこれが欲しかった。  今のメガネは、作ってから1年も経っていないので、もうしばらく愛用してから次はこちらを検討してみようかと思っている。遠近両用にして可視光調光レンズにすると、それなりの値段になりそうだが止むを得ない。つまり歳を重ねるというのは、そういうことなのである。 名水の郷きょうごく「ふきだし公園」  何の話だったか? そう、道の駅の話だった。次の目的地「 名水の郷きょうごく 」には「 ふきだし公園 」が隣接している。道の駅の裏手の道を通り整備された歩道を降りていくと、流れる水の音が近づいてくる。そこには、まるで設計された日本庭園のように、美しく苔むした岩の間から、文字通り「ふきだす」ように水が湧き出してくる様子を、間近で眺めることができる。  公式webサイトに情報によると「 湧水量は一日およそ8万トン。これは約30万人の生活水に匹敵し、アイスランドの人口に相当します。 」とある。アイスランドの人口に相当するほどの水量なのである。なぜアイスランドなのか? とにかく、それほどの水量が尽きることなく流れていく。  この水は「羊蹄山に降った雨や雪が溶岩や火山灰の中をしみわたり 約70年の歳月をかけて流れ、ろ過、浄化されキレイで美味しい水がわいています 。」とのこと。70年! ほぼ一人の人生に相当する年月をかけて浄化さ

【北海道旅 4日目(1)】道の駅をはしご、する。【洞爺湖 →ニセコ】

イメージ
早朝の羊蹄山と、鏡面の洞爺湖  翌朝5時半に目が覚めた。だいぶ早く眠ったのでだいぶ早く目が覚めた。すぐにカーテンを開け窓の向こうを見る。今日も天気は良さそうだ。まだ湖面に波が立っているけれども、もう少しすれば穏やかになっていくだろう。写真を撮って、もう一度布団に戻る。  8時を過ぎたあたりから、 湖面が鏡のようになめらかになった。 その上を観光船が右から左へと横切っていく。湖畔を散歩している人の姿が見える。その横を原付バイクが通り抜けていく。ホテルの窓際の席に座り、そんな風景を眺めながら朝ごはんにすることにする。  今日のメインは、昨日のパンとチーズ、それにハチミツをかけて食う。うまい。それぞれの素材が良質である事はもちろんだが、背景が羊蹄山と洞爺湖だから、そこに旅情が加算されてくる。これほど「おいしい時間」は、そうそうないと思う。 そして、もう二度と同じ時間はやってこない。 一期一会 と、表現してしまうと使い古された状況になってしまうけれど、つまりそういうことなのだと思う。 →  夕方の「洞爺湖の写真」はこちら 洞爺湖は、一周42km。つまり、あの距離。  チェックアウトの前に、洞爺湖畔を散歩してみることにした。遊歩道には、彫刻や撮影用のモニュメントが点在していた。調べてみると「 人と自然がふれあう野外彫刻公園 」ということで、洞爺湖を囲むように複数の彫刻が設置されているのだそう。  ちなみに、洞爺湖は一周約42kmである。そう、フルマラソンの距離と同じで、実際にここでマラソン大会が開かれているのだそう。私はフルマラソンを走ったことはないし、これから挑戦することもない(と、思う)のだが、自転車でなら挑戦してみたいような気がする。いや、自転車でも、今の体力ではリタイアしてしまう可能性が高いかな。  さらにこの遊歩道は「 美しい日本の歩きたくなる道 500選 」に選ばれているそうだ。地元の仙台市も選ばれているのだろうか、と思い調べてみたところ「 杜の都仙台 広瀬川散策路 」が500選に選ばれていた。全長7kmなので、これならば私でも十分に歩くことができる。いつか歩いてみようと、ひそかに次の目標を設定した。 洞爺湖から「とうや水の駅」へ  洞爺湖と羊蹄山を背景に写真を撮っていると、チェックアウトの時間が近づいてきた。ホテルに戻り、チェックアウトしてから車に乗り込む。この

【北海道旅 3日目(4)】洞爺湖と北海道の少し早い夜【レストラン望羊蹄】

イメージ
ホテルの窓からの「洞爺湖」  洞爺湖へは18時に到着した。まもなく日没だが、まだ周囲には太陽の光がほんのりと残っていた。気温がどんどん下がってきていて、風が吹くと自然と背中が丸くなる。駐車場に車を止め、荷物を取り出しチェックインすることにする。  今回の宿泊地は「洞爺観光ホテル」である。昭和の雰囲気を感じる観光ホテルで、どこか懐かしいような気分になる。今までここに多くの人達がやってきたのだろう、そしてそれぞれの時間を過ごしたのだろう、そんな気配を感じる。  最近では「昭和レトロ」という言葉もあって、若い人たちに人気があるという。彼らが感じる「昭和レトロ」と昭和生まれの私が感じる「昭和レトロ」は、同じようでわりと違うのかもしれない。それでも「昭和レトロ」という言葉を通して共有できるのは、嬉しいような気がする。  鍵を受け取ってから、エレベータに乗って部屋へ向かう。「洞爺観光ホテル」と印字された長いキーホルダーのついた鍵で扉を開け、部屋の中に進む。その視点の先に、羊蹄山が夕方の太陽の光を浴び、ゆったりと落ち着いていた。 北海道らしい景色を見た、と思った。  雲一つない、なめらかな空と風で波打つ湖面。その真ん中に、白い雪の残っている羊蹄山の姿がある。窓際に近づいて写真を撮る。空の色が、昼から夜へと切り替わる境界線。静寂なり。 北海道らしい景色を見た、と思った。 あと30分も遅れていたら、この風景は見られなかっただろう。丘の駅で、大沼だんごをもう1箱食べなくてよかったと思う。  若い頃は「ホテルは寝るところ」と考えていて、ギリギリまで外出して夜遅くにチェックインすることが多かった。少しでも多く歩いて回って何かを見ていたかった。しかし今回の「洞爺観光ホテル」のように「部屋からの風景」もセットの場合、夜にチェックインしていては、この景色を見られなかった。これから、このホテルを利用される方は、日没前の時間も楽しんでいただきたい。美しいです。  夕暮れの洞爺湖と羊蹄山を堪能した後、夕食を食べに行くことにする。今回は素泊まりのプランしか空きがなかったので、夕食は外食になる。北海道旅、初日の経験を生かし、夕食には若干早い時間ではあるが、早めに行動することにする。太陽が落ち、寒くなる事を想定し、持参していたダウンベストを薄手のコートの下に着込んで出発した。 レストラン望羊蹄で、北海道の夜

【北海道旅 3日目(3)】北海道駒ヶ岳、もうひとつの顔【道の駅 YOU·遊·もり】

イメージ
北海道駒ヶ岳、もうひとつの表情と出会う。  大沼国定公園を出て、次に目指すは洞爺湖である。そしてここが本日の宿泊予定地になっている。大沼国定公園から洞爺湖へは国道5号を北上し、約140キロというところ。最初は有料道路を使って一気に走り抜けようかと考えていたのだが、道路も混雑していないし道の駅にも寄りたいので、そのまま国道を走ることにした。  走り始めて、さっそく「 道の駅 YOU·遊·もり 」があった。まだ全然距離は稼げていないが、先を急ぐ旅ではないので、早々に休憩することにした。そしてこれが正解だった。「道の駅 YOU·遊·もり」には、展望ラウンジがある。そこから、先ほど大沼国定公園から眺めた北海道駒ヶ岳を別の角度から眺めることができる。  先ほど私は 「北海道駒ヶ岳は、左側の1部が尖っているように見える山だと」 書いた。ところがこちらから見ると、中央部分がえぐれ 「2つの山が並んでいる」 ように見えるのである。山は、見る角度によってその形を変えるものだけど「これが同じ山なのか」と思うほどに、別の表情を見せてくれるのだった。大沼国定公園で北海道駒ヶ岳を眺めた方は、ぜひ。「道の駅 YOU·遊·もり」にも立ち寄って、その姿を楽しんでいただきたい。お勧めです。  ※ 大沼からの「北海道駒ヶ岳」はこちら  絶景を楽しみ車に戻り、移動を再開する。道の駅から30分ほど走ったところで「 丘の駅(八雲町情報交流物産館) 」があったので、またもや立ち寄ることにした。この段階で時刻は午後4時を回っていた。このペースで休憩していたら、目的地にたどり着くころには日没になっているかもしれないが、本日は距離を稼ぐことが目的ではないので、こんな感じで移動しようと思っている。  若い頃は1日4〜500キロ走っても、一晩寝れば翌日には「さあ、いくぞ」という感じで、同じ距離を普通に走ることも少なくなかった。しかし、年齢を重ねると厳しくなる。下手すると走っている時間よりも休憩の時間の方が長い時すらある。できれば自動運転の車で移動して、要所だけ自分で運転する方がいいとすら思う。あれほど車を運転することが好きだった自分が、年齢を重ねると性格も含め、色々と変わってくるものだと思う。 丘の駅で、団子を食う。  国道5号を直進し、案内に従って左折する。緩やかな気持ちの良い坂道を車で上っていくと建物が見えてきた。

【北海道旅 3日目(2)】大沼だんごと、チーズとパンと。

イメージ
函館から北上し、大沼国定公園をめざす  トラピスチヌ修道院を出て、次に目指すのは 大沼国定公園 である。いまのところ「地方の幹線道路」といった風景が続き、まだ「北海道を走っている」といった雰囲気ではないが、信号機が少なく道もまっすぐなところが多いので、移動は楽だ。レンタカーにも慣れてきて、淡々と走ることができる。  途中「 ラッキーピエロ 峠下総本店 」の横を通過したのだが、店の前まで人が並んでいる姿が見えた。ラッキーピエロはどこの店舗も混んでるのだな、と思う。昨日は マリーナ店 の眺めの良い席でハンバーガーを食べられてよかったと思う。「大沼公園」という道路標識を確認し右折。道道338号へ入ると、左手に「大沼(小沼)」が見えてくる。  私は釣りが好きだ。小学生の頃に「釣りキチ三平」を読んだのがきっかけで興味を持ち、友達に連れて行ってもらってからすっかり夢中になってしまった。中学高校の頃は、音楽やバイクに夢中になったので、釣りをしない時期があったのだが、大学生になってから友人達と釣りをするようになった。「釣り合宿」と称して河口湖へ行ったのもいい思い出だ。  卒業して社会人になってからは、小型船舶免許を取るほどになった。淡水専門だったので、湖を見るたびに気分が高揚する。釣りができる場所なら、5分でも10分でも竿を出したくなる。 大沼公園で、大沼だんごを買う  空の青に染まる湖面に沿った、緩やかな道を進んでいくとほどなくして大沼公園駅に到着した。駐車場に車を止め、真っ先に向かったのが「 元祖大沼だんご沼の家 」である。今回、大沼公園にやってきたのは、風景を楽しむこともあるが、大沼団子を食べることが目的なのであった。まだ売り切れてないよな、と話しながら店へ急ぐ。  店内には数名ほど並んではいたが、無事に購入することができた。大沼団子は「醤油、ゴマ、餡の3種類」なのだが「醤油+ゴマ」「醤油+餡」の組み合わせで販売されているので、どちらも食べたかった私たちは、2箱購入した。とりあえず無事に購入できたので、ひとまず車に置いておき、改めて大沼の観光に出かけることにする。  駅前の 大沼国際交流プラザ へ行き、観光パンフレットをもらう。散策路は4コース設定されており、どれにすれば良いのか迷ったので受付の方に相談してみると「大島の路のここから、駒ヶ岳がよく見えますよ」とスポットを教えて

【北海道旅 3日目(1)】レンタカーで、トラピスチヌ修道院へ【函館】

イメージ
早起きして、朝市「海鮮丼」  翌朝は6時過ぎに目が覚めた。今回の旅も3日目となったが、体調もいいしすっきりと目が覚めた。カーテンを開けて窓の外を見る。今日も天気は良さそうである。 今朝は早起きをして、函館朝市で海鮮丼を食べる 予定になっている。朝市は7時から始まっているので、混雑する前に出発して、海鮮丼を楽しもうという計画である。  今回は「 茶夢 」という店へ行く。妻が事前に情報を調べていて、函館朝市で海鮮丼を食べるなら茶夢がいい、と言うのでここに決めた。朝の7時から営業しているというので、身支度をして店に向かうと、すでに店内にはお客さんの姿があった。ちょっと遅かったか? せっかく早起きしたんだけどな、と思いつつ店の中を覗くと、ちょうどカウンターの席に2人分の空きがあったので並ばずに座ることができた。  注文をすると、最初に小鉢で料理を出してくれる。私はこのように少しずついろいろな味を楽しめる料理が好きである。あまり量を食べられないので、こうやって少しずつ楽しめるのが嬉しい。妻と話をしながら小鉢を楽しんでいると、ほどなくして海鮮丼が運ばれてきた。今回私はカニとイクラとイカの海鮮丼にした。イカの透明度を見て、 これはもう間違いなくおいしいだろう 、と食べる前から確信する。  今回、函館で海鮮丼を食べてみて気がついたのだが、 ご飯が白米なのである 。後から気になって調べてみたところ、函館朝市の海鮮丼では、白米しか出せない地元のルール(?)らしきものがあるのだそう。酢飯で食べたい人は、寿司屋へということらしい。住み分けのようなものだろうか。詳しくはわからないのだが、どうやらそういうことらしい。  もちろん白米でも、十分においしい。実は私は、海鮮が得意というわけではない。ウニや貝類は苦手だし、甲殻類もあまり手を伸ばさない。「大人になったら食べられるようになる」と、大人たちに言われてきたが、この年齢になっても苦手なのでたぶんこのままだろう。特に後悔もなく、まあこれで良かったと思う。  ちなみに「茶夢」の海鮮丼は、函館滞在中は毎朝食べたいと思う味だった。お値段も手頃だし、小鉢も嬉しいし、函館の朝食を楽しく過ごすことができた。  朝の6時に早起きして海鮮丼を食べに出かける、というのは普段の私にはありえないことだけれども、早起きして良かったと思う。朝から海の幸を堪能したね、と妻と

【北海道旅 2日目(4)】ハンバーガーと、赤レンガ倉庫【函館ベイエリア】

イメージ
坂をくだり、ベイエリアをめざす  旧函館区公会堂の前には静かな、そして手入れの行き届いた公園が広がっていた。 本町公園 である。前方には函館港が美しく輝き、振り返れば旧函館区公会堂の姿が見える。ずっと歩き続けて疲れた足を休めたいところだが、すでにこの段階で午後3時を過ぎてしまっていた。休憩は後回しにして、足を先に進めることにする。  基坂を降り始めるとまもなく、 函館市旧イギリス領事館 の建物が見えた。私は子供の頃に、シャーロックホームズに夢中になってから、イギリスに行ってみたいと思っていた。それが理由というわけではないと思うのだが、学生の頃に気に入って聴いていた音楽は、イギリスのバンドばかりだった。  夏目漱石を読むようになってからは、漱石の留学先がイギリスということで、さらに興味が増すようになった。イギリスへ行ってきた、という人がいると感想を聞かせてもらった。  しかし、イギリスに足を運ぶ機会はなかった。行こうと思えば、行くチャンスはあったかもしれない。この年齢まで行けなかったということは、縁がないのかもしれない。そこで、少しでもイギリスの雰囲気を味わおう、という気分になり、イギリス領事館に寄ることにしたのだった。 ライラック、と聞くと思い出すこと   函館市旧イギリス領事館 は度重なる火災の後1913年、現在地に再建されたのだそう。 ユニオンジャックが、春の風にはためいている。当時の函館の人たちは、どのような気持ちでこの旗と建物を眺めたのだろう、と想像する。それは私たちが思っているよりも、近くて遠い場所だったのだろうか。おじゃまします、という気分で敷地内に足を進める。  領事執務室に、リチャード・ユースデン領事が双眼鏡を使って窓の外を眺めている等身大の像が展示されていた。この窓から、こうやって函館の街と海を眺めていたのだろうか。ちなみに、函館公園にイギリスから取り寄せたライラックの苗を植えたのが、リチャード・ユースデン夫人なのだそう。   ライラックと聞くと、思い出すエピソード がある。私が子供のころ住んでいた家の庭に、ライラックが植えられていた。何かのイベントでいただいた苗木を植えたところ、特に手入れもしないのにすくすくと伸び、毎年綺麗な花を咲かせてくれた。それが子供心にも、とても美しくそして「力強く」感じられたので、自宅で犬を飼うことになった時、ライラック

【北海道旅 2日目(3)】坂の街で異国情緒に浸る【教会と八幡坂と旧函館区公会堂】

イメージ
函館山を背に、海を眺め続ける。  函館山山麓には、複数の教会が隣接している。カトリック本町教会、函館聖ヨハネ教会、函館ハリストス正教会と、 宗派の違う協会が、これほど近くに隣接している のは全国でも珍しいそうだ。それらが、 空へと続くまっすぐな坂の上にあるというシチュエーション は、函館の街並みに神秘性とエキゾチックさを与え、観光客である私たちを魅了してくれる風景となっている。  それぞれの文化と宗教と一緒に外国からやってきた人々が、函館の丘の上に教会を建てていく。そしてそれは長い時間を越え、今でも函館山を背に太陽の光を浴び海を眺めている。そんな時間の積み重ねや、当時の人々の志を想像していると、日常の時間軸から乖離し過去と現在の中間点を浮遊しているような気分になる。石畳の坂を踏みしめながら、そんなことを考える。  今回は、大三坂を上った先にある、 カトリック元町教会 を拝見させていただいた。ここは横浜と長崎の教会と並んで 国内で最も古い歴史を持ち、江戸時代以降の日本へのカトリック布教史の中で最も古い起源を持つ教会 なのだそう。一般の人にも門が開かれていたので、中に進み聖堂を拝観させていただくことにした。  カトリック元町教会は、1867年に仮聖堂が建てられてから、2度の大火による消失と再建を経て現在に至ったとのこと。そのような背景を想いながら、ローマ教皇ベネディクト15世から寄贈された祭壇を聖堂の後方から眺めていると、このような私でも神聖な心持ちに満たされてくる。守るべきものを守り続けた人たちの志に、ほんの少しだけ触れられたような気分になる。  そういえば昨日の夜、函館山で夜景を見た帰り道、さほど遠くない場所から鐘の音が聞こえてきた。あれは教会からの鐘の音だったのだろうか。それとも全く別のところから響いてきたのだろうか。そんなことを考えながら門を出た。 八幡坂から、旧函館区公会堂への道  教会を出て右手にまっすぐ進んでいくと、その先に多くの人たちが集まって写真を撮っている姿が見えた。何を撮影しているのだろう? 何か有名人でも来ているのだろうか、と思いながら近づいていくと然にあらず。みなさん、坂の写真を撮っているのだった。   そう、ここが八幡坂 。函館に関するガイドブックや写真を見ると、絶対と言ってもいいほどここの写真が使われているのを目にする、有名な観光スポットの

【北海道旅 2日目(2)】函館本町エリアを歩く【工芸と天然酵母のパン】

イメージ
函館は、坂と異国情緒あふれる街  「函館」というと「異国情緒あふれる街」 という印象があった。日米和親条約(中学生の時に日本史の授業で習ったやつだ)で下田と函館が開港となり、いち早く外国の文化に触れた街。外国人が生活し、教会が建てられ、歴史的建造物が多く残された街。そのような情報から、函館には異国情緒あふれる街並みのある街、という印象を持っていたのだった。  2日目は、そのような 歴史的建築物が集まっている「本町エリア」を散策 するのが、目的である。いわば、定番の観光スポットをめぐる予定なのだった。  函館市電の「十文字街」で降車し、まず最初に向かったのが、「 はこだて工芸舎 」である。私は、10年ほど前から「民藝」に惹かれるようになってきた。もともと妻が民藝に興味を持っていて、一緒に盛岡や仙台の光原社などへ行っているうちに興味を持つようになった。昨年は「日本民藝館」へも行った。  もちろん、私たちが購入できるものだから高価な物ではないし、多くを求めることもできない。あくまでも日常の品として使うものなので、いわゆる骨董的価値があるものではないのだが、それでも自分たちの好みで探したものを使って生活するのは、なかなか楽しいものだ。そのようなわけで、今回、函館に行こうと決めた時、はこだて工芸舎へ行ってみたいと思っていたのだった。 市電に乗って、はこだて工芸舎へ  はこだて工芸舎は、 明治23年の建物をリノベーション して利用しているお店である。つまり建物そのものが歴史的建造物なのである。入口をくぐると歴史の流れを感じる重厚感のある気配に包まれる。窓から差し込んでくる静かな光。ちょっと薄暗い店内には、もうずっと100年以上も昔から、そこにあったかのような工芸品が静かに並んでいる。  学生の頃、通っていた仙台の古書店にも、このような気配のある店があった。自分の背よりも高い本棚が並ぶ狭い隙間をすり抜けていきながら、奥のほうに進んでいくと「 この先に自分が探している何かが眠っているのかもしれない 」と気分が高揚していく感覚。  ここ数年、仙台の街では、そのような店が次々と閉店してしまった。先日も、仙台の老舗書店が閉店してしまった。建物の老朽化、維持管理などなど、様々な要因があるのだろうけれど、それらが思い出の中だけにしか残らないのは、やはり寂しい。もっと繰り返し足を運べばよか

【北海道旅 2日目(1)】函館名物、イカはさすがの旨さ。【函館朝市】

イメージ
朝食を済ませて、函館朝市へ  若い頃は旅先で眠れなかった。初日の夜は全く眠れず、ほぼ徹夜で2日目を迎えることが多かった。いわゆる「枕が変わると眠れない」というやつである。面倒な性格である。ところが、40代になってから旅先でも眠れることが増えてきた。そして最近では、初日でもぐっすりと眠れるようになった。神経が図太くなることによって、失うものも増えてくるだろうけど、旅先では眠れた方が良い。 これも年齢を重ねるメリットだ と、プラスに考えるようにしよう。  函館初日の夜も、無事にぐっすりと眠ることができた。北海道だから寝ている時に寒くないか、と身構えていたのだが、ホテル内は空調が効いているし、いつも通り過ごすことができた。朝起きて窓を開ける。遠くのほうに海が見える。青い空が見える。今日もいい天気だなと思う。  今回のホテルは朝食付だったので、身支度を整えてからホテルの中のレストランへ行く。私は普段朝食を食べない。基本的に昼と夜、2食の生活をしている。学生の頃からそのような食生活をしているので、朝はあまり腹が減らない。  ところが不思議なもので、旅をしてる時は朝からやたらと腹が減る。今日は朝から胃腸が活性している、という気分になる。今朝も腹が減っていたので、食事をしっかり食べた。これで1日しっかり歩けるだろう。 本日の宿泊地「ホテルニューオーテ」へ 部屋に戻り荷物を片付けてから、チェックアウトする。まず最初に向かったのは、本日宿泊する「 ホテルニューオーテ 」である。まず最初にチェックインをし、荷物を預かってもらうつもりである。外に出ると、強めの風が体を押してくる。風がある分、体感温度は低いけれども、これなら薄手のジャケットを羽織るだけでしのげそうだ。  今回北海道旅行を計画した時、以前北海道に住んでいた人に服装を相談したところ、ある程度防寒したほうがいいかもしれない、といわれて迷ったのだが、荷物は減らしたいしコートが邪魔になりそうだったので、薄手のスプリングコートしか持ってこなかった。しかしこれならば、大丈夫そうだと思う。  旅先でストレスを感じるのが寒さである。そこに雨が降ったら惨めな気分になる。しかし今回の北海道旅行の間は天候には恵まれそうなので、たぶん楽い旅になるだろうと思いながら函館駅へ向かって歩く。  向かう途中、近くを歩いていた女性2人が突然前の方へ向かって