【北海道旅 4日目(1)】道の駅をはしご、する。【洞爺湖 →ニセコ】


早朝の羊蹄山と、鏡面の洞爺湖

 翌朝5時半に目が覚めた。だいぶ早く眠ったのでだいぶ早く目が覚めた。すぐにカーテンを開け窓の向こうを見る。今日も天気は良さそうだ。まだ湖面に波が立っているけれども、もう少しすれば穏やかになっていくだろう。写真を撮って、もう一度布団に戻る。

 8時を過ぎたあたりから、湖面が鏡のようになめらかになった。その上を観光船が右から左へと横切っていく。湖畔を散歩している人の姿が見える。その横を原付バイクが通り抜けていく。ホテルの窓際の席に座り、そんな風景を眺めながら朝ごはんにすることにする。

 今日のメインは、昨日のパンとチーズ、それにハチミツをかけて食う。うまい。それぞれの素材が良質である事はもちろんだが、背景が羊蹄山と洞爺湖だから、そこに旅情が加算されてくる。これほど「おいしい時間」は、そうそうないと思う。そして、もう二度と同じ時間はやってこない。一期一会 と、表現してしまうと使い古された状況になってしまうけれど、つまりそういうことなのだと思う。

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洞爺湖は、一周42km。つまり、あの距離。

 チェックアウトの前に、洞爺湖畔を散歩してみることにした。遊歩道には、彫刻や撮影用のモニュメントが点在していた。調べてみると「人と自然がふれあう野外彫刻公園」ということで、洞爺湖を囲むように複数の彫刻が設置されているのだそう。



 ちなみに、洞爺湖は一周約42kmである。そう、フルマラソンの距離と同じで、実際にここでマラソン大会が開かれているのだそう。私はフルマラソンを走ったことはないし、これから挑戦することもない(と、思う)のだが、自転車でなら挑戦してみたいような気がする。いや、自転車でも、今の体力ではリタイアしてしまう可能性が高いかな。

 さらにこの遊歩道は「美しい日本の歩きたくなる道 500選」に選ばれているそうだ。地元の仙台市も選ばれているのだろうか、と思い調べてみたところ「杜の都仙台 広瀬川散策路」が500選に選ばれていた。全長7kmなので、これならば私でも十分に歩くことができる。いつか歩いてみようと、ひそかに次の目標を設定した。

洞爺湖から「とうや水の駅」へ

 洞爺湖と羊蹄山を背景に写真を撮っていると、チェックアウトの時間が近づいてきた。ホテルに戻り、チェックアウトしてから車に乗り込む。このレンタカーとも2日目の付き合いになる。

既に旅の相棒のような気分になっていて、今日もよろしく頼むよ、とハンドルを握りながら挨拶をする。エンジンをかけ、カーナビに次の目的地を入力したら出発だ。本日の最終目的地はニセコ町である。

 湖畔沿いの道をゆっくりと走る。しばらく走っていると、右手の奥のほうに昨晩宿泊した洞爺湖観光ホテルが見えてくる。昨晩私たちはあそこに泊まったのだ、と思うと、たった1泊だけなのに、すでに愛着を感じ始めている。またここに来られたらいいのだが、と思う。

 対向車もなくゆったりとした雰囲気だったので、妻に運転を代わってもらう。昨日は私が運転したが、今日は交代しながら走っていこうと思う。妻は知らない道を走行するので、少々緊張してるようだったが、とりあえずこれで「北海道を走った」ことになる。良い思い出になったのではないかと思う。

定休日の悲しみは、意外に大きい

 30分ほど走ったところで「とうや水の駅」に到着した。前日同様、全く距離は稼げていないが、今回の旅はゆっくり走ることが目的なので、早々に休憩することにする。妻は「とうや水の駅」周辺に行きたいと思っていた店があった。しかし、事前にホームページで調べていたところ、今日が定休日であるということがわかっていた。それでも、せっかく来たのだからもしかしたらという気分で店の方へ行ってみると、やはり定休日だった。

 すると、妻が急に建物の影の方へ走っていった。どうしたのかな、と思って待っていると、店の人が外で作業をしていて「今日は定休日である。ゴールデンウィークに向けて準備をしている」と教えてもらったらしい。

 目当ての店が休みだったときのショックは想像以上に大きい。ましてそれが旅先であると、なおさらである。ここは北海道だ。そうそう来られる場所ではない。がっかりしている妻の様子を見るのは非常に気の毒だったが、これも巡り合わせだろうか。気を取り直して出発する。

とうや水の駅から、「道の駅230ルスツ」へ

 道道66号を北上し、走ること約30分。「道の駅230ルスツ」へ到着する。ルスツという名前が気になって調べたところ、アイヌ語の「ル・スツ(留寿都)」(道が山のふもとにあるという意味)が由来になっているとのこと。この名称の通り、進行方向から左の方を見ると、その先に羊蹄山が見える。ちょうど羊蹄山を迂回しながら走るような道なので「ルスツ」とは、ぴったりの名称だと思う。


 「道の駅230ルスツ」に、両方の親指を上に突き出した男性の像があった。あの印象的なポーズはもしかして、と思いつつ近づいてみると、予想通り、指圧で有名な浪越徳次郎氏だった。浪越氏は少年時代ルスツで生活していたことがあり、その縁で設置されたらしい。

 「この像の指に自分の両手の指を重ねると体調が良くなる言い伝えがある」と言われたのならば信じてしまいそうな(実際には、ありません)個性的なポーズですよね。せっかくなので、妻に像の前にしゃがみ込んでもらい、背中を押されてるような格好で写真を撮った。

私の中の「北海道らしい」道

 浪越氏と記念写真を撮り、ルスツを後にする。そして今回の北海道ドライブ旅において、ここからの道が個人的に「北海道らしい道」だったと思う。地平線に向かってまっすぐ伸びる道の先に羊蹄山がどんと構えている。対向車はない。むろん信号機もない。自分たちだけが、この大地を独り占めして走っているような気分。

 バイク仲間の1人に、夏になると毎年のように北海道へツーリングに行っている人がいた。彼は「夏休みにバイクで北海道を走るのを楽しみに、がんばって仕事をしている」と言っていた。飽きませんか? と聞くと、全然飽きないと言う。

 どこがそんなに魅力なのですか? と聞くと、まっすぐな道がずっと続いていて、どこまで走っても途切れないのがいいんだ、と言っていた。彼とは15年以上も連絡を取っていないが、今でも北海道を走っているのではないかと思う。そして今年の夏も、きっと走るような気がする。

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 そんな「北海道らしい道」を20分ほど走ると、次の目的地「名水の郷きょうごく」に到着した。昨日、函館市をレンタカーで出発してから、大体3、40分間隔で道の駅があった。もしかすると、コンビニよりも道の駅の方が多かったかもしれない(イメージです)。

 長時間のドライブはトイレが気になる人も少なくないと思う。今回のルートだと、その点も安心できると思う。基本的に、道幅も広く、交通量も多くないのでスムーズに走ることができた。北海道という土地柄なのか、車間距離を広めにとって一定の速度で走行する車も多く、流れに乗って走ると淡々とドライブできるので、今回の旅では一般道のみで移動することができた。

 しかし見通しの良い直線が多いせいか、豪快に追い越していく車にも遭遇した。対向車が来ているのに追い越しをかけ、ウィンカーを出さずに車線変更をして接触しそうになっている車も目にした。前方だけでなく後方も注意したい。

 そして今回痛感したのが、年齢を重ねると疲労も溜まりやすい、ということである。若い頃であれば、一晩寝ればだいぶ回復したが、この年齢(筆者は50代)だと、肩が凝った目が疲れた、ずっとアクセルを踏んでいるから足首がつらい、などと心身共にストレスがかかる。
 今回は、走っている時間と道の駅で休んでいる時間が同じくらいだったが、実はこのくらいがちょうど良いペースなのかもしれない。過信してはいけない。休み重要。(つづく

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