【佐藤の文章力講座】情報収集の方法とは?
【佐藤の文章力講座】情報収集の方法とは?
前回の記事で「ひらめきは、情報と経験量に比例する」ということを書きました。おそらくみなさんの頭の中には「では、どうやって情報を集めていけばいいのですか?」という質問が浮かんでいると思います。
すこし厳しめの回答になりますが「どうやって情報を集めれば」というような質問をするようでは成長が望めない、ということになるのではないかと思います。まるで呼吸をするように意識することなく、すべての事象から「アイデアの種」を拾い続けていく、ということだからです。
日常のできごとに「アンテナ」を立て続ける
実際に、私の周囲の「アイデアがひらめく人たち」は、日常生活のほとんどを情報収集にあてアンテナを立てているのですね。生活していると、様々な情報(できごと)に遭遇しますが、それらの中に「興味をひくものはないか?」と常に意識を向けています。
たとえば、知人のデザイナーと一緒に移動していたとします。すれ違った人が「ちょっと変わったデザインのTシャツ」を着ていたので「さっきのTシャツ見ました?」と話しかけると「見ました。キャラクターが履いていた靴の色がかわいいヤツですよね」のような答えが返ってきます。
私は「ちょっと変わったTシャツ」というレベルでしか見ていませんが、デザイナーは細やかな部分まで観察し情報収集しています。そして「あのTシャツのブランド、私も好きなんです」とブランド名を教えてくれたりもします。次回に会った時に、そのTシャツを着ていて「あっ!それは!」「いいでしょ?」と、話題を作ってくれたりもします。
目が出ない「アイデアの種」の方が多い
もちろん、そのような「アンテナ」を立てて集めた情報が、すぐに仕事に活かせるわけではありません。ほとんどの情報が普段は「眠っている」状態ですし、活用したとしても「不採用」になる確率の方が圧倒的に多くなります。
そして実際のところ「ひとつの情報が、そのまま大きなアイデアになる」ということは、ほとんどありません。きっかけになることはありますが、そこは出発点で試行錯誤が始まり、あれだこれだ、修正だ、変更依頼だ、などと雑多な作業を積み重ねた先に「いいアイデアですね」とまとまることが多いのです。そうやって拾った種を「どのように育てていくか」が力のみせどころです。
だからこそ「情報収集するぞ! アンテナを立てよう! 何から始めればいいですか!?」と意気込むのではなく、無意識で当たり前のように3年、5年と「食事をしてコーヒーを飲む」ように意識を向け続けなければいけない。飽きたりマンネリ化することもありますから、新しい視点を得られる刺激を加える工夫も大切です。それを仕事にしたいのならば、なおさら、ということになると思います。
経験値が積み上がれば、その試行錯誤の時間が短縮されたり、失敗の数は減っていきます。スムーズに仕上がっていく速度はあがります。しかし、そこで満足できずに「何かおもしろいことはないかな?」と、ますますアンテナの感度を高めていく。人生の大半を「そこ」に費やしていく。何かを身につけるということは、そういうものではないか、と思うのです。
読書を通して、情報を「体系化」しよう
さいごに付け加えますと「気になった」ものがあれば、調べておくことが大切です。ネットで検索して調べるだけでなく、専門書に手を伸ばして「体系化」するまで知識を蓄積させておくことをおすすめします。「気になったもの」は、すぐに忘れますが「気になって調べたもの」は、何年後でも思い出せる活用できる知恵になります。
多くの人たちが「ネットで検索すれば、ぜんぶわかる」と考えている中「読書をすることで、さらに掘り下げていく」習慣を身につけている人は少数派になっていくかもしれません。しかし、だからこそ「そこに何か」が宿るし、10年後には大きな差になるのではないかと考えています。
むろん、私自身も「アイデアが湧き出る」人間ではないので、学び続けている人たちから刺激を受けつつ、知識と経験を積み上げていこうと思います。みなさんも、ぜひご一緒に。
☝筆者:佐藤隆弘のプロフィール