【北海道旅 3日目(1)】レンタカーで、トラピスチヌ修道院へ【函館】


早起きして、朝市「海鮮丼」

 翌朝は6時過ぎに目が覚めた。今回の旅も3日目となったが、体調もいいしすっきりと目が覚めた。カーテンを開けて窓の外を見る。今日も天気は良さそうである。今朝は早起きをして、函館朝市で海鮮丼を食べる予定になっている。朝市は7時から始まっているので、混雑する前に出発して、海鮮丼を楽しもうという計画である。

 今回は「茶夢」という店へ行く。妻が事前に情報を調べていて、函館朝市で海鮮丼を食べるなら茶夢がいい、と言うのでここに決めた。朝の7時から営業しているというので、身支度をして店に向かうと、すでに店内にはお客さんの姿があった。ちょっと遅かったか? せっかく早起きしたんだけどな、と思いつつ店の中を覗くと、ちょうどカウンターの席に2人分の空きがあったので並ばずに座ることができた。

 注文をすると、最初に小鉢で料理を出してくれる。私はこのように少しずついろいろな味を楽しめる料理が好きである。あまり量を食べられないので、こうやって少しずつ楽しめるのが嬉しい。妻と話をしながら小鉢を楽しんでいると、ほどなくして海鮮丼が運ばれてきた。今回私はカニとイクラとイカの海鮮丼にした。イカの透明度を見て、これはもう間違いなくおいしいだろう、と食べる前から確信する。

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 今回、函館で海鮮丼を食べてみて気がついたのだが、ご飯が白米なのである。後から気になって調べてみたところ、函館朝市の海鮮丼では、白米しか出せない地元のルール(?)らしきものがあるのだそう。酢飯で食べたい人は、寿司屋へということらしい。住み分けのようなものだろうか。詳しくはわからないのだが、どうやらそういうことらしい。

 もちろん白米でも、十分においしい。実は私は、海鮮が得意というわけではない。ウニや貝類は苦手だし、甲殻類もあまり手を伸ばさない。「大人になったら食べられるようになる」と、大人たちに言われてきたが、この年齢になっても苦手なのでたぶんこのままだろう。特に後悔もなく、まあこれで良かったと思う。

 ちなみに「茶夢」の海鮮丼は、函館滞在中は毎朝食べたいと思う味だった。お値段も手頃だし、小鉢も嬉しいし、函館の朝食を楽しく過ごすことができた。
 朝の6時に早起きして海鮮丼を食べに出かける、というのは普段の私にはありえないことだけれども、早起きして良かったと思う。朝から海の幸を堪能したね、と妻と話しながら店を出た。
 ホテルまでの帰り道、だいぶ遠回りして朝市をぐるりと散歩した。歩いていると店の方が声をかけてくる。いけすの中を泳いでいるイカの姿を眺めたり、大きなカニの姿に驚いたりしたあと、近くのコンビニに寄り、飲み物やお菓子を買ってからホテルに戻った。

レンタカーで、北海道の大地を走る

 今日からは、レンタカーで北海道を移動する。ホテルをチェックアウトしてから、予約してある函館駅前のレンタカー店を目指す。今回は日産のレンタカーを借りることにした。私は今までに、スカイライン、ラシーン、キューブ、などなど日産の車を多く乗り継いできた。そのせいか、レンタカーを借りる時もなんとなく日産の車を借りることが多い。

 今回も、レンタカーを予約する時に、なんとなく日産に目がいって、なんとなく気になっていた日産の「e-power ノート」を借りることにした。(ノートについては、別の記事に書いたのでこちらも併せてご覧ください)

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 予約の時間に到着し手続きを済ませ、カーナビに目的地を入力したら出発だ。今日から3日間、キミが私たちの相棒だ、よろしく、とハンドルを握り締めながら挨拶をする。店を出て、信号を左折して直進。10分も走ったところで、だいぶこの車の雰囲気に慣れてきた。妻にiphoneを接続して音楽を流してもらう。スタートは好調だ。

 個人的にレンタカーは妙に緊張してしまう。他人の車を借りているのだ、という意識があって、いつもより気をつけなければいけない、と緊張してしまうのだと思う。数年前の話になるが、ある店舗でレンタカーを借りた時、乗車前の確認の際にボディーについた傷を店員さんと一緒にチェックしながら見て回ったことがあった。かすり傷や光を当てて目を凝らさないとわからないような傷なども細かく書類に書き込まれていて、指差し確認と時には下を覗き込んだりしながら、10分ほどかけ「この傷は云々。こちらの傷は云々」と詳細にチェックされたのだった。

 正直なところ、このような細かい傷ならば、普通に運転していてもついてしまう可能性があるのではないか。もしも傷が増えた場合は、新しい傷が増えましたね、と追加費用を請求されるのではないか、というような緊迫感があった

 何か大きなトラブルが続いて、ここまで細かくチェックするようになったのだろうか? 今までにも何度かレンタカーは借りたことがあったが、ここまで厳しいチェックはされなかったぞ、と走り出す前から緊張感が漂ってしまったのだった。(ちなみにその車を返す時は、細かいチェックもなく、あれ? もういいの? と拍子抜けした記憶がある)

 あの店は、今でも「詳細な傷チェック」を行なっているのだろうか。ふと、そんなことを思い出しながら、初めての北海道を自分で運転する車で走る。まだ「北海道らしい風景」には遭遇していないが、この先にはきっと「それ」が待っているだろう。天気もいいし、絶好のドライブ日和だ。

めざすは、トラピスチヌ修道院 

 本日、最初の目的地は「天使の聖母 トラピスチヌ修道院」である。今まで私は、教会と修道院の区別がついていなかった。修道院は、「聖職者の教育機関(学校)」と思い込んでいた。修道院で学び卒業された方が、各地の教会で活動をされていくのだと考えていたのだった。

 今回調べてみたところ、教会と修道院は「異なる目的(役割)」で活動していることを知った。宗派により異なることもあり、聞きかじりの情報で正確に説明するのは困難だが、私なりに解釈してみると「修道院はキリスト教の施設で、修道士や修道女の方達が共同生活を送りながら生活を送る場所。布教活動を主なる目的とせず、祈りと労働の生活を通し信仰を貫く生活を送る」ということになるかと思う。

 つまり、教会が外側に開かれた「場」であることに対し、修道院は「外部から切り離し、神を追求する場」なのである。また修道院は「男性と女性」に分かれているため、今回訪問する「トラピスチヌ修道院」は女子修道院のため、男子禁制となっている。

 男子禁制、と資料で目にした時に「では、男性は行けないのか」と思ったのだが、観光客にも「前庭と資料館と売店」が開放されているため、そのエリアは見学できるのだそう。そして実際に見学できたので、観光の予定を考えている方は安心していただきたい。

清廉さと厳しさ、そして強い意思。

 函館駅から車で走ること約15分。右折し道道83号の坂道を上がっていくと、その先にトラピスチヌ修道院がある。近くの有料駐車場に車を止め、そこから正門までは徒歩で移動する。正門をくぐると、私のような信仰心を伴わない人間にも、ここが「祈りの場」であることが感じられるような雰囲気がある。

 ずっと整え、保たれてきた場所。それは厳しさと強い意志を伴うものだろう。その先にある奥の扉をくぐろうとする方達は、どれだけの想いでここを歩いていくのだろうか。そんなことを想像すると、どこか背筋が伸びるような気分になる。

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 春の穏やかな太陽の光が注がれる、開き始めた桜の花と青空がとても麗しい。ここから遠くに見えるのは、昨日行った函館山だろう。「聖テレジアの像」の前で、一人旅と思われる女性の方から「写真を撮って下さい」とスマートフォンを手渡される。そんな旅先のよくあるやりとりも、どこか厳かな気分になる。

 私は小学生の時、友人に誘われてボーイスカウトに所属していたことがある。教会が活動の場で、毎回ミサに参加することになっていた。小学生の元気な子供たちが集まっているわけだが、ミサの時間はみんな粛々とおとなしく椅子に座っていた。
 この儀式が何を意味しているのかは理解できなかったけれども、ここが祈りの場であり、静かにしなければいけない時間なのだと、子供ながらに感じていたのだと思う。清廉さと厳しさ、そして強い意思。そんなことを小学生の肌感覚で感じとっていたのだと思う。

 庭をゆっくりと歩き、敷地内にある資料館へ移動する。そこに展示された資料に「修道女の1日」という展示物があった。それによると、朝の3時に起き、祈り、働き、そして祈り、そして1日を終える。想像していた以上に「信仰」を貫く生活を送っているのだった。
 「祈れ、働け」を、異国の北海道で始めるという事は、どれだけの困難があったのか。想像以上の強い意志がなければ、成し遂げられないことだろう。資料を見ながら、そのようなことを想像する。

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 売店では、修道女の方たちが作ったマドレーヌなどのお菓子を購入することができる。トラピスチヌ修道院とすずらんがデザインされた包装紙が、旅情を誘う。私たちの分と、そしてお土産として、いくつか購入させていただいた。
 他にもアクセサリーやグッズなどが販売されているのだが、先ほど見た「修道女の1日」がプリントされたクリアファイルもあったので、こちらも一緒に購入した。(つづく

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