【北海道旅 5日目(最終日)】さようなら、北海道。

旅には、終わりがある。

 旅には必ず終わりがある。終わりがあるから旅だとも言える。若い頃は最終日になると、さっさと家に帰ってあれとこれをしよう、などと考えたものだったが、最近はこのままずっと旅の時間が続けばいいのだが、と思う。芭蕉の「旅を栖とす」という言葉が身に染みる。

 しかし旅には終わりが来る。そして今日は最終日だ。最終日は予定を考えていなかった。函館北斗駅まで向かい、レンタカーを返却する。その時間だけを確認しておいて、気になった場所に立ち寄りながら移動する予定である。

ニセコ蒸溜所で、ジンを買う 

 ホテルをチェックアウトして、まず最初に立ち寄ったのは、ニセコ蒸留所である。私は酒を飲まない。正確に言うと「飲めない」。飲むと具合が悪くなる。昔は「鍛えれば飲めるようになる」「酒を飲めないのは人生損をする」などと、酒飲みの人たちにからかわれたものだが、鍛えることもしなかったし飲めるようにもならなかった。

 しかし、酒の味は好きである。ちょっと舐めるくらいだが、その風味を楽しむのは好きである。そして「工場見学」は、もっと好きだ。そんなわけで、ホテルの近くにあったニセコ蒸留所へ、寄り道してみることにしたのだった。


 ニセコ蒸留所の設立は2019年ということだから、設立まもない蒸溜所である。建物も看板も新しく、遠目から見るとレストランのようなモダンな雰囲気がある。駐車場に車を止め、入口へ向かう。ドアを開けると、独特の空気と香りに包まれる。それは、普段酒を飲まない私にも、どこかゆったりとした気分を感じさせてくれる。

 まだ設立したばかりの蒸溜所なので、現時点(2024年)でウイスキーは提供されていない。現在、提供されているのは「ジン」だけなのだが、試飲させていただけるという事だったので(私は車を運転するので)妻が試させていただくことにした。横で様子を眺めていると、おいしい時の表情をしていた。聞いてみるとやはり、おいしい、と答える。気に入ったようなので、お土産に買って帰ることにする。家に帰ったら、炭酸で割って飲んでみようと思う。

 将来、こちらの蒸溜所のウイスキーを店頭で見かける時がくるのだろう。その時は、今日のこの日を思い出しながら、ジンとウイスキーを買ってみようと思う。そんなことを考えると、未来に楽しみが増えていく。そんな、ささやかな楽しみを撒いておくことが、人生を豊かにするコツなのだと思う。

大沼だんご再び? は次の機会に

 蒸留所をあとにし、ナビにしたがって南下していく。道の駅を見つける度に立ち寄り、気になったものを購入し走る。時折、道路の横に水芭蕉が咲いているのを目にすると、ああそうだ、今自分は旅をしているのだ、ここは北海道なのだと思う。
 空には薄曇りの空が広がっている。今回の旅は天候に恵まれた。風は強かったが、晴れてほしいと思う場所ではしっかりと晴天が迎えてくれて、北海道らしい広い風景を楽しむことができた。

 そんな旅も、今日で終わりだなと思いながら車を走らせる。そして、次はどこへ行こう? などと考える。まだ旅も終わっていないのに、もう次の旅のことを考える。そんなことを考えていると、大沼が近くなってきた。
 もう一度寄って、大沼だんごを買って帰ろうかと妻と話す。しかし、この時間だと売り切れになっているかもしれない。さあ、どうしようかとしばし悩んだ結果、2日前に食べたばかりだしやめておこうということになった。つまり、帰り道でもう一度立ち寄りたくなるほど、大沼だんご気に入ったのである。またいつの日か、食べられる時を楽しみにしよう。

道の駅で、締め括りのお土産を購入

 道の駅「なないろ・ななえ」に到着。先に、隣接していた「THE DANSHAKU LOUNGE」に寄る。名前から連想されるように、この施設は「男爵いもの生みの親 川田龍吉 男爵」に由来しているのだそう。

 余談だが、私は「じゃがいも」が好きだ。子供の頃は、父親に「イモ兄ちゃん」とからかわれていた。つまり父親は「イモ = 野暮な人」という意味で、私を馬鹿にしていたのだ。大人は軽い気持ちで繰り返している言葉が、子供にはしっかりと「悪態」として残ってしまう場合があるので注意した方がいいと思う。
 私は「好きなのだから、いいじゃないか」と気にしなかったし、むしろ「もっと食わせろ」と思っていた。そんな自分でよかった(?)と思う。

 話を戻そう。「THE DANSHAKU LOUNGE」には、当時の農工具や雑貨などが展示されていて見応えがあった。男爵芋のいろいろなグッズも販売されていて、それらを眺めているうちに思っていたよりも時間が過ぎてしまった。とりいそぎ、コロッケを買い「なないろ・ななえ」へ移動する。


 「なないろ・ななえ」では、トラピスト修道院のバターなどが販売されていた。 3日目にトラピスチヌ修道院には行けたのだが、トラピスト修道院へは時間の都合で行けなくて残念に思っていたのだが、ここでクッキーとバターを買えてよかった。
 こちらと、途中で買った「奥土農場 開拓者のパン」を合わせて食べてみようと思う。トラピストバターの缶のデザインはモダンで雰囲気がいい。バターを使い切っても捨てずに取っておいて、物入れとして使いたくなるデザインだ。他にも「締めくくりのお土産」を買って、少々あわただしい感じで移動した。

あれと、それは、また次のチャンスに

 実はここでもう一度、ラッキーピエロでハンバーガーを食べようと考えていた。実際に店の駐車場までは行った。ところが順番待ちの列ができていて、レンタカーを返す時間までに間に合うかどうかわからなかったので断念することにした。ちょうど店から出てきた女性が、ここはすごく並ぶのね、とつぶやくと待たせていたタクシーに乗って行った。そうですよね、と心の中で同意し、自販機でラッキーガラナを買って車に戻った。
 
 指定されたガソリンスタンドで給油してからレンタカー会社に進む。手続きを済ませて、3日間の相棒に別れを告げる。店員さんが車に乗って奥の駐車場のほうに走っていく様子を見ると、どこか寂しいような気がする。またこの車は別の人を乗せて、北海道を旅するのだろう。次の方もいい時間を過ごせるように、と思う。

 ちなみに、今回のレンタカーは函館市で借りたのだが、帰りの新幹線の関係で新函館北斗駅の店に返却した。借りた店とは別の店へ返却することを「乗り捨て(ワンウェイ)」と呼ぶらしいのだが、あまりよいネーミングではないように思う。「いらなくなったから、こちらに捨てるよ」と、なんとなく嫌な気配が残るような気がする。もしも私がネーミングを考えるとするならば……、もしもそんな依頼があったならば、もうすこし心地よい気分が残るものを考案してみたいと思う。

 レンタカーを返却すると、後は新幹線に乗って帰るだけである。函館北斗駅周辺には、残念ながら観光する場所がない。観光交流センターがあったので質問してみたところ、この辺にはなにもないですね、と返事が返ってきた。開業が平成28年ということだから、これから変化していくのだろうか。10年後、20年後、ここを訪問することがあれば、その時の変化を楽しみにしたいと思う。
 そして新幹線は定刻通りに北海道を離れ、数時間後には仙台に到着した。これで5日間の北海道旅は終了である。

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