秋田を巡る旅(3)角館で「武家屋敷」をめぐる
秋田を巡る旅(3)角館へ
抱返り渓谷を後にして、次に向かうのは角館。数年前に秋田へ来た時は、角館の武家屋敷近くの民宿に宿泊した。その時は、なんとなくぐるりと武家屋敷の回りを歩いて、川の流れをみて終わりにしてしまった。残りの時間は、宿の部屋で本を読んで過ごした。若かりし時の旅は「時間はまだまだ、たっぷりとある」と考えているせいか、ぼんやりと過ごしたり、ここはまた次回でいいか、というような感じで、ざっくりと通り過ぎてしまいがちだった。ところが年齢を重ねて、時間には限りがあるし、すべて一期一会だ、ということに気がついてしまうと、あれもこれもできるだけ見てみたい寄ってみたいと考えるようになってきた。
多くの方は年齢を重ねることで、落ち着いた旅を楽しむようになるのだろうけれど自分の場合は逆のようである。行けるところは行ってみよう、とぐるぐる回るようになってしまった。以前なら「あと30分か。じゃあ、車の中で本でも読むか」と考えていたのだけど、今なら「移動の時間もいれると、観光できるのは実質15分。でもいいや。行ってみよう」という感じになったというわけだ。
昼食は「御狩場まんま」
そんなことを考えつつ、20分ほどで順調に角館へ到着。ちょうど昼の時間だったので、ガイドブックに掲載されていた「いなほ」へ立ち寄る。なんとなく腹が減っているようないないような感じだったので、控えめに「御狩場まんま」を注文してみた。これは鶏肉を山椒味噌で煮て、とろろご飯の上に載せた丼ものなのだけど、予想以上に美味しかった。あっという間にぺろりと食べてしまった。
上品な味付けで、旅先の少し疲れた身体にちょうどいい感じ。そしてお値段も700円。安い。うまい。おすすめである。ちなみに連れは「がっこ懐石」という豪華メニューを注文していた。見た目も綺麗だし味付けも上品だし、旅先の気分を盛り上げてくれるメニューだった。自分も味を見せてもらったのだけど、個人的に「がっこの天ぷら」がツボでした。うまい。ちなみに、この「食堂いなほ」は「料亭稲穂」の姉妹店なのだそう。ぜひ一度「稲穂」さんの方へも行ってみたいと思う上品な味付けでございました。
数百年前を想像しながら、武家屋敷を歩く
さて、食事を済ませてからいよいよ武家屋敷の観光へと進む。駐車場に車を置いて(1回500円)もらった地図を眺めながら、ざっくりと歩くルートを決める。
実はこの段階で予定の時間を過ぎてしまっていたので「おおむね1時間くらいで回ろう」と決めて歩き始めることにした。
夏の休日を楽しむ観光客に混じりながら、武家の威厳に満ちた門構えが続く道を歩く。数百年前には、この道を本物の武士が歩いていたのだろうか、と想像しながら歩く。これらのお屋敷の前を、どのような表情で、何を考えて、どれだけの人達が歩いたのだろうかと想像しながら歩く。歩く。そう、時間がないのでひたすら歩く。
そんなに早歩きで回るなら、落ち着いて近場をゆっくり歩いて終わりにすればいいと思うかもしれないが、自分たちが行ってみたい店はちょっと離れた場所にあったので、急ぎ足で移動しなければならなかったのだ。「今回は武家屋敷の街並をゆったりと」という目論みはやはり(?)実現することはできなかった。予定は未定というわけですね(笑)
夏の気配を感じながら、町を散策
地元の角館高校が甲子園に出場したということで、町のいたるところに「がんばれ!角館高校」のポスターが貼られている。「応援に行くみなさん。私の分も応援よろしくお願いします」というような張り紙を貼っている店もある。夏の気配が、ここあそこに感じられてとても楽しい。
ふらりと立ち寄った酒屋さんの店主の話によると「ここ数日、涼しくなって過ごしやすい」とのこと。確かに真夏とは思えないほど、穏やかな日射しだった。おかげで早歩きでも汗をかくこともなく快適に街歩きを楽しむことができた。
「佐藤養助商店」さんで稲庭うどんを買い、「伊保商店」さんの石造りの店舗に魅了され、「安藤醸造」さんでお茶を飲んで漬け物をいただき休憩しながら、お土産の漬け物を買い「西宮家」をのぞいて、ぐるりと巡って、駐車場近くの店で「生もろこし」を買った。
角館の方は「呼び込み」が上手で、さりげなく、そしてぐいぐいと呼び込んで試食を勧め話しかけ、気がついたら買ってしまっていた。絶妙な押し加減。この感じ、勉強になりました。今回の秋田旅の収穫のひとつかもしれない。
(秋田を巡る旅(その4)つづく)
秋田をめぐる旅(もくじ)
秋田をめぐる旅(1)高速を降りて「ニテコ清水」へ秋田をめぐる旅(2)抱返り渓谷の遊歩道散策
秋田をめぐる旅(3)角館へ
秋田をめぐる旅(4)乳頭温泉キャンプ場
秋田をめぐる旅(5)乳頭温泉 鶴の湯
秋田をめぐる旅(6)まとめ