乳頭温泉 鶴の湯 秋田を巡る旅(5)

秋田を巡る旅(5)乳頭温泉 鶴の湯


翌朝、テントの外に出ていると朝日が樹々の隙間から射し込んでくるのが見えた。今日はよい天気になるのかな、と思いながら周辺を散歩する。昨日は気がつかなかったのだけど、キャンプ場のすぐ近くを川が流れていたことに気がつく。ずっと聞こえていた水が流れる音は、ここから聞こえてきていたのだ。急斜面を降りていかないと川の側には行けなかったので、残念ながら水に手を触れることはできなかったけれど、遠くから眺めていても綺麗で豊かな水だった。


テントにもどり、湯を沸かしてコーヒーを飲んでいるうちに雲行きが怪しくなってきた。どうやら朝の一時は、山の神様からのご褒美だったようだ。木の神様かもしれない。背後の木に挨拶をしてから、テントを撤収してキャンプ場を後にする。

午前10時に鶴の湯へ到着 すでに混雑!


今日、最初に向かうのは乳頭温泉の鶴の湯だ。ここは乳頭温泉郷の中で最も古い温泉宿なのだそう。前回来た時は日帰り入浴の時間を過ぎてしまっていたので、立ち寄ることができなかったので今日は準備万端で朝一番に向かうことにした。

日帰り入浴が午前10時ということで、周辺を散策したり、鶴の湯へ続く林道の途中にある勘助清水で湧水を汲んでいたりしたところ、次から次へと鶴の湯へ向かうと思われる車が林道を走り抜けていった。

これはもしかするとかなり混雑しているのでは・・・と、10時ちょうどに鶴の湯温泉の駐車場へ着いてみるとすでに多くの観光客でにぎわっていた。湯巡りのマイクロバスが入口付近に止まっていて、入浴を済ませた客を乗せて次の場所へ移動しようとしている。これはかなり混んでいるだろうな、と思いつつもここで尻込みするわけにはいかないので、タオルをつかんで出発する。

藁葺き屋根が続く道を通って、受付へ


藁葺き屋根が続く道を真っ直ぐに歩いていくと「鶴之湯事務所」と書かれた木製の看板がかけられた建物の前に到着する。

入口の横に係の人が座っていて、ここで入浴料金を支払う仕組みになっている。すでに湯からあがった人達が立ち話をしている横を通って、混浴露天風呂の方をのぞいてみる。

突然、大勢の裸(注・男性のみ)がずらりと目に飛び込んでくる。外から丸見えである。おいおい、ちょっと前を隠そうぜと、いう体勢の人もいる。そういえば、以前岩手の某温泉の混浴にはいった時、60代くらいの女性が前を隠さずに、ざぶんとはいってきて、うおっ、という感じで思わず視線をそらせたのだけど、自分以外の人達は平然としていて何事もなかったかのように振る舞っていたから、意外とそんなもの・・・なのかな。

まずは「内湯」を堪能する。

さて、そんなことを思い出しつつ、まずは手始めに内湯の「白湯」と「黒湯」にはいってみた。露天風呂は混雑していたが、こちらは空いていた。かけ湯をしてから、真っ白な湯にゆっくりとはいっていく。これが憧れの「乳頭温泉 鶴の湯」の湯だ。ぐっ、とくるぜ。

湯が注がれてくる木製の樋の横にコップが置いてあったので、誰も飲んでいなかったけれど、好奇心旺盛の自分はひとくち口に含んでみた。ほのかに塩味がする。なんの根拠もないけれど身体に良さそうな味、という感じがする。

とりあえず、外と内から乳頭温泉を染み込ませることができた。満足である。内湯を出てから、一応露天風呂にもはいってみた。混雑していたので、10分ほどであがった。湯からあがっても、汗が吹き出てくる。芯から温まったという感触がある。

ゆで卵を食べながら、350年の時間を想う


乳頭温泉ステッカー
事務所の前に設置された椅子に座って、ゆで卵を食べながら涼む。木造のこじんまりとした湯船と湯屋。いったいここに、何人の人がやってきてどのようなことを考え、そして立ち去っていったのだろう。

「開湯350年」の秘湯鶴の湯。いまでこそ、車で一気にくることができるけれど、昔は麓から歩いて登ってやってきたのだろう。文字通りの秘湯だったのだろう。

それにしても、初めて「白い湯」を見た人は、どのように感じたのだろう。「これは危険な成分が入っているかもしれない」と、湯に手をつけることさえ尻込みしたのだろうか。それとも「どうにでもなれ!」とばかりに、飛び込んだのだろうか。

とにもかくにも、それから350年の時間が流れて、今でも私たちはこうやって温泉を楽しませてもらっている。発見してくれた方、ありがとう。そんなことを考えながら乳頭温泉をあとにしました。 (つづく




秋田をめぐる旅(もくじ)

秋田をめぐる旅(1)高速を降りて「ニテコ清水」へ
秋田をめぐる旅(2)抱返り渓谷の遊歩道散策
秋田をめぐる旅(3)角館へ
秋田をめぐる旅(4)乳頭温泉キャンプ場
秋田をめぐる旅(5)乳頭温泉 鶴の湯
秋田をめぐる旅(6)まとめ

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