【東北温泉旅 2泊3日(4)】旅は、家に着くまでが「旅」である。
このような「旅日記」を書く度に、ああそうだ、あれも書いてない、これも書いてない、と様々なことが頭に浮かぶ。文章にする、ということは現実を切り取る、という行為の繰り返しだから必然的に「書かれていない」ことの方が多くなってしまう。書かれていない部分に、読者のみなさんが知りたいことがあったかもしれない。
しかし旅に終わりがあるように、旅日記にも区切りがある。そして今回の「東北温泉旅」はこの記事で終わりとなる。最終日について少し補足を書いて締め括ろうと思う。
最終日、旅館をチェックアウトした私たちは「おみやげの店 なるみ」に寄ることにした。(2)の日記に書いた「鳴子温泉に来た時に、栗だんごを買って帰る店」が、この「なるみ」さんなのである。すでに2日目に栗団子を食べているのだが、帰宅してから家でも食べたいと思ったので買って帰ることにしたのだ。
つまり私は「栗だんご」がそれほど好きなのである。今回は栗だんごと一緒に「大栗なるまん」と「しそ巻き」も買った。こちらも、とても美味しいので興味がある方はぜひ試していただきたい。
店内を見て回っていると「旅館大沼さんの浴衣の柄」が染められた「てぬぐい」が売られていた。浴衣の柄がそのままデザインされているのが面白かったので、今回の旅の記念に購入することにした。
実は私は「てぬぐい」が好きで、いつか自分でデザインしたものを作ってみたいと思っている。プリントではなく伝統的な技法で、しっとりと染めてみたい。Youtubeの登録者数が今の3倍になったならば、制作してみようかと密かに考えている。密かに、といってもここに書いてしまったら密かではなくなってしまうのだが、とにかくそのような目標があるので、まだ登録していない方はぜひ登録していただきたい。→Youtubeチャンネル「佐藤ゼミ」はこちら。
買い物を済ませて店を出る。帰路に利用する「鳴子御殿湯駅」は店から数分の距離だ。昨日のように電車は遅れるのだろうか。こちらの天候は落ち着いているけれど、山形の方はどうかわからない。峠の向こうは荒れ模様かもしれない。
駅舎に入ると壁に「猫のこけし」がモチーフになった作品が飾られているのが眼を引いた。気になって調べてみたところ、版画家・大野隆司さんの作品だった。今までは車で鳴子に来ていたので、駅に作品が飾られているのを知らなかった。電車で来てよかった。天井の高い木造の駅舎と作品が、とてもよい雰囲気になっているので立ち寄ってみると楽しいと思います。
そして電車は時間通りにやってきた。これに乗ったらあとは家に帰るだけだな、と思うと少し寂しい気持ちになる。空いていた席を探し、妻と並んで座った。ほどなく電車は出発した。揺られながら、今回の旅は面白かった、と考える。
遠くまで移動する旅もいいけれど、こうやって地元の温泉を巡る旅も、ゆったりと余裕のある時間を過ごせて楽しい。また別の季節にこようと思う。車内の暖かさと心地よい振動で、しだいに頭の中がぼんやりとしてくる。途中で乗り換えもあるし、忘れ物もしないように気をつけよう、と思う。旅は家に着くまでが旅なのだ。(おわり)
・東北温泉旅 3日目「旅は家に着くまでが旅である」