気仙沼へ行く。(その4) フェリーに乗って、大島へ行こう。
気仙沼へ行く(4)フェリーに乗って、大島へ
唐桑半島から、気仙沼港へもどる。2日目の午後は、ここからフェリーに乗って大島へ渡る。まずはフェリーに乗る前に、気仙沼屋台村でちょっと早い昼食にすることにした。「たすく」という店で「漁師のまかない丼」を注文する。名前からして「これは何か美味しい物が食べられそうだ」という期待値が高まってくる。さっそく注文して待つ事数分。おまたせしました。では、いただきます、と一口食べる・・・うん、うまい。自分はそんなにたくさん食べる方ではないのだけど、一気に最後までガツガツと食べてしまった。値段も安いし、おすすめです。
満足の一皿(一杯?)で腹を満たしたあとは、フェリーに乗って大島へ出発だ。自分は飛行機は苦手だが、船は好きである。飛行機の場合、足元が空中だと想像するだけで背中がざわざわするけれど、船ならば水があるので多少安心感があるからだ。電車ならばさらに安心だし、車ならば自分でコントロールできるからなおよい。まあ、それはともかく、チケットを購入してからフェリーに乗船。さあ出発だ。
・・・と、わくわくして海を眺めているうちに、あっという間に大島へ到着した(笑)所要時間は30分といったところだろうか? 外を眺めたり、他のお客さんがウミネコにかっぱえびせんを与えている様子を見ていたりしているうちに、港へ到着してしまった。もう少し乗っていたかったような気もするなあ、と多少未練を残しつつも、いよいよ大島へ上陸だ。
大島へ上陸 レンタサイクルをレンタル
気仙沼大島観光協会のホームページによると「(大島は)宮城県北東部の気仙沼湾内に位置し、航路距離7.5kmの東北最大級の有人離島です。」とある。東北最大級の有人離島だけに、さすがに日帰りで一周するのは厳しいだろうけれど、北方面の3分の1くらいの範囲ならば「のんびり歩けるのではないか?」と計画の段階では軽く考えていた。
ところがどっこい(なつかしい表現)実際に現地に到着してみると、平坦な道よりも勾配のある道の方が多く、徒歩では効率が悪すぎると早々に判断。急遽、観光協会に寄って「レンタサイクル」を借りることにした。
そう、ここが今回の運命の分かれ目だった。レンタサイクルは「通常の自転車」と「電動アシスト自転車」の2種類があった。そして自分たちが立ち寄った時に、残っていた電動アシスト自転車は1台のみ。連れがそれを借りると、自分は必然的に「アシストなし」を借りることになる。
この時点ではまだ「まあ、アシストなしでも大丈夫だろう」と軽く考えていた。観光協会の方に「十八鳴浜へ行ってから亀山の方へも行ってみたいのだけど、電動アシストなしだと厳しいだろうか?」と質問すると「男性の方ならば、大丈夫だと思いますよ」と励まして(?)くれたので「それならば」とアシストなし自転車を借りたのだった。
めざすは、十八鳴浜
ところが、である。そう、ところが「かなりキツい勾配」が続くのである。今回自分たちが考えていたのは「十八鳴浜」から「亀山」へ登って、ぐるりと出発点へ戻ってくるというルート。そして時間に余裕があれば、南の方へもう少し足を伸ばしてみようか、という具合に考えていた。ところが実際は、出発点から「十八鳴浜」まで、ずっと勾配が続くのである。しかも立ち漕ぎするほどの。ぜえはあ。(その3)にも書いたように、大島に到着した時点ですでに体力の3分の1は削られていた。いや、2分の1かもしれない。そこにきてこの勾配。頭の中をよぎるのは、部活の時の練習風景。「走れ走れ!文句を言わずに走れ!」と、ただひたすら走っていた時の記憶。ああ、この年齢で同じような気分を体験するとは思わなかった、などと考えながら、ぜえはあと自転車を漕ぐ。いや立ち漕ぎする。体力のある人なら意外とスムーズにクリアできるのかもしれないけれど、デスクワーク中心で運動らしい運動から遠ざかっている自分にとってはなかなかの重労働だった。
救いは、静かな風景と心地よい風だ。夏休みに、ここにくることができたのなら、すばらしい思い出が作れそうだと確信するような心地よい風景の中、あの角をまがったらゴールか? と思いながら自転車を漕ぐ。ちなみに、途中へこたれてしまい、連れの電動自転車を借りて乗ってみたのだが、これがとんでもなく楽だった。坂道も平坦な道を走っているのと、さほど変わりがないくらいの印象でスイスイ登っていける。大島で自転車を借りるなら、間違いなく電動アシスト自転車をオススメしたい。特に亀山方面を目指すなら絶対である。
十八鳴浜に到着。
青春時代を振り返りつつ、ようやく「十八鳴浜」海岸への入口に到着。いやあ思ったよりも近かったな、などと強がりながら入口に自転車をとめて、そこからさらに山道を徒歩で約15分。・・・山道を15分? いやいや間違いではない。そこから徒歩で海岸まで歩かなければならない。観光協会のホームページにも「十八鳴浜は国の天然記念物に指定されています。砂が汚れてしまうと鳴らなくなるため、十八鳴浜周辺は人の手が加えられておらず、浜へ出るには駐車場から山道を15分ほど歩きます。」とちゃんと書いてある。自宅でホームページを見た時は「15分くらいなら全然大丈夫」などと思っていたのだが、さすがに今の自分の体力では「15分かあ・・・」と気が遠くなりそうになった。しかし、今回の大島旅行の目的のひとつが「十八鳴浜」訪問だったので、ここで「じゃあ、止めておく?」という訳にはいかない。身体は疲労しているが、心はまだまだ元気いっぱいだ。よし行くぞ、と平静さを装いいつつ山道を下り始める。
(その5へつづく)
参考:大島汽船株式会社
気仙沼への旅(目次)
気仙沼へ行く(1)復興屋台村へ気仙沼へ行く(2)御崎野営場でキャンプ
気仙沼へ行く(3)巨釜と半造へ
気仙沼へ行く(4)フェリーに乗って大島へ
気仙沼へ行く(5)亀山へ登ろう