【仕事】人前で話すのが苦手(3)第一印象で、その日の評価が決まる。


私たちは「第一印象」で、すべてを予想する

まずは、みなさん自身が「初対面の人」の「プレゼン」を聞いている時のことを思い出してください。おそらく多くの人が第一印象から、

「あかるい感じの人だな」
「あまり元気がなさそう」
「真面目そうだけど、プライドも高そう」

などと一瞬で印象を読み取っていると思います。そして、

「おもしろい内容が聞けそう!」
「たいくつな時間になりそうだ・・・」

などと、これからの話の内容を予想していきます。そして不思議なことに、その「第一印象」のイメージというものは、かなりの確率で的を得ていることが多いのではないでしょうか? 私たちは、実際に話を聞く前に「その人の印象」を数秒で読み取って、話の内容を予想する(もしくは、決めつける)ものなのです。

私が「新人講師」だった時の話

私が新人の講師だった時の話です。ベテランの先生達の前で「模擬授業」をすることになりました。先生達の前で授業をするというのは、かなりのプレッシャーです。しかも模擬授業は初体験でしたから、どのような切り口で始めていけばよいかもわかりません。私は事前に配布されたテキストを何度も見直し準備を繰り返し、与えられた20分間の模擬授業を行いました。

模擬授業のあと、先生達から批評を受けていきます。それぞれの先生から「もう少しクラス全体を見渡すように」などと修正点を指摘されていくのですが、ある先生から、

「最初の挨拶の部分がよかった」

と評価を受けたのでした。その時の私は「あいさつ?」と、その先生の意図するところがわかりませんでした。「あいさつ」は特に練習もしていないし、ただ「こんにちは。今日は天気がよくて気分がいいですね」のような普通のことを口にしただけだったからです。

おそらくその先生は「第一印象が、親しみやすい感じでよかった」と評価してくださったのだと思います。他に褒めるところがなかったので、無理矢理「あいさつ」を褒めてくださったのかもしれませんが、この先生の言葉はそれから20年以上もの間、ずっと私の記憶に残り続ける印象的な言葉になったのでした。

「あいさつ」をていねいに。

それ以来私は、初対面の人たちの前で話をする時は「あいさつ = 第一印象」をていねいにすることを心がけてきました。「この先生の話は、ちゃんと聞いてみよう」「質問したら、ちゃんと答えてくれそう」などと感じてもらえるように、意識的、無意識的に心がけてきたように思います。

何度も繰り返し会うことができる相手であれば「最初はプライドが高そうな人だと思っていたけれど、つきあってみるといい人だった!」というような逆転も起こります。最初の印象がマイナスであれば、その差が大きいですからまさに「大逆転」が起こる可能性もあるでしょう。

「第一印象」から全力でいこう

しかし、多くの場合「人前で話すチャンス」というのは限られています。その日が最後になることも少なくありません。そんな時に「何度か話ができれば、自分のことをわかってもらえる」というのは「甘え」でしょう。みなさんが忙しいように、相手も忙しいのです。ただ一度のプレゼンで結果を出すためには「最初の数秒 = 第一印象」から全力でいかなければなりません。

1)「現在の自分が、どのような印象を与えているのか」を客観的に確認。
2)「どのような第一印象を与えたいか」を具体的にイメージ。
3)「現在の自分と理想の自分のギャップを修正」
4)そうやって出来上がったイメージを「第一印象」で表現していく

人前で話すことが苦手な人でも「最初の1分」に全力を注ぐことはできるはず。そこで「あなたらしさ」を表現できることができたのなら、それだけでも大きな成長です。ほんとうに、大きな一歩です。徹底的に準備をし、色々考えながら、その瞬間を楽しんでみてください。


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