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【東北温泉旅 2泊3日(3)】東鳴子温泉「旅館大沼」へ宿泊

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鳴子温泉駅からバスで移動 バスは定刻通りにやってきた。正確に書くと「鳴子温泉駅」が始発なので、私たちが駅前に到着した時にはすでにバスが停留所で待機していた。暖房の効いた車内には、私たち夫婦の他には誰も乗っていない。まだ発車までは時間があったので、それまでに誰か乗ってくるだろう、と考えていたのだが、最後まで乗車してくる人の姿はなく、私たち2人だけを乗せたバスは定刻通りに出発した。 バスは渋滞することも雪による遅延もなく、スムーズに目的地へと到着した。料金を支払い外へ出ると、寒さが身体にささってきた。急いでマフラーを首に巻きなおし腕時計を確認する。予定のチェックインまでには、まだ時間があるが周囲に寒さを凌げそうな場所も、カフェなども見当たらない。仕方がないのでこのまま旅館へ向かいチェックインの時間までロビーで待たせてもらえないか聞いてみることにした。 今回の宿泊地は「 東鳴子温泉 旅館大沼 」である。20年前に購入した「日本の秘湯(日本秘湯を守る会)」の書籍に掲載されている宿だったので、一度行ってみたいと思っていたこと。そして、ちょうど私たちの予算に合った部屋が開いていたことが、こちらを選んだ理由である。 ちなみに「日本の秘湯」に掲載されている宿は、それぞれに趣があって私の個人的な趣味に合うところが多いので、長く参考にさせてもらっている。書籍を購入した際に「ここに掲載されている温泉に、いくつ行けるだろう」と楽しみにしていたのだが、実際に訪問できたのはわずかばかりである。人生は想像以上に短く、時間は駆け足で走り抜けていく。この書籍を購入した20年前の私に「いつか行こう、と考えていると、いつまでも行けずに終わってしまうぞ」と諭してやりたい。しかし当時の私にそんなことを言っても「ああ、そうですよね」と軽く流してしまうと思う。それもまた人生なのだろう。 今宵の宿泊地「旅館 大沼」へ そんなことを考えつつ、バス停から旅館へ向かう。まっすぐな道を歩いて行くと「旅館 大沼」という看板と「日本秘湯を守る会」の提灯が見えてきた。玄関の引き戸を開け、受付にいらした女性の方に「本日予約をしたものですが、早く到着してしまって…」と声をかけると、大丈夫です、と快く対応していただけた。旅をしていて、ほっとする瞬間のひとつが、宿のチェックインがスムーズだった時である。よし、これでもう今日は大丈夫だ、

【東北温泉旅 2泊3日(2)】鳴子温泉駅(宮城県)で途中下車。

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瀬見温泉から、東鳴子温泉へ 温泉旅2日目は、宮城県の「東鳴子温泉」である。私は仙台市出身なので、鳴子温泉には馴染みがある。今までにも「 湯めぐりチケット 」を購入し、温泉を梯子して楽しんだりしてきた。しかし、日帰り温泉ばかりで宿泊した体験がなかったので、今回は泊まってみようということになったのだった。 瀬見温泉をあとにし、陸羽東線で「鳴子温泉駅」を目指す。宿の方に送迎していただき、時間通りに駅に到着したまではよかった。ところが、なかなか電車がやってこない。「だいぶ遅れているみたいですよ、風と雪の影響でしょうね」と駅で一緒になった方と話をする。宿の方に「風が強いと電車が止まることがある」と聞かされていたので、運休はしないよなあ、と下に伸びているツララを眺めながら考える。 雪と風の影響? 電車がこない。 一緒に電車を待っていたご夫婦が「もし電車がこなかったら、もう一泊する?」と話している。私たちの場合は、すでに今日の宿を予約しているから、なんとかして移動しなければいけない。しかし電車が止まるような天候で、バスやタクシーでの移動は可能なのだろうか? なにしろ今日は「10年に1度クラスの寒波」なのだ。仮にタクシー移動となれば割高になるし、途中で渋滞するようなことがあれば大変だ。 そんなことを考えつつ、暖房のない駅舎で足踏みをしながら待っていると、踏切の音が聞こえてきた。瀬見温泉駅は無人駅なので、電車の到着を知らせてくれる駅員さんもアナウンスもない。急いでホームへ出ると、遠くから雪をかき分けて走ってくる電車の姿が見えた。ほっ、として暖房の効いた車内へ乗り込む。定刻よりも30分ほど遅れたようだが、30分程度で済んだのなら問題ない。運休せずに走行してくれたことがありがたい。 今回乗車した陸羽東線は、運転手が車掌も兼ねている。無人駅で下車する時は、運転席横の料金箱に乗車券と運賃をいれ、必要に応じて運転手が確認するというスタイルになっている。その様子を眺めていると、想像していたよりも運転手に話しかけている乗客の割合が多いことに気がついた。多くは乗車料金に関する質問のようだが、年配のお客さんが多いせいかスムーズに終わらないことも度々あった。中には乗り換え先の状況を質問している人もいた。 丁寧に対応している様子を見ると、この対応も日常業務のひとつなのだろう。中には数分にわたって話している

【東北温泉旅 2泊3日(1)】真冬の瀬見温泉(山形県)で一泊。

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12月中旬、妻と旅行に行くことにした。いくつか候補地があったのだが、最終的に「今回は遠出をせず、近場の温泉地でゆっくり過ごそう」ということになった。普段の私達ならば「できるだけ遠くへ、時間ギリギリまで観光」という計画を立てるのだが、今回は妻の体調を回復するための湯治が目的なので「近場の温泉地」ということになったのだった。日程は2泊3日。初日は山形県の瀬見温泉である。 そして結果的に、この選択は正解だった。私たちが出発した当日は「10年に1度クラスの寒波」がやってきていて、強い雪と風で移動には不向きなタイミングだったのだ。旅先で出会った瀬見温泉の方からは「昨日はまでは雪もなく、過ごしやすかった」と挨拶がわりに言われたので、よほど急激に変化したのだろう。実際の陸羽東線「瀬見温泉駅」の様子がこちらである。 真っ白な雪に覆われた無人駅。中央に線路が引かれているのだが、それすらも雪に覆われて見えない状況になっている。「線路が雪に包まれていても大丈夫なのだろうか?」と心配していたのだが、このあと普通に雪をかきわけて電車がやってきた。 駅舎の中に、瀬見温泉の紹介パネルが展示されていた。それによると、瀬見温泉には「義経と弁慶」に関する伝説が数多く残っているとのこと。歴史に興味がある方には魅力的な場所であると思う。旅行中は雪深く移動が困難だったのだが、それでも二箇所ほど訪問することができた。徒歩で観光するならば冬以外の季節がおすすめかと個人的に思う。 一箇所目は「産湯」。湯前神社の前に、手水舎(?)が設置されてある。ここからは、水ではなく「温泉」が流れ出しており、飲泉することが可能だった。手にうけて、少し舐めてみることにする。温かいだけでなく、独特の香りと風味がある。わずかばかり舐めただけなのだが、地球から湧き出る力を身体に取り込み元気になったような気分になる。単純である。 二箇所目は「薬研湯」。弁慶がなぎなたで岩を砕いたところ、温泉が湧き出たとされている場所。目の前を流れる川の流れが厳しくも美しい。雪で霞み、ぼんやりと遠くに見える山々が「遠くまでやってきた」という旅情を誘ってくれた。 三箇所目は「亀割子安観音」。北の方がお産をした際に、御加護のあった観音様を祀っているるとのこと。この場所へ向かうまでの道、強い雪と風に叩かれてしまい、雪道を歩くことに慣れていない私達は目的地に到着後、

宮沢賢治をめぐる旅(宮沢賢治詩碑 編)

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花巻への旅 自分の場合、旅をする時には移動時間や滞在時間を考慮して「綿密に計画を立てる」場合と、とりあえず現地に行ってみてから決める「なりゆきまかせ」の場合の二種類がある。今年の夏は「なりゆきまかせ」で花巻へ行った。 どうして花巻なのか、というとお盆休みの二日前に予約が取れる宿を検索していたところ、花巻に良さそうな旅館が見つかったからだ。つまり、目的があって花巻に宿をとったのではなく、宿がとれたから花巻に行くことになったのだった。 1日目は、ゆったりと過ぎた。懸念していた渋滞もうまく回避できたし、美味しいものを食べることもできた。なによりも直前に予約した花巻の温泉宿が想像していたよりも、良い感じだったので「今回の旅は、いい感じだなあ」という気分で過ごすことができた。あまりにも、ゆったり充実した時間だったので、宿を出た時には二日間ぐらいここに滞在していたような気分になったくらいだった。 2日目は、宮城の方に向かって南下しつつ、気になったところがあれば立ち寄ってみようと考えていた。ところが、花巻で立ち寄った「まちなかビジターセンター」で「宮沢賢治詩碑へ行ってみては?」と勧められたのだった。当初は全く予定していなかった場所だったのだが、これもまた縁、ということで行ってみることにした。 宮沢賢治詩碑へ 花巻駅から車で約15分。駐車場に車を止め、そこからは徒歩で移動する。自分達の他に観光客らしき人はいない。昨晩はずっと雨が降っていたのに、今日は夏らしい陽射しが地面に降り注ぐ道を、 残りわずかの夏を惜しむかのように盛んに鳴く蝉の声を耳にしながら歩く。 雨が降っている時は「夏なのに雨ではつまらない」と愚痴を言うのに、晴れている時には「暑い。日に焼ける」と文句を言う。実に勝手である。賢治先生ならば、晴れても雨でも変わらず、同じように過ごしているにちがいない。そんなことを考えながら歩いていると五分ほどで、入口に到着した。 そこでふと気がつく。道標には「宮沢賢治詩碑 羅須地人協会跡入口」と記されている。ああ、そうだったのか。ここが一度訪問してみたいと考えていた、羅須地人協会の跡地だったのか。センターの方から「宮沢賢治が住んでいた場所」と説明を受けた時に気がつくべきだった。 さきほどまでは「暑い」「汗が不快だ」などと

上高地へ 長野への旅(4)

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上高地を歩こう。長野への旅 長野の旅も 3日目 となった。幸い天候にも恵まれ、車の窓を開けて走ると心地よい風が吹き込んできて気分がいい。そして 本日は上高地 へ行く。今回の旅の日程の中で 「最も天候が重要」な一日 である。数日前から天気予報を注意して見ていたのだけれども、上高地のような山岳地域の場合は平地と異なって読めない部分がある。晴天とまではいかなくても、気分よく歩けるような天気に恵まれるといいのだが。そんなことを考えて早朝に出発した。 話が前後するのだが、前日の夜は 千曲市のホテル に宿泊した。部屋自体はビジネスホテルなのだけど、ここの大浴場が天然温泉でとてもよかった。泉質とが泉温が心地よく、長風呂したくなるような温泉だった。もしも時間に余裕があれば2~3回湯船につかりたいところだったのだけど、明日が早出なので1度しか入らなかったのが若干心残りである。時間がある時よりもない時ほど、好みの温泉に巡りあうような気がする。 ホテルのスタッフの方で、一人熱心な方がいて「明日上高地へ行くのですが・・・」と道を確認しようとしたところ「上高地ですか! いいですね!」と爽やかな笑顔でアドバイスをしてもらえたのも好印象だった。やはり何事も熱心さが伝わってくるというのは良いものだ。それだけで満足度はかなり違ってくると思う。また機会があれば立ち寄ってみたい場所でした。 午前7時 上高地へ出発 話を戻そう。本日の出発は午前7時。千曲市から高速に乗って松本市まで向かい、沢渡バスターミナルへ向かう。まだ早い時間の道路は車も少なく快適に走行できた。この調子ならば予定通りに沢渡まで到着できるだろう。いやしかし、昨日の戸隠神社の体験から「直前に渋滞に巻き込まれる」可能性だってある。さあ、どうなる? と思いながら朝霧の道路を走行する。 駐車場に到着したのは9時前後 。すでに駐車場は8割ほど埋まっていた。そうやはり山の朝は早いのだ。これが紅葉のシーズンになったならば大変なことになるだろうな、と思いながら誘導されて隅の方のスペースに駐車する。車を降りる。天気は快晴。いい感じだ。切符を購入して、シャトルバスを待つ列に並ぶ。 上高地 に来るのは数年ぶりになる。何度やってきても「ああ、ようやく来ることができた」という気分になる場所だ。 宮城県からだと長野までも時間がかかるし、そこ

野沢温泉へ 長野への旅(2)

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長野への旅 野沢温泉で「集印帳」めぐり カーナビの予想時間通り、約1時間30分ほどで野沢温泉に到着した。 野沢温泉 にくるのはこれで二回目である。前回は民宿に2泊したのだが、仕事絡みの滞在だったため、ゆっくりすることができなかった。今回はそこそこ時間に余裕もあるし、外湯を巡りながらのんびり過ごそうと考えていた。 ところが、ものごとというものは意外と予定通りにいかないものである。宿にチェックインしたところまでは良かった。ちょっと散歩してみよう、とふらりと外に出たのもよかった。 ところが土産屋にて「 集印帳 」を購入した時から急に忙しくなった。これは文字通り、野沢温泉内にある「集印場」を巡って集めると記念品と交換してくれるというシステムなのだが、何気なく集印帳を購入してから気がついた。そう、記念品は観光協会で交換してもらうのだが、自分たちが購入した段階で 受付時間が残り1時間を切っていた のである。 翌日は、朝早くに出発する予定だった。その時間は観光協会は開いていなかったので、実質本日の閉館までに集めなければいけなかったのである。しかも記念品と交換するには最低「10カ所」分の印を集めなければいけない。さあどうなる。よくはわからないが、ちょっと難しそうだ。いつもの僕ならば、そこそこで諦めていたと思う。まあいいや、程度でやれるところまでやってみて諦めていたと思う。 ところが、最初に向かった神社周辺で、ポコポコと印を連続で入手することができた。どうやらある程度まとまった位置に設置されているらしい。「もしかしたら、まにあうかもしれない」と気がつくと、スイッチが入るものである。 間に合うかどうか挑戦してみようじゃないか、と妙なテンションが加わって、なんだかんだでぐるりと回って終了10分前に「10ヶ所」分集めてしまった。意外とがんばればできるものである。いそいそと記念品(タオルだった)と交換し、観光するというよりは印を集めることが目的になってしまったけれども、まあなんというか、よかったね、という結果になった。 この写真は、集印中に 麻釜 で撮影したもの。夕日が煙に刺していて、温泉地らしい独特の風景が広がっていました。 野沢温泉の外湯を巡ろう この後、夕食を済ませてから外湯を巡った。野沢温泉の外湯は基本的

網張温泉キャンプ場へ:岩手で夏キャンプ 二日目

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夏キャンプ二日目「網張温泉キャンプ場」へ 夏キャンプ2日目。 先日テントを張った「妻の神キャンプ場」から車で移動すること約1時間30分。本日のキャンプ場は「 網張温泉キャンプ場 」である。 ここは予約制のキャンプ場なので、場所取りの心配がないから安心だ。夏休みシーズンのように混雑している時期に「予約してある」という安心感は大きい。テントがひしめきあう中で、さてどこにしよう・・・、とうろうろするのはなかなか寂しいものがある。ゆったりとした時間を楽しみにきたのに、場所の確保でせかせかしてしまったのでは本末転倒である。しかし今回は予約をしてあるから余裕だ。そんなわけで、途中で買い出しをしながらゆっくりとキャンプ場へと向かったのだった。 受付で手続きを済ませてから、指定された場所へ向かう。ここは荷物を降ろす時は車で乗り入れることができる。昨日の「妻の神キャンプ場」もギリギリのところまで車を入れることができたので、フリーサイトだけど実質オートキャンプのようなものだった。昔はそうでもなかったけれど、最近は「荷物の運搬が楽」という項目もキャンプ場選びのポイントのひとつになりつつある。なにせ荷物を増やさないように気をつけてはいるのだけど、ひとつひとつが結構な重さですからね。デスクワーク中心で、普段はマウスよりも重いものを持つことが少ないから(笑)キャンプ用品の運搬にはちょっとキツイものが…いやいや情けないですね。鍛えよう。 ほぼ貸し切り「露天風呂」 さて、いつも通りにテントを設置し、食事の準備を始める前に施設内にある温泉へ行く。夏休みということで混雑を覚悟して向かったのだけど、自分が行ったのは終了1時間前だったせいか、思っていたよりも客はまばらだった。露天風呂には自分しかいなかった。夏の強い日差しはすでに傾いていて、吹き込んでくる風が心地よかった。豊かな時間が過ぎていった。 幼稚園くらいの男の子がひとりで露天風呂にやってきた。そして大きな声で「ママー!」と、仕切りの向こう側にむかって呼びかけた。向こうから「なーにー?」と声が返ってきた。「熱いよ!」と言う。「熱いねー」と返ってくる。男の子は、熱い熱い、と言いながら内風呂の方へ戻っていってしまった。母親は、男の子が行ってしまってからも、何回かこちらに向かって話しかけてきたのだけれ

乳頭温泉 鶴の湯 秋田を巡る旅(5)

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秋田を巡る旅(5) 乳頭温泉 鶴の湯 翌朝、テントの外に出ていると朝日が樹々の隙間から射し込んでくるのが見えた。今日はよい天気になるのかな、と思いながら周辺を散歩する。昨日は気がつかなかったのだけど、キャンプ場のすぐ近くを川が流れていたことに気がつく。ずっと聞こえていた水が流れる音は、ここから聞こえてきていたのだ。急斜面を降りていかないと川の側には行けなかったので、残念ながら水に手を触れることはできなかったけれど、遠くから眺めていても綺麗で豊かな水だった。 テントにもどり、湯を沸かしてコーヒーを飲んでいるうちに雲行きが怪しくなってきた。どうやら朝の一時は、山の神様からのご褒美だったようだ。木の神様かもしれない。背後の木に挨拶をしてから、テントを撤収してキャンプ場を後にする。 午前10時に鶴の湯へ到着 すでに混雑! 今日、最初に向かうのは乳頭温泉の鶴の湯だ。ここは乳頭温泉郷の中で最も古い温泉宿なのだそう。前回来た時は日帰り入浴の時間を過ぎてしまっていたので、立ち寄ることができなかったので今日は準備万端で朝一番に向かうことにした。 日帰り入浴が午前10時ということで、周辺を散策したり、鶴の湯へ続く林道の途中にある勘助清水で湧水を汲んでいたりしたところ、次から次へと鶴の湯へ向かうと思われる車が林道を走り抜けていった。 これはもしかするとかなり混雑しているのでは・・・と、10時ちょうどに鶴の湯温泉の駐車場へ着いてみるとすでに多くの観光客でにぎわっていた。湯巡りのマイクロバスが入口付近に止まっていて、入浴を済ませた客を乗せて次の場所へ移動しようとしている。これはかなり混んでいるだろうな、と思いつつもここで尻込みするわけにはいかないので、タオルをつかんで出発する。 藁葺き屋根が続く道を通って、受付へ 藁葺き屋根が続く道を真っ直ぐに歩いていくと「鶴之湯事務所」と書かれた木製の看板がかけられた建物の前に到着する。 入口の横に係の人が座っていて、ここで入浴料金を支払う仕組みになっている。すでに湯からあがった人達が立ち話をしている横を通って、混浴露天風呂の方をのぞいてみる。 突然、大勢の裸(注・男性のみ)がずらりと目に飛び込んでくる。外から丸見えである。おいおい、ちょっと前を隠そうぜと、いう体勢の人もいる

乳頭温泉郷キャンプ場 秋田を巡る旅(4)

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秋田を巡る旅(4) 乳頭温泉郷キャンプ場で一泊 本日の宿泊地は、乳頭温泉郷キャンプ場。 夏休みの真っ最中ということで混雑を覚悟していたのだけれど、思っていたよりもテントの数は少なかった。サイト利用料が若干高めの設定だからなのか、それともたまたま空いていたのかはわからない。とにもかくにも、ゆったりとした雰囲気の場所で、キャンプをすることができるのはうれしい。 テントを設置する場所は、空いている区画を 自由に選んでも良いということだったので、端の方の大きな木の下を選んだ。この木の下ならば多少の雨はしのげるだろうし、風が吹いてもテントを守ってくれるだろう。 「一晩、よろしく」と木に挨拶してから、てばやくテントを設置し、周囲がまだ明るいうちに休暇村内にある温泉へ向かう。 休暇村内の温泉は、以前秋田に来た時に 一度利用したことがある。数年前のことだというのに、自分でも驚くほど鮮明に建物の様子や廊下、そして湯船の様子を覚えていた。そうそう、露天風呂からのブナ林はこんな感じだった。湯の色はこのような色合いだった。この前来た時は、もう少し熱かったような気もするけど気のせいかな。 露天風呂で、野ネズミ(?)に遭遇する 露天風呂の淵に座ってぼんやりと過ごしていると、以前ここで 50代くらいの男性に「どちらから?」と話しかけられたことを思い出した。とても歯切れよく、聞き取りやすい発声で話す方だった。「山に登ってきたんです」と答えると「ほお。山登りもいいですねえ」と、やはり聞き取りやすい声でそう相槌を打ってくれた。確か千葉の人だったような気がする。もう少し話をしたような気もするけれど、くわしいことは忘れてしまった。 そんなことを思い出しながら、湯につかる。夕食時だったせいか客足もまばらで、幸運にもしばらくの間露天風呂を独り占めすることができた。手足を伸ばして湯船にふわりと身体を漂わせていると、背後から視線を感じた気がした。誰もいないはずだけど、と後ろを見る。何かがもそっ、と動いた。何だ? と目を凝らす。むこうも、こちらを見ている。じーっ。おぅ、野ネズミか? 薄暗くなりかけた視界の中でははっきりと確認はできなかったけれど、たぶん野ネズミだろう。彼は(もしかしたら彼女は)露天風呂の壁の隙間を2~3回ほど出たり入ったりしたあと、どこかへ行ってしまった。旅先の、ち

鳴子温泉へ行った。

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この文章を書いているのは、2012年の12月。そう年の瀬、というやつだ。「今年も色々あったし、色々なところへ行ったな」などと小雪が舞い散る窓の外などを眺めたりしながら、行った場所などを思い出していた。そしてふと、このブログに鳴子温泉へ行った時のことを書いていなかったことに気がついた。秋保温泉へ行った時のことは、ばっちりと書いたというのに鳴子温泉については書いていないというのも、なんだかちょっとあれなので、少しでも記憶が残っているうちに書いてみようと思う。ちなみに、今から書くことは、10月のできごとなので、あらかじめご了承いただきたい。「鳴子は12月でも紅葉が見られるんだ」と、思われる方がいらっしゃると困るので、「今から書くのは秋のできごとである」ということを、ここで強調しておいた。ちなみに、現在の鳴子温泉は冬の装いである。今月の15日には、オニコウベスキー場もオープンするということなので、スキーやスノボを楽しんで帰りに温泉、という冬の醍醐味を味わっていただけたらと思う。 さて、前置きで、こんなに長く書いてしまった。すでになんとなく満足しかけているのだが、ちょっと休憩してから、秋の鳴子について書いてみようと思う。 秋の鳴子といえば「鳴子峡遊歩道」を散策しながら紅葉を眺めるというのが、楽しみのひとつである。ところが残念ながら「鳴子峡遊歩道」は現在閉鎖になっていて歩くことができない。あの見事な風景を眺めながら歩けないなんて寂しいものだ、と思っていたところ、連れが「大深沢遊歩道というのが開通していて、歩けるらしい」という情報を調べてくれた。さっそくネットで確認してみると一周50分くらいで歩けるコースで、ちょうど良さそうだ。今回は、ここを歩くということをイベントのひとつとして出かけてみることにした。 仙台市内から鳴子温泉までは、東北自動車道を使用して、1時間30分といったところ。鳴子温泉の周辺地域で若干渋滞したものの、特に問題もなくスムーズに到着することができた。まず最初に向かったのは、鳴子峡レストハウス。駐車所に車をとめて、駐車料金を支払ってから(500円)レストハウスの方へと歩いていく。当日は小雨が降っていて、少し肌寒い気候だったのだけれど、目の前に広がる紅葉の景色で一気に気分が上がる。ここからの風景は、鳴子温泉を紹介する時に使われていることが多いので、どこか

天童市へ行く。

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山形県の天童市へ行ってきた。 天童市へは仙台市から車で約1時間30分といったところ。市内からは国道48号一本でつながっていて「お隣同士」のような関係なのだけど、なぜか今まで行く機会がなかった。いや正確に言うと、近くを通ったりしたことはあるのだけど、立ち寄ってじっくりと観光するチャンスがなかったという、自分にとって近くて遠いような場所だった。 先日、浮世絵に関する資料を見ていた時に「そういえば、天童市には広重美術館があったな」ということを思い出した。そろそろ山形は雪が降る頃だから、雪が積もる前に行ってみようかな、と思い立ちふいに出かけてみることにした。 先にも書いたけれど、天童市へは仙台市内から国道48号をひたすら西に向かうことになる。作並温泉の前を通り、宮城県と山形県の県境の山を越え、特に何の盛り上がりもなく(というのは、何度も走ったことがある道なので)のんびりと走ると、天童市に到着だ。まず最初に行ったのは「道の駅天童温泉」だ。 最初、地図を見た時に「道の駅天童温泉」には温泉があるのだと思ってしまった。つまり道の駅の施設内に温泉があるのだと、名前から勝手に想像してしまっていたのだが、実際には温泉はない。普通(?)の道の駅である。 連れにこの話をしたところ「私もそう思った」と言っていたので、同じように感じる人もいるかもしれないが、天童温泉道の駅には温泉はないので注意していただきたい。ただ、足湯はあるので、タオルを持っていくと良いかもしれません。 道の駅の近辺にあるドトールでエスプレッソコーヒーを飲み、もらってきた地図を見て町の様子を確認してから、まず最初に向かったのは「出羽桜美術館」。ここは、その名の通り、地酒の出羽桜酒造が運営している美術館だ。 先代の社長の住宅である日本家屋の建物を美術館として利用しているので、ぱっと見ると普通の民家のように見えるわけなのだけど、この建物が味があってすごくよかった。明治時代の資産家の家という雰囲気が漂っていて(なにしろ、家の中に蔵座敷があるのだ)そこかしこに趣味人の趣があって、初冬のやわらかな太陽の光が中庭に射し込んでいる様子などを見ていると、ゆったりとした豊かな生活が想像できて、いつかこのような雰囲気の生活をしてみたいものだ、と思ったりしました。 次に立ち寄ったの