安曇野ちひろ美術館へ 秋の長野を巡る旅(3)




安曇野ちひろ美術館へ

安曇野ちひろ美術館

次に向かったのは「安曇野ちひろ美術館」だ。ここでは、入場券の替わりに、写真のような「タグ」が配られる。これを見えるところに下げておくことで入館許可証となる。

何種類かのタグが用意されていたのだけど、自分はこの少年の絵柄にした。これを胸のあたりにぶら下げて、展示室へと向かっていく。

まず最初に感じたことは、美術館の建物の雰囲気がとてもいいこと。開放感がありつつ、作品に集中できる雰囲気になっている。屋外に設置されている椅子にこしかけると、行きつけのカフェに来ているかのような気分になる。すぐそばを、他のお客さんが次々に通りすぎていくのだけど、それすらも気にならないような感じがする。

長野のゆったりとした空気がそうさせるのか? 建物全体のデザインによるものなのか? いわさきちひろさんの美術館だから? とにかく、そのような様々な要素がくみ合わさって、このような雰囲気を作っているのではないかと思う。

作品を楽しむことが美術館の第一の目的だけど「そこにいることが、たのしい」という美術館だと感じた。細やかな部分にまで、コンセプトが浸透している空間だと思った。小学生のころ「図書館をつくる(そして、そこに住む)のが夢だったのだけど、いつの日かこのような美術館や図書館をつくる仕事に携わりたいものだ、とあらためて思いました。


原画が発する「迫力」を堪能する

そんなことを考えながら、作品を鑑賞しながら回っていく。使い古された表現だけど、やはり「原画のすごさ」に圧倒される。印刷をする時には失われてしまう、トーンのやわらかさや穏やかさはもちろん、作者のいわさきちひろさんの思いも、じんわりと伝わってくるような気がしてくる。想像以上のすばらしさだった。

当日(2011.9月)は「ちひろと香月 ー母のまなざし、父のまなざしー」という特別展が催されていた。香月泰男さんの作品を観たのは初めてだったのだけど、こちらもパワフルで圧倒された。戦争体験という同時代を生きた、お二人に共通の経験をベースにした作品が展示されていた。人を思う気持ち、戦争という失われていく風景への思い、それらがお二人の異なるタッチで表現されていく。あまりにも、やさしくて、そしてせつなげ。美術館へ足を運ぶ楽しみのひとつが、新しい作家との出会いである。今回もすばらしい出会いがあった。


閉館ぎりぎりまで、館内にいたのだけど、もうしばらくここにいたい、という気分でいっぱいだった。春夏秋冬と、季節によって辺りの風景も変化していくだろう。その度に、この美術館の雰囲気も、大きく変わっていくだろう。

今回は秋に訪問したけれど、今度は夏真っ盛りの、立っているだけで汗が流れるような日や、逆に雪が降り積もり、わずかでも肌が露出するだけでビリビリしびれてしまうような寒い日に、ここにやってきたいものだと感じました。

最後に、この写真は館内に設置されていた水道(だと、思います)の映像。とてもいいデザインだったので写真を撮ってみました。

秋の長野をめぐる旅(その4−1)上高地へにつづく





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