十和田市現代美術館 初夏の青森を巡る旅(1−2)

7月の青森へ 十和田市現代美術館(1の1)

美術館に入る前の段階で、軽く興奮状態となってしまい期待値が高まるなか、表面的には冷静さを保ちつつ館内へ入場する。最初の部屋で、自分達を出迎えてくれたのは「ロン・ミュエク スタンディング・ウーマン」。

旅行のガイドブックなどで、何度か目にしていた作品ということもあり「ようやく会えた」という気分になる。
近くに寄って、本当に温かな血が流れていそうな生々しい血管を見ていると、夜になり皆が帰宅した後に、やれやれこれで本日の仕事も終了だわ、と大きな手で背中のあたりをボリボリと掻いたりするのではないか、いやもしそうだったとしても、全然驚かないなと思ってしまうような感覚になる。

自分の斜め前のあたりで、両親に連れられてきた、5歳くらいの女子が不安そうな表情で作品を見上げている。この子くらいの年齢だと、恐怖を感じるのだろう。夜に夢に出てくるのではないだろうか、と余計な心配をしてしまったりするほどだった。

そして次の部屋は・・・。

と、ひとつひとつの作品の感想を書いていきたいところだけど、これから十和田市現代美術館へ行かれる方のために、感想を書くことは控えておきたいと思う。

このような現代アートの面白さは、先入観(情報)なしに作品の前に立った時に感じる印象だと個人的に考えているので、僕の偏った情報は避けたほうがいいと思うからだ。

ただひとつだけ書かせていただくと(というよりも、書きたくてしかたがない訳だけど・笑)「ハンス・オブ・デ・ピーク ロケーション(5)」は圧巻だった。もし自分がアーティストだったなら、このような作品を制作したのではないか、とさえ思った。それがあまりにも楽しくて、しばらく「作品の中」に浸っていたところ、自分より前にいた男女の2人が「これもアートなのか?」「そうなんじゃない?」と、話しているのが聞こえてきたのことが、また面白かった。

「これもアートなの?」

自分にとっては「最高のアート」でも、ある方にとっては「これがアート?」という存在になる場合もある。どちらが良いとか悪いとかではなく、自分と他者との好み(感覚)の違いを、はっきりと感じることができるのも、現代アートの醍醐味のひとつなのかもしれない、と2人の感想を聞いていて考えたのだった。

とにもかくにも、十和田市現代美術館には、建物の配置、ガラスの廊下、デザインなどなど、いたるところにコンセプトが感じられて、最初から最後まで普段は使っていない部分の脳を揺らされ続けたような感覚があった。館の大きさも、旅先でぐるりと回るにはちょうどいいサイズだし「体験」してみることをオススメします。



初夏の青森をめぐる旅 一覧

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7月の青森へ(番外編)

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